ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-444-O26-1 喀痰吸引量の主観的な感覚の違いについて大垣市民病院宮川 亮太、法雲 浄恵、鈴木 亜耶香【はじめに】看護師は、日常的に喀痰吸引を行い、主観的な喀痰吸引量を看護記録に記載している。そこで、個々の喀痰吸引における主観的な感覚をデータ化する。【目的】喀痰吸引量の主観的な感覚の違いを明らかにする。【研究方法】研究デザイン:実験研究【倫理的配慮】スタッフの研究への参加は任意であり、研究参加の有無で不利益は生じないことを事前に文書で説明する。スタッフの同意を確認してから、実験研究を行った。【結果】方法1では1ml の液体については少量77.2%が最多であった。3mlの液体については中等量50.0%が最多であった。5mlの液体については多量59.0%であった。7ml の液体については多量86.3%が最多であった。9mlの液体については多量90.0%が最多であった。11ml以上の液体については全員が多量と判断した。方法2ではカテーテルを変更して吸引した結果、一回目より量が多くなったスタッフは68.1%であり、判断基準は重複回答を含めて吸引時間9名、吸引時の音3名、感触5名であった。一回目より量が少なくなったスタッフは31.8%であり、判断基準は重複回答を含めて吸引時間1名、管内の量7 名であった。(p=0.005)【考察】喀痰吸引量は個人の感覚で喀痰吸引量が左右される傾向がみられた。判断基準として視覚以外を用いて吸引を行った場合は、吸引量を多く見積もる傾向がみられた。視覚を用いて吸引を行った場合は、吸引量を少なく見積もる傾向がみられた。感覚的判断量の違いをt検定で算出した結果、p=0.005 であり、有意な差がみられた。主観的な判断では差が生じるが、統一した尺度を用いることで、より妥当性を高められる可能性が示唆された。そのため、共通理解が得られる表現や指標を検討する必要がある。【結語】・主観的な判断では、個々によって差が生じる。・統一した評価を行なうためには、共通理解が得られる客観的な表現が必要である。口演 26 気道・呼吸・呼吸管理⑦ 2月13日(土) 11:00~12:00 第4会場O26-2 呼気胸郭圧迫法は痰の排出に有用なのか?1)筑波大学附属病院 ICU、2)筑波大学大学院 人間総合科学研究科 フロンティア医科学専攻、3)筑波大学附属病院 救急・集中治療部大内 玲1,2)、櫻本 秀明1)、下條 信威3)、榎本 有希3)、小山 泰明3)、卯野木 健1)、宮 顕3)、吉野 靖代1,2)、星野 晴彦1,2)、水谷 太郎3)【目的】胸郭を呼気開始時に圧迫する呼気胸郭圧迫法(Rib Cage Compression: RCC)は排痰を促す目的で実践されてきた肺理学療法であるがその効果は未だ不明である。近年、圧迫の強さが痰の移動に影響を与えることが示唆された。本研究は、強い圧迫を伴うRCC が、痰の排出を促進し、酸素化や無気肺を改善させるか否か検討することを目的とした。【方法】ブタ15 頭に全身麻酔下で気管切開を実施。1.6% Polyethylene oxide powder、0.1% methylene blue のPBS 溶液に造影剤を混合させ人工粘液とし、鎮静・筋弛緩後人工呼吸器に接続し、注入用カテーテルより人工粘液を40 mL 気管内に注入し無気肺を作成。人工粘液注入終了30 分後に、閉鎖式吸引のみの群(CSS 群)と10 分間のRCC 後に閉鎖式吸引を実施した群(RCC 群)に無作為に分け各介入を実施した。介入は両胸郭に対して強く短い圧迫を加えるRCC を施行した。吸引後0-1分、5分、10分、30 分の動脈血ガス分析、呼吸生理学的データの収集を行った。介入の前後で胸部X線画像を得て、無気肺スコアを評価した。【結果】RCC 群で有意に痰の吸引量が増加したが(1.2± 0.9 vs 6.8± 5.2 g, p=0.018)、介入の前後で酸素化、胸部X線スコアの改善は認めなかった。また、血圧、心拍出量、脈拍、不整脈などの循環パラメータに有意差は認められなかった。【考察】先行研究と同様、強い圧迫を伴うRCCによる呼気流量増加が痰の移動を促し、喀痰吸引量が増加したと推測されたが、両群とも注入全量40mLの人工痰に対する回収率は低く、酸素化および胸部X線スコアの改善は見られなかった。【結論】本研究において、強い圧迫を伴うRCCは、閉鎖式吸引による喀痰吸引量を増加させたが、酸素化および無気肺は改善させなかった。O26-3 心臓血管外科術後においてハイフローセラピー(High flow therapy:以下HFT)を導入した症例の実態埼玉医科大学国際医療センター ICU病棟藤井 裕一郎、立花 奈緒美、雨宮 由季、朝倉 登美子【はじめに】ハイフローセラピー(High flow therapy:以下HFT)は心臓血管外科領域においても有用性を示唆されており、当院心臓血管外科ICUでも近年積極的に導入されるようになった。HFTを導入した患者の経過として成功群、HFT と非侵襲的陽圧換気療法(以下NPPV)との併用が必要であった群(以下併用群)、不成功群に分かれた。これら転帰を左右する因子を探るために実態調査を行った。【方法】2014年6月~2015年6月に心臓血管外科術後、HFTを導入した患者を対象に後ろ向き調査を行った。【結果】41 例中、成功群17 例(41.5%)、併用群17 例(41.5%)、不成功群7 例(17%)。男/ 女29/12 名、平均年齢68.9 歳(33-86)歳であり、不成功群にて高齢患者が多かった。疾患内訳は成功群・不成功群では冠動脈疾患が多く、併用群では胸部大動脈疾患が多かった。抜管直後P/F 平均値は全体214、成功群219、併用群195、不成功群247 であった。3 群共に半数以上がHFT 導入直後明らかなP/F 値改善は見られず、胸部X 線所見では胸水、無気肺が大半を占めた。また肺炎を呈した5 例中4 例は不成功群であった。気管挿管期間の平均日数は、成功群2日、併用群1.9日、不成功群9.7日であった。また術後離床までの平均日数は、成功群4.4日、併用群5.1日、不成功群6.5日であった。HFTに対する不快感は併用群で多かった。自己排痰が可能な例は成功群、併用群の順で多く、不成功群では全例不可能であった。経口摂取が開始となっている例も成功群、併用群の順で多く、不成功群では1例であった。せん妄の発生に関しては、成功群、併用群の順で少なく、不成功群では約半数がせん妄を発生していた。【結論】成功と不成功を左右する因子として、年齢や気管挿管期間、離床までの期間が関係しているのではないかと考えられた。またHFTの利点と言われる自己排痰や食事摂取ができる、不快感が少ないなどの患者快適性も関係しているのではないかと考えられた。