ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-419-O13-4 膵頭十二指腸切除症例における体温変化に対する年齢の影響神奈川県立がんセンター太田 康子、伊藤 聖恵、青山 徹、村川 正明、山奥 公一郎、渥美 陽介、風間 慶介、岸 ひろみ、森永 総一郎背景: 手術中体温管理は術後の早期回復に影響する重要な因子であり,Enhanced Recovery After Surgery の一つのエレメントとされている.消化器外科手術においては,術野である腹部以外の保温と加温をすることが一般的である.しかしながら,このような状況下での体温変化に対する年齢因子の影響は不明である.今回,70歳以上の症例での全身麻酔導入後の膀胱温度変化を70歳未満の非高齢者と比較検討した.対象と方法: 2012年4月から2014年4月までに神奈川県立がんセンター消化器外科で,膵癌に対して70 例の膵頭十二指腸切除が施行され,膀胱温度変化が測定できた58 例を対象とした.手術は,ガイドラインに則ったリンパ節郭清を伴う根治切除を施行した.患者の低体温予防策としては,加温器と保温シートなどを使用した.患者の膀胱温度の変化は,全身麻酔導入後から8時間にわたって検討した.なお本研究は,神奈川県立がんセンターの倫理委員会の承認を受けた.収集したデータは,個人が特定されないよう配慮した.結果: 70歳以上の高齢者群(高齢群:35 例)と75 歳未満の非高齢者(非高齢群:23 例)の背景因子を比較すると,性別・術前のASAPS・体重・BMI・術前併存疾患の有無に差はなかった.手術内容を高齢群と非高齢群で比較すると,手術時間の中央値は473 分(345-715)と496 分(317-703),出血量の中央値は850ml(305-6730)と760ml(265-4120)であった.膀胱温度の変化は,高齢者群では36.2/36.2/36.4/36.6/36.9/37.0/37.3/37.5/37.8,一方で非高齢者群では36.3/36.1/36.3/36.6/36.9/37.1/37.4/37.5/37.8 で,年齢に伴う膀胱温度の変化に統計学的な有意差はみられなかった.結論: 今回の検討では,高齢群は非高齢群と比較して術中体温変化に年齢の影響はみられなかった. 70歳以上の高齢者においても術野である腹部以外の保温と加温をすることで,体温保持は可能と考えられた.O13-5 ICU における患者の音環境について~環境調査と患者アンケートの結果から~1)東北薬科大学病院、2)宮城大学看護学部菊地 寿美枝1)、袋地 好美1)、霜山 真2)【研究目的】A病院ICU内の音に対する患者の捉え方と騒音レベルを明らかにし環境改善の示唆を得る。【研究方法】対象:ICU に入室した患者37名、調査期間: 平成26 年4 月~5 月、調査方法:ICU退室3 日後に訪問し、独自に質問紙を用いて聞き取り調査を実施した。調査内容:基本属性(性別・年齢・病室・在室日数)ICU内の音の感じ方、気になる音の種類、音が気になった時間帯の計7 項目とした。騒音の調査については、ICU の8室中4室を選択し、ベッドの頭側にデジタル騒音計SD-2200 を設置し音量を測定した。測定時間に処置や申し送りなど音が発生しやすい時間帯(昼間8時・10 時・15時・17 時、夜間22時・24 時・4時・6時)とした。分析方法に基本統計量を算出し、患者の音の感じ方については、属性との関係をMann-whitney のU 検定・Kruskal-Wallisの検定を用いて、有意水準は5%とした。なお、本研究はA病院倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】有効回答は37名、平均年齢70 ±10.3歳。ICU内の音について、気になると答えた人は29.7%、やや気になるが5.4%、気にならないが65%であった。気になった音は、医療機器音35.2%、医療者の声11.7%、氷枕を作る音11.7%、BGM11.7% であった。時間帯別の平均音量は昼間、53.6dB、夜間46.0dB。24時間の平均音量は49.8dB。最大音量は、引出の開閉音70.0dB、医療者の声67.0dB、医療機器音58.0dBであった。【考察】本調査より、環境省の基準値(昼間50dB 以下、夜間40dB以下)を上回っており、患者にとって好ましい療養環境とは言えないことが分かった。患者が気になる音と大音量を生じた音の種類は一致していないものもあり、音量だけの問題ではないと考えられた。引き出しの開閉音や医療者の声など昼夜ともに基準値以上の騒音が発生していた。患者の約3割が医療機器音や医療者の声などの音が気になっていることが明らかとなり、騒音に対する改善の必要性が示唆された。