ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
425/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている425ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-423-O15-4 敗血症性ショックにおける臨床的に妥当なPVPI の上限値の検討大阪市立総合医療センター 救命救急センター重光 胤明、林下 浩士、山下 智也、大川 惇平、森本 健、師岡 誉也、石川 順一、福家 顕宏、有元 秀樹、宮市 功典【背景】経肺熱希釈法(Transpulmonary Thermodilution,TPTD)は敗血症における循環管理に用いられる.その計測項目の一つである肺血管透過性指数(Pulmonary Vascular Permeability Index,PVPI)は肺の血管透過性を表す指標とされ基準値は1.0-3.0である.しかし,PVPI が基準値内でも高値を示す時にP/F 比が低かったり,SOFA スコアが高いことはしばしば経験され,必ずしも臨床像を反映しているとは言えない.【目的】当センターで行ったTPTDの結果からPVPIの基準値を探る.【対象】2011 年4月から2015 年6 月までの間,敗血症性ショックで入院しTPTDを用いて循環管理され,48 時間以上人工呼吸管理した18 歳以上の患者を対象とした.48 時間未満でTPTDを終了した症例は除外した.【方法】診療録からの後方視的検討を行った.28 日後生存をアウトカムとしたReceiver Operator Curve(ROC)からPVPI のカットオフ値を求め,それを基準値として28 日後生存,P/F比,28 日間ventilator free days(VFD),肺血管外水分量指数(Extra Lungvascular Water Index, ELWI),SOFA スコアの差をみた.【結果】対象は59例,年齢の中央値は64歳,男性が35例(59%)で28日間生存は45例(76%)であった.28日後生死で分けたPVPI の中央値は,生存群vs 死亡群で1.5 vs 2.7(p < 0.01)と死亡群で有意に高かった.28日後生存をアウトカムとしたROCから求めた48 時間後PVPI のカットオフ値は1.9(AUC 0.87,感度 0.82,特異度 0.86)であった.48 時間後PVPI < 1.9 と≧ 1.9 で比較すると,28 日後生存は34(94%)vs 11(48%)例(p < 0.01),48 時間後P/F 比は中央値で373 vs 282(p=0.03),28 日間VFD は22 vs 2 日(p< 0.01),48時間後ELWIは8 vs 12mL/kg(p< 0.01)と有意な差があった.また、48時間後SOFA スコアに有意差はないが8 vs 13(p=0.06)であった.【結論】PVPI ≧1.9 を基準値とすると予後悪化を反映し上限値として妥当である.今後,多施設での検討が必要である.O15-5 人工心肺補助管理中のcontinuous plasma diafiltration 併用によるサイトカイン除去と臓器障害への効果金沢大学附属病院 集中治療部中村 美穂、蜂谷 聡明、小池 康志、相良 明宏、関 晃裕、佐藤 康次、越田 嘉尚、野田 透、岡島 正樹、谷口 巧【はじめに】経皮的心肺補助法(PCPS: Percutaneous Cardio Pulmonary Support)の使用は年々増加しており、その生存率は治療中の臓器障害に応じて低下するとされる。今回PCPS 管理中のCPDF(continuous plasma diafiltration)併用により、サイトカインクリアランスが良好であった症例を経験したので報告する。【症例】13 歳男児、急性白血病で入院中、ICU 入室前日に寛解導入療法2 クール目を施行された。翌朝より収縮期血圧 60mmHg、EF 20-30%のびまん性心収縮低下あり、心原性ショックの診断でICU入室した。入室後心肺停止よりPCPS 導入と高サイトカイン血症に対して持続的血液濾過透析とエンドトキシン吸着療法(CHDF+PMX-DHP)を開始した。翌日のPT活性25%、NH3 149μg/dl と肝障害もあり CPDF に変更、ICU day5にCPDF 離脱した。【結果】入室翌日以降、サイトカイン、Oxgen Index、P/F 比、PT 活性、NH3 値の改善を認めた。CHDF+PMX-DHP と比較し、CPDF ろ液のサイトカインは高値であり、とくに肺障害のマーカーであるsTNFR I, IIの除去が良好であった。【考察/ 結論】長期の体外循環を必要とする患者は増加しているが、補助人工心臓や移植可能症例は限定的であり、予後の改善には多臓器不全を抑えることが課題となる。近年血漿交換併用による臓器障害、死亡率の改善が報告されているが、急性肝不全に使用されるCPDF は血漿交換と同様にサイトカイン除去に有効である。本症例はCPDF 併用によりサイトカイン除去、Bil 低下、PT活性の改善と肺・肝障害への効果を認めており、PCPS 使用時のCPDF併用は、サイトカイン、血管内皮障害を減らし臓器障害を改善し、予後の改善に繋がる可能性がある。今後症例の集積が必要である。O15-6 敗血症性ショック患者の腎障害に対する保存的な血液浄化法の使用と予後1)岡山赤十字病院 麻酔科、2)岡山大学病院 集中治療部溝渕 有助1)、大岩 雅彦1)、南 絵里子1)、進 吉彰1)、石井 瑞恵1)、岩崎 衣津1)、小林 浩之1)、實金 健1)、時岡 宏明1)、川上 直哉2)敗血症性ショックにおける血液浄化法に関して、早期の導入が良好な生存率、腎機能の回復によいとする報告がある。さらにnonrenalindicationの血液浄化法を推奨する報告も多い。しかし、敗血症性ショックに対する積極的な血液浄化法は確立されたものではない。我々は敗血症性ショックの腎障害に対して、心臓超音波に基づく輸液療法、高い平均血圧の維持、利尿薬の持続投与を行う。これらの治療に反応しない場合にのみ血液浄化法を行う。敗血症性ショックの腎障害に対する我々の治療戦略と予後に関して報告する。【対象と方法】2012 年6月から2015 年5月に当院ICU に入室し、非外傷性腹腔内感染症による敗血症性ショックの成人症例を対象とした。初期輸液管理は、心臓超音波による前負荷等の心機能の評価に基づいた。血管作動薬は平均血圧80mmHg を目標に使用し、十分な左室前負荷にもかかわらず尿量が得られない場合はフロセミド、カルペリチドを持続投与した。血液浄化法は急性腎障害で尿量0.5ml/kg/h 以下が遷延して、うっ血、代謝性アシドーシス、高カリウム血症がコントロールできない場合にのみ施行した。【結果】対象は46 例、男性26 例、女性20例、平均年齢は70.1 歳であった。血管作動薬はドパミン98%、ノルアドレナリン93%、バソプレシン43% が使用され、利尿目的でフロセミドの持続静注43%、カルぺリチド11%が投与された。ICU入室1 日目と2 日目の輸液量と尿量は各々平均で4354ml と2395ml および3478mlと3707mlであった。クレアチニン、尿素窒素の最高値は各々平均2.17mg/dl、47.0mg/dlであった。血液浄化法施行例は6.5%(3 例)で、慢性透析に移行した症例はなかった。院内死亡率は15.2%でAPACHE2による予測死亡率45.8%と比較して良好であった。【結語】腹腔内感染症による敗血症性ショックに対して、適切な循環管理を行うことで、保存的な血液浄化法の施行にもかかわらず、良好な予後を示した。