ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-427-O17-4 ICU での意識障害患者におけるnonconvulsive status epilepticus(NCSE)の発生頻度とその治療効果1)兵庫県災害医療センター 救急部、2)香川大学医学部附属病院救命救急センター江川 悟史1)、一二三 亨2)、松村 光2)、岡崎 智哉2)、宍戸 肇2)、篠原 奈都代2)、高野 耕志郎2)、阿部 祐子2)、河北 賢哉2)、黒田 泰弘2)【はじめに】神経集中治療において非けいれん性てんかん重積発作(NCSE:nonconvulsive status epilepticus)の診断の重要性が報告されている。欧米では24時間持続脳波モニタリングが普及しているが、本邦では普及していない。今回我々は集中治療室に入室した意識障害患者にするNCSE の発生率とその治療効果について2電極の脳波モニタリング(2 channel EEG)を用いて検討した。【方法】2015年3月から2015年7月に当院救命救急センター集中治療室に入室した意識障害患者(GCS 14以下)に対して2 channelEEGを装着し、後ろ向きに検討した。NCSEの診断は当センター独自のプロトコル(波形診断、ベンゾジアゼピントライアル、国際式10-20法による補助)を用いた。治療はfPHT(fosphenytoin)とLEV(levetiracetam)を主に使用し、難治性の場合ミダゾラムやプロポフォールの持続静注を使用した。Primary OutcomeはNCSEの発生頻度とした。Secondary OutcomeはNCSEの有無における2群間でのICU滞在日数、入院日数、退院時modified Rankin Scale(mRS)とした。また先行する痙攣発作、顔面のミオクローヌス、失語などを「意識障害以外のNCSEを想起させる症状」と定義し、2群間で比較した。【結果】対象は28名、平均年齢は64歳、男性は20名、平均APACHE-IIスコアは27点であった。心停止蘇生後4名、脳卒中12例、痙攣発作8例、脳腫瘍1例、内科疾患3例であった。NCSEは全体の39%に認めた。NCSEの有無で2 群間比較をすると、ICU 滞在日数、入院日数、mRSに統計学的有意差を認めなかった。[11日vs. 13日,p = 0.48, 18日vs. 28日,p =0.32 , 中央値(IQR) 4(1-4)vs. 4(2.5-5), p =0.37]。NCSEを認めた患者では「意識障害以外のNCSEを想起させる症状」が有意に多い結果となった(OR, 6.43; 95%CI,1.20-51.52; P=0.03)。【結論】2channel EEGを用いて約4割にNCSEを認めた。適切な治療介入を行うことで、予後改善の可能性も示唆される。O17-5 両側を同時に測定可能なモバイル型自動瞳孔測定器を用いた、健常人の瞳孔径と直接・間接対光反射の測定結果兵庫医科大学 救急・災害医学講座坂田 寛之、中尾 博之、小谷 穣治【背景】救急・集中治療領域においてモバイル型自動瞳孔測定器の開発・使用が拡大しているが、両側を同時に測定出来る器械は未だない。我々は初めてベンチャー企業とともに両側を同時に測定、記録できるモバイル型自動瞳孔測定器を開発し瞳孔径や直接・間接対光反射に関する評価を行った。【方法】頭蓋内病変・視力低下以外の眼病変の無い健常成人ボランティア25名(20代、30代、40 代、50代、60 代以上の各群5名)を対象とし、日中同光度の場所で新たに開発した両側同時測定が可能なモバイル型自動瞳孔測定器を用いて自然な瞳孔径、直接・間接対光反射の測定を行った。【結果】平均瞳孔径は健常人において右5.6±1.26mm 左4.9± 1.18mm であり0.5mm 以上の左右差が認められ、年齢を重ねる毎に縮瞳している傾向にあった。年齢別の縮瞳率や縮瞳に要する時間(以下:縮瞳時間)に差はない傾向であったが、光照射後に散瞳する(元の瞳孔径に戻る)割合(以下:散瞳率)には、高年齢で低下する傾向にあった。また全25 名の直接対光反射と間接対光反射の比較において、縮瞳率や縮瞳時間、散瞳率に有意差はなかった。【考察】健常人においても0.5mm以上の瞳孔不同がある。加齢に伴って瞳孔径が縮小し、散瞳率が低下する傾向があるが、既報の検討から鑑みて、交感神経系の選択的障害による相対的副交感神経優位が一因と考えられた。対光反射は直接・間接とも年齢の影響を受けておらず、加齢は対光反射に影響を及ぼす神経異常を来たさないと考えられた。【結語】両側同時測定・記録可能なモバイル型自動瞳孔測定器を世界で初めて開発した。まずは健常人の自然な瞳孔径、直接・間接対光反射の検討で加齢による変化を発見した。今後中枢神経障害のモニタリングとしての有用性を検証する。O17-6 プロポフォールが瞳孔径に及ぼす影響:赤外線瞳孔計を用いた検討1)九州大学病院 手術部、2)九州大学病院 集中治療部、3)九州大学大学院 麻酔・蘇生学白水 和宏1)、瀬戸口 秀一1)、徳田 賢太郎2)、藤吉 哲宏3)、外 須美夫3)【背景】中枢神経モニタリングとしての瞳孔反応は重要なバイタルサインである。最近、赤外線瞳孔計(NPi-100, NeurOpitics)を用いることにより客観的で正確な瞳孔反射の情報を得られるようになった。頭蓋内病変が瞳孔反射に与える影響についての報告がある一方で、単一の鎮静薬が瞳孔反射に与える影響についての報告は少ない。特にICU では様々な投薬がなされており純粋に鎮静薬のみの効果を観察するのは難しい。そこで我々は、プロポフォールが瞳孔径に与える影響についてNPi-100を用いて検討した。【方法】手術室で硬膜外併用脊椎麻酔(CSEA)で麻酔管理される整形外科待機手術の9 例の患者を対象とした。鎮静薬としてプロポフォールを使用し、BIS(Bispectal Index)値が40~60になるように調整をした。入室時、手術開始1時間後、退室時に以下の項目を計測した。NPi-100により最大瞳孔径(MAX)、最小瞳孔径(MIN)、瞳孔収縮率(%CH)、反応時間(LAT)、収縮速度(CV)、拡張速度(DV)、また上記項目より導き出される神経学的瞳孔指標(NPi)を記録した。結果は平均値±SDで示し、ANOVA、t検定を用いて解析し、P<0.05で有意差ありとした。【結果】プロポフォールは%CH, LAT, NPiには影響を与えなかったが、MAX(4.2±0.9→2.4±0.2, p=0.001)、MIN(2.6±0.6→1.7±0.3, p=0.001)、CV(2.7±0.8→1.3±0.5, p=0.003)、DV(1.3±0.2→0.6±0.2,p=0.0009)を低下させた。すべての計測項目は退出時には回復していた。手術中呼吸抑制が生じることはなかった。【結論】頭蓋内病変がCV やDVを低下させる報告があるが、プロポフォール自体でも低下した。ICUで対光反射を調べる際、使用している薬剤の影響を考慮する必要がある。