ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
435/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている435ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-433-O20-4 ヒト遺伝子組み換えトロンボモジュリン(rTM)の熱射病後神経障害に対する効果についての検討1)昭和大学藤が丘病院 救急医学科、2)昭和大学 医学部 顕微解剖学講座、3)昭和大学 医学部 救急医学講座宮本 和幸1)、大滝 博和2)、佐々木 純1)、林 宗貴1)、三宅 康史3)、有賀 徹3)【目的】熱射病では, 暑熱曝露により全身性炎症反応症候群(SIRS)が惹起され, 中枢神経,循環器,肝,腎,凝固系障害などを合併することが報告されている. 中でも小脳失調や高次機能障害は早期離床, 社会復帰の妨げとなっている. しかし, その病態・治療法については十分に確立されていない. ヒト遺伝子組み換えトロンボモジュリン(rTM)は播種性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬として広く用いられ, その有用性が知られている. 一方, 熱射病にDICを合併した症例の報告はあるものの, 中枢神経障害の治療としては十分に検討されていない. 本検討ではrTMの熱射病後神経障害に対する効果について検討した. 【方法】協調運動及び平衡障害評価のためにRotarod 試験をおこなった。雄性成熟マウスに週1 回6 週間訓練をおこなった. 訓練結果からRotarod scoreが均等になるように2 群にわけた. 暑熱曝露(41℃, 60 分)をおこない, 生理食塩水(Ns)またはrTM(6mg/kg)を5 日間腹腔内投与した. 1, 3, 5, 7, 9 週後にRotarod試験をおこなった.【結果】Ns群では1, 3 週後にRotarod scoreが低下し, 5 週目からは徐々に改善を認めた. 一方, rTM群ではscoreの低下は認めず, 暑熱曝露3週後にNs群と比較して有意差を認めた(p<0.05). 【結論】熱射病後の神経障害は時間経過に伴い改善することを経験する. 本検討ではrTM投与は, 最終的な熱射病後神経障害の予後改善には寄与しないが, 投与後1, 3週目で有意に協調運動及び平衡障害を有意に改善し, 早期離床につながる可能性が考えられた.O20-5 重症熱中症におけるDAMPsの動態1)大阪警察病院 救命救急科、2)鹿児島大学 システム血栓制御学講座島崎 淳也1)、小川 新史1)、山田 知輝1)、岸 正司1)、丸山 征郎2)【はじめに】血中のHMGB1やHistone はダメージ関連分子パターン(DAMPs)として炎症惹起に関与しているが、熱中症におけるDAMPsの動態や役割は明らかでない。今回我々は、3 度熱中症患者の血清HMGB1 およびHistone を測定し、DIC発症との関連について検討した。【対象】過去3 年間に大阪警察病院救命救急科に入院となった3度熱中症患者11 名。【方法】来院時、来院3-6時間・6-12時間・12-24時間に血清HMGB1およびHistoneH3を測定した。血液凝固検査は連日行い、入院経過中にDICを合併した症例をDIC 群、合併しなかった症例を非DIC 群に分類し検討を行った。【結果】11 名全員が生存した。DIC群は6名、非DIC 群は5 名であった。HMGB1 のピーク値の平均はDIC 群が45.2ng/mL、非DIC 群が6.9ng/mL でDIC 群で優位に高値であった。HisotneH3 のピーク値の平均はDIC 群で522.5ng/mL、非DIC 群が35.5ng.mL であり、こちらもDIC 群で優位に高値であった。DIC群においてHMGB1は来院時あるいは来院3-6 時間がピーク値であった。HistoneH3は来院時には低値であったが12-24時間にピークを迎え、以降漸減していった。両群において血清HMGB1およびHistoneH3のピーク値と来院時のAPACHE2 スコア、入院経過中の急性期DIC スコアの最高値はそれぞれ相関を認めた。【考察】3 度熱中症患者において血清HMGB1 およびHisoneH3 は侵襲の程度を反映し早期に上昇し、その後のDIC 発症を予測する。O20-6 高度偶発性低体温症に対する復温効果の検討京都第二赤十字病院救命救急センター岡田 遥平、市川 哲也、荒井 祐介、榊原 謙、石井 亘、檜垣 聡【背景】28℃を下回る高度偶発性低体温症は致死的であり迅速な復温が重要である。【目的】重度の偶発性低体温症に対する復温方法の効果を明らかにすること。【対象と方法】2011年11月から2015年6 月までの当院救命センターに搬入となった偶発性低体温症例のうち初診時に中枢体温が28℃以下であった高度偶発性低体温症例9 例を抽出した。紹介受診例、記録に不備があった2 例を除いた7 例を対象とした。診療録をもとに後方視的に検討した。【結果】平均年齢72.4歳、男性3 名、女性4 名であった。1例で心停止例を認めた。復温方法はV-AECMO使用例を除く全例で積極的体表加温を行っていた。体内加温の方法として加温輸液が4例、血管内留置カテーテル体温管理システム(サーモガードシステム 旭化成ゾールメディカル社)使用例が1例、CHDF使用例が1例、V-A ECMO使用例が1例認められた。平均復温速度は、加温輸液例:1.85℃/h、血管内留置カテーテル体温管理システム例:2.48℃/h、CHDF 使用例:3.09℃/h、V-A ECMO 使用例:4.52℃/h であった。【考察】加温輸液以外の体内加温方法としてはACLS2010ガイドラインにも記載があるように体外循環装置が最も有効であると思われた。ただし体外循環には人的・物的資源が必要であり、簡便性では血管内留置カテーテル体温管理システムも復温に有用である可能性があると思われた。ただし症例数が少ないためさらなる検討が必要である。【結語】体外循環を用いた復温方法が最も効果的であると思われた。体外循環を用いない復温方法としては血管内留置カテーテル体温管理システムも復温に有用である可能性があると思われた。