ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-420-O14-1 救命救急センター看護スタッフにおける環境音への配慮に向けた減音対策プログラムの開発と評価1)国立病院機構東京医療センター 看護部 救命救急センター、2)国立病院機構東京医療センター 救急科、3)自治医科大学附属さいたま医療センター 看護部大泉 昌也1)、佐藤 薫1)、中丸 真1)、福田 敦子1)、斉藤 意子1)、荒井 佑佳理3)、太田 慧2)【はじめに】当院は、都心部に位置する全次型救命救急センター併設型の総合病院である。救命救急センターでは1400人/年以上の緊急入院患者を受け入れており、昼夜を問わず人工呼吸器や体外循環装置など数々の生命維持装置下に治療を行っている。このため環境音が大きくなる要素が多く、入院患者の安楽な療養を妨げている可能性があると考え「当院救命救急センターにおける看護師の環境音への意識と、騒音の実態調査」を行った。その結果「当院救命救急センターの環境音はWHO及び環境省が定める療養環境の基準値を大きく上回っていること」「環境音に対する看護師の意識は夜勤帯及び自身で音量調節できる音に対して高い傾向がある」ことが判明した。この結果を踏まえ、救命救急センター看護スタッフに対して、環境音への配慮に向けた減音対策プログラムを開発して教育を行い、その妥当性を評価した。【方法】研究期間は平成26年4月から平成27年3月。当院救命救急センターに勤務する看護師8名に対し、講義及びスピーカーを用いた音量体験、受講者同士のディスカッションを行い、介入前後での「音への留意度」「環境音に対する理解度」「プロセス」の変化について自己記入式質問紙法を用いて評価した。【結果】プログラム実施4 週間後の音への留意度(p = 0.008)、理解度(p = 0.041)は共に有意に上昇した。また、プロセス評価では「音に対する理解の深まり」や「改善点の気づき」が認められ、減音対策プログラムは効果的であった。【考察】留意度調査では、看護師自身が音量調節できない項目においても有意な上昇を認めた。このことから減音対策プログラムの実施は、看護師の意識が低い項目にも変化をもたらすことができると考える。また、理解度は少なくとも4週間は維持されたが、介入直後と比較すると低下しているため、今後は定期的に介入を行っていくことが取り組みとして必要である。口演 14 看護教育 2月12日(金) 13:30~14:30 第9会場O14-2 急変前の前駆徴候の気づきに向けた教育の取り組み予定外ICU入室患者の振り返り・シミュレーション教育より独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院古味 秀美、島田 佐苗院内急変で集中治療室へ入室した症例(以下予定外ICU入室症例と略す)は、平成25 年度51名、平成26年度は37名であり、症例に対する振り返りが行えていない。先行文献では、急変の8時間前に前駆症状が出現していると言われており、急変を未然に防ぐことは重症化回避へとつながり、患者の予後を左右する。平成25 年度予定外ICU入室患者の前駆徴候の有無を事後検証し看護研究を行った。その結果、看護師は前駆徴候であることを認識できていない現状にあり、症例の振り返りやシミュレーションを通して気づきを深め、状況判断能力を高める教育の検討が必要であることが示唆された。そこで院内クリニカルラダー内に急変前予測について座学・シミュレーション教育を取り入れ、予定外ICU入室症例に対し該当病棟へ出向き振り返りを導入した。急変前予測の研究後のアンケート結果、座学は急変前徴候を知り早期にアセスメントの大切さや報告の仕方が学習となった回答が多くあった。シミュレーション研修の理解度は、「前駆徴候について理解」94%、「急変予測のアセスメントの理解」93%、「報告の仕方」88%が理解できている結果であった。自由回答では、グループワークを通じ他者の意見からの気づきが多く、急変予測をアセスメントし行動することが大事であるとの回答があった。また振り返りを行うことで、フィジカルアセスメントで早期に異常に気づき、急変前前駆徴候であることを認識し行動変容へつながることが明らかとなった。また、医師へ報告し、指示受け又は医師の来院までの時間をみると緊急性があるのか否かを系統立てて報告が出来ていない現状にあり、報告方法やタイミングが重要であることがわかった。今後も急変前前駆徴候に気づける能力を身につけるためには、OJTと共に実際経験した症例の振り返りとシミュレーション教育を今後も継続していくことが大切である。O14-3 当院におけるICU 退室患者の呼吸数測定の現状1)彦根市立病院 ICU・CCU病棟、2)彦根市立病院 循環器科馬場 多恵1)、中村 紀子1)、佐伯 公亮1)、池田 智之2)、中野 顯1,2)【目的】呼吸数は循環動態や呼吸状態の変化に伴う血圧低下やSpO2 低下よりも早期に変化が表れる重要なバイタルサインである。しかし実際の臨床現場ではその測定が省略されていることも多い。当院では平成27 年4 月よりrapid response system(以下RRS)を導入した。RRS導入前に一般病棟からICU に緊急入室した患者の調査を行ったところ、ICU 入室までの呼吸数測定率は6.1%に過ぎなかった。そこで当院の一般病棟における呼吸数測定に関する実態調査を行い患者急変に関する教育活動の課題を見出すことを本研究の目的とする。【方法】平成26 年度にICU へ入室し一般病床へ退室した患者を対象とし、ICU 退室後8 時間以内の病棟での呼吸数とSpO2測定の有無、入院診療科やICU退室時の酸素療法の種類(人工呼吸器、高流量酸素、低流量酸素、酸素投与なし)、ICU 退室時の呼吸数、SpO2値について解析した。【結果】対象患者はICU より一般病棟に移動となった603名であった。ICU退室後の呼吸数測定率は12%、SpO2 測定数率は80%。酸素療法別にみた呼吸数測定率は人工呼吸器が46%と有意に高く(p < 0.01)、SpO2測定率は酸素投与なしが75%と有意に高かった(p<0.01)。診療科別にみた呼吸数測定率は外科が25%と有意に高く整形外科が2%と有意に低かった(p<0.01)。SpO2測定率は循環器科が90%と有意に高く脳外科が71%と有意に低かった(p=0.013)。ICU退室前の頻呼吸や徐呼吸の有無は病棟移動後の呼吸数測定率に影響していなかった。【結語】ICU 退室直後という比較的重症な患者群でも呼吸数の測定率は低かった。診療科毎の呼吸数測定率にばらつきが見られたため病棟毎に呼吸数測定の重要性に対する理解のばらつきがあると思われた。また呼吸数測定率は人工呼吸器患者では他群より高かったが、半数以下の測定率であった。RRS 教育活動の一環として呼吸数を含めた適切なバイタルサイン測定について理解を深めていく必要があると思われた。