ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-434-O21-1 統一したせん妄の看護介入を目指して~看護師の意識変化と質の保証~川崎医科大学附属病院 ICU・CCU山田 かおり、光岡 理江、大濱 忍【目的】本研究の目的は、せん妄の評価尺度であるIntensive Care Delirium Screening Checklist(以下ICDSC)の導入前後における看護師の意識変化と看護介入の変化の有無について明らかにする事である。【方法】対象はICU・CCU の看護師17名で、せん妄に関する勉強会とICDSC 導入前後でアンケート調査を実施した。また、当該入室患者をICDSC を用いてせん妄評価をするとともに、看護記録から後ろ向きにせん妄発症数と患者によるルート類の自己抜去数について調査した。【結果・考察】せん妄に対する意識を持って看護を行っていると回答したのは、ICDSC導入前後で有意差は認められなかった(p=0.310)。次にICDSC導入前は、危険防止への取り組みや鎮静剤の使用が多くあげられたのに対し、導入後は、昼夜のリズムをつけて状況把握ができる様に声掛けをするといった見当識を保つための項目が増えたものの、せん妄予防の取組みとしての明らかな変化はなかった(p = 0.310)。せん妄症状の回答においては、ICDSC導入前後で見当識障害をあげている人数に変化はなかった。ただし、せん妄と判断された際と、せん妄予防のための看護としては、昼夜のリズム構築、状況把握を促す声掛け、時計やテレビ・ラジオの設置といった内容が導入後には増加していた。よって、推察の域を脱しないものの、見当識を保つ為の看護介入に対する看護師の意識が向上したとも考えられる。ICDSCの導入は、せん妄に対する理解や知識の増加契機になっていることも否定はできず、せん妄の早期発見に寄与している可能性もある。今回、せん妄評価の対象となった患者は233 名であり、せん妄と判断されたのは40 名(17%)であった。そのうち4名の患者で、点滴ルートの自己抜去が起こった。【結論】ICDSC導入前後で、せん妄に対する看護師の意識の向上は明らかではなかった。一方、見当識を保つための看護介入は、ICDSC導入に伴い増加した。口演 21 鎮静・鎮痛・せん妄・早期離床② 2月12日(金) 11:00~12:00 第13会場O21-2 せん妄予防の取組みに家族ケアを導入したことによる患者家族への影響~せん妄パンフレットを導入して~新都市医療研究会[関越]会 関越病院池田 身佳、角田 恵理子【目的】せん妄予防における看護介入は、家族の協力が重要であることが報告されている。当院の先行研究において、せん妄パンフレットを用いて家族ケアを行った結果、せん妄予防対策に有効であった。しかし、せん妄を理解していない家族にとって、せん妄を発症した患者の様子に対し、不安を抱く家族が多くいる現状がある。そこで、パンフレットを用いたことにより家族に与える影響を明らかにし、今後の家族ケアを見出すことを目的に調査研究を行った。【方法】2014年6 月~12月までの期間、ICU/HCUに入室される患者の家族51 名を対象。患者家族にせん妄パンフレットを用いてせん妄予防について説明。その後、面会時に、同意を得られた家族にアンケートへの協力を依頼した。アンケート内容は10項目、その他の意見を自由記載とした。【結果】対象者のうち、せん妄を知らなかったという家族は80%だった。事前にせん妄の説明を聞くことにより、98%の家族の不安は軽減され、80%の家族は面会を増やそうと思っていた。家族の行動の変化では、面会時に日時を伝えた家族は73%、時計、カレンダーを利用した家族は69%だった。また、75%の家族は自宅でパンフレットを読み直していた。自由記載では、普段と様子が違う患者の精神状態を、重く受け止めている家族がいることが分かった。【考察・結語】不安を抱く家族に対し、せん妄について事前に説明することで、不安が軽減され、家族がせん妄ケアに参加することが可能となった。急性期では無力感を感じる家族にとって、面会の重要性を実感し、充実感が得られるのではないかと考える。パンフレットを用いることで、家族の行動に変化が観られたが、看護師のパンフレットの説明が不十分であることが示唆された。患者にとって、一番の支えであることを実感して頂けるよう、パンフレットの活用を工夫し、面会時の対応を検討していく必要がある。O21-3 POV 方式で撮影した動画を使用した術前リアリティオリエンテーションのせん妄予防の効果秋田大学医学部附属病院 集中治療部菅 広信【目的】Pad Guideline及び、j-pad Guidelineではせん妄の予防について様々な視点から示されているが強いエビデンスを持った、決定的な対策はないと言われている。先行文献では術前訪問方法の改訂により術後せん妄予防の効果を報告している。特に、ドレーン、ガーゼ、心電図モニターなどを貼り付けたベストを患者に着て体験してもらうこと(リアリティオリエンテーション、以下RO)で、せん妄予防の効果を報告している。そこで、更に効果的に視覚・聴覚に訴える方法を考え、映画のフェイクドキュメンタリーなどで用いられる手法であるPOV 方式(Point of View Shot)と呼ばれるカメラの視点と患者の視点を一致させるような臨場感のあるICU説明動画を作成した。この動画をROと共に活用し、以前のパンフレットだけの術前訪問方法と術後せん妄の発生率を比較検討する。【対象】予定手術患者:GCS10点以上、15歳以上の者。研究対象除外者:死亡症例、入室前より認知症、視覚・聴覚障害、ICDSC 陽性、ICUに入室してから24時間以内に退室した症例、5 日以上RASS が-4 以下で意識が確認できない症例、敗血症症例は除外する。【方法】POV方式の動画視聴とRO開始(2014年11月)前後8ヶ月間にICUに入室した対象患者を盲検化し、30 名を選択。重症度(APACH2 score)、年齢、手術時間、せん妄スクリーニングツールであるICDSC(4点以上を陽性)の記録を用いて、電子カルテ上から後向きにせん妄の発生率を比較検証した。【結果】非介入群のせん妄発症率が37%、介入群が6%であり、介入群のせん妄発生率が低かった(P=0.012)。APACH2score(12.9 ± 2.4 vs 14.1 ± 3.5 P=0.11)、年齢(65.3 歳± 10.8 vs63.5 歳± 11.5 P=0.53)、手術時間(427.5 分± 169 vs 475.6 分± 141 P=0.24)に有意差は認められなかった。【結論】POV 方式の動画とリアリティオリエンテーションを用いた術前訪問は予定手術患者のせん妄発生率を低下させることができる。