ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-421-O14-4 看護におけるフィジカルアセスメント能力を評価するOSCE 評価表の一致率の検証1)北海道科学大学 保健医療学部 看護学科、2)札幌市立大学 看護学部石川 幸司1)、中村 惠子2)、菅原 美樹2)【目的】本研究は、フィジカルアセスメント能力を測定するOSCE 評価表の妥当性を検証し、評価表における評価基準の作成方法を構築する基礎資料とすることが目的である。【方法】臨床経験年数が2年目の看護師11名を対象にOSCEを実施した。OSCEは対象者のフィジカルアセスメント能力を評価するものであり、身体徴候の観察や問診および身体診査を実施する「実施項目」、得られた情報を評価する「判断項目」、判断した情報を記録する「記録項目」に分類した。この評価表を用いて、2名の評価者で対象者を評価した。データの分析は、評価項目ごとにκ係数を算出し、算出できない場合は平均値とその信頼区間を算出して一致率を評価した。κ係数が0.8 以上の場合、評価者間の一致率が高いと判断した。【結果】評価者間の一致率が高かった評価項目数は、実施27項目中23 項目(85.2%)、判断15 項目中12 項目(80.0%)、記録21 項目中18 項目(85.7%)であり、記録項目の一致率が最も高く、判断項目が最も低かった。κ係数が算出できなかった16 項目(実施5 項目、判断3 項目、記録8 項目)は、すべて90%を超える平均値であり、高い一致率であった。【考察】評価表の妥当性を高めるため、評価項目における判定基準を設定していた。実施および記録項目は、判定基準の明確性が高い一致率につながった。一方、判断項目の一致率が低くなったのは、個人によって評価する基準が異なっていたと考えられる。【結論】問診や身体診査の実施および記録に関する能力は、評価者間で一定の基準を用いて評価することができた。フィジカルアセスメントにおける思考の判断に関しては、何を評価するのか、評価者間で評価基準を統一させ、明確に設定する必要がある。O14-5 ICU 看護師による超音波検査の臨床活用ー膀胱エコーの有用性ー1)横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター、2)横浜市立大学大学院医学研究科 救急医学、3)横浜市立大学医学部 救急医学教室柴崎 有美1)、寺西 広美1)、株本 杏奈1)、和田 陽子1)、小幡 敏枝1)、鈴木 久美子1)、谷口 隼人1,3)、中村 京太2,3)、森村 尚登2,3)【はじめに】超音波検査(以下エコー)は簡便かつ非侵襲的なデバイスとして日常的に活用されており、ICU看護師が基本技術と臨床判断能力を獲得できれば、ICU看護の質の向上につながると考えられる。【目的】ICU看護師による膀胱エコーの膀胱描出の精度とエコーを用いたプロトコルの有用性を検討する。【方法】対象は2014 年9月~12月に当院救命救急センターICUに入室し、膀胱留置カテーテルが挿入された症例70例。看護師18 名に対し、機器の使用法と膀胱エコーに関する技能研修を実施した。次に尿量低下時と1 日1回定期的に看護師が膀胱エコーを施行するプロトコルを策定した。また尿量低下時以外にも、1日1回膀胱エコーを施行し、実施後に看護師が膀胱描出の可否を記録した後に、医師が画像を事後評価した。【結果】70例に大使189回膀胱エコーが施行された。医師と看護師で描出可否が一致したのは152回(80.4%)であった。尿量低下のプロトコルで膀胱エコーが実施されたのは12例で、描出可否は10例(83.3%)で一致した。カテーテル閉塞が原因であった3例すべてを看護師が判断し、速やかに閉塞を解除した。【考察】看護師による膀胱描出の精度は臨床的に有用な高さにあると考えられた。また、尿量低下のプロトコルはカテーテル閉塞の迅速な解除を実施しており、有用であった。今後は下大静脈径など、看護師によるエコーの実施範囲を拡大できれば、ICUモニタリング機能の更なる強化につながるものと考えられた。O14-6 急性期リハビリテーション時のブリーフィング・デブリーフィングの効果北里大学病院平賀 千江美、増田 正和、古市 則光、見井田 和正、田中 由梨亜【目的】急性期リハビリテーション(以下リハビリ)は、生命維持に必要なルートが挿入された状態で行うことが多く、リスクが高い。また、看護師、理学療法士等の多職種が関与し、その場で人数確保と役割を求められる為、コミュニケーション不足や役割の明確性の欠如が生じる。安全性向上の為にブリーフィング・デブリーフィングを導入し、危険予知行動とインシデント件数の変化を調査する事を本研究の目的とした。【方法】対象:A大学病院GICU看護師23名。調査期間:(前)平成25年11月~平成26年8月、(後)平成26年9月~平成27年6月。導入前後でインシデント件数を比較。アンケートによる看護師の意識調査を実施。インシデント発生割合及びアンケート結果の統計学的検定は、χ 2 検定を用いた。倫理的配慮:文書にて研究の概要、参加・不参加による不利益は生じない事、プライバシーの保護について説明し、アンケート回収をもって承諾を得た。【結果】導入前後でのインシデント件数は、前:リハビリ603 件中7 件、後:リハビリ503 件中2 件。統計学的有意差は認めなかった(P=0.193)。アンケート回収率82.6%。ブリーフィング・デブリーフィング導入前後の変化は以下の通りで、すべての項目で導入後に“出来た” と回答した看護師の割合が増加。十分な人員確保が出来た:前17.4%、後52.2%(P=0.029)。役割と責任の理解が出来た:前21.7%、後78.3%(P= 0.001)。ルートの確認が出来た:前26.1%、後82.6%(P= 0.001)。ルート確認後に行う対処行動として、ルートの整理・延長・固定の強化等が挙げられた。【考察】ブリーフィング・デブリーフィングにより、メンタルモデルの共有が図られた結果、リハビリに関わるスタッフ全員でリハビリに潜む危険を予知し、対処行動を取ることができたと考えられる。【結論】ブリーフィング・デブリーフィングは、人員確保・役割と責任の明確化、ルートの安全に対する意識向上に効果があった。