ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-411-O9-4 小児集中治療室での気管切開までの期間と予後1)静岡県立こども病院 小児集中治療科、2)静岡県立こども病院 小児外科和田 宗一郎1)、菊地 斉1)、伊藤 雄介1)、金沢 貴保1)、川崎 達也1)、福本 弘二2)、漆原 直人2)【背景】長期人工呼吸管理が予測される患者に対する気管切開施行の時期に関して、成人領域では複数の大規模な研究がある。一方、小児領域において気管切開やその施行時期についてこれまでの検討は少ない。【目的】小児集中治療室における気管切開施行患者の施術前の気管挿管期間を調査し、臨床的予後との関連を検討する。【方法】当施設開設から約8 年間で気管切開が施行された患者を診療録を用いて抽出し、後方視的に検討を行った。施術前の気管挿管期間が14日以内の群(早期群)と15日以降の群(後期群)に分け、ICU内での死亡、ICU 滞在期間、入院期間について比較を行った。【結果】調査期間内に気管切開が施行された患者は89名で、年齢の中央値は1.6(0.25-8)歳で46名(52%)に神経学的異常や多発奇形を伴う基礎疾患があった。気管切開前の気管挿管期間の中央値は13(6-26)日間であった。早期群(49名)と後期群(40名)では年齢、基礎疾患の有無、気管切開の適応病態、予測死亡率に差を認めなかった。ICU内での死亡は2名で、いずれも後期群の患者であった。ICU滞在期間(早期群 14(9-20)日間,後期群 35(25-65)日間, p < 0.05), 入院期間(早期群 70(34-150)日間, 後期群 119(61-241)日間, p < 0.05)はいずれも後期群がより長期間であった。【結論】我々の検討では、気管切開前の気管挿管期間が長期となると、ICU 滞在期間や入院期間の延長をきたす可能性が示唆された。O9-5 術後予定外ICU 入室に関する検討 有害事象に備え小児麻酔・集中治療に熟達した医師とICUが必要である1)国立成育医療研究センター 手術・集中治療部、2)聖路加国際病院 麻酔科・集中治療室秋山 類1,2)、糟谷 周吾1)、西村 奈穂1)、中川 聡1)、鈴木 康之1)【背景・目的】時に手術後の患者が有害事象のため、予期せずICUに入室したり、手術経過・術後回復室での経過観察にて病棟帰室に問題がないと判断された患者が時間を経て入室したりする。小児医療施設における手術患者の術後予定外小児集中治療室(PICU)入室症例をまとめた報告は少ない。本報告ではこれらをまとめ、傾向と対応を検討する。【対象】2012年1 月1 日から2015年3月31日までの3年3か月に成育医療研究センター(以下、当院)麻酔科(以下、当科)が関与した麻酔症例のうち、術後48時間以内にPICUに入室した症例(以後、対象患者とする)とした。【方法】PICUに緊急入室となった患者一覧から診療録・麻酔台帳を参照し症例を選択、後方視的に検討した。【結果】PICU緊急入室症例1502 例のうち、対象患者は全57症例(期間中手術16955件)、月齢中央値(四分位範囲)27(14-71)か月、体重10(7.8-18)kg、PICU在室日数3(2-6)日、緊急手術後16例(28%)、ASA PS-1 10 例(18%)、重篤な基礎疾患なし 18 例(32%)であった。すでにpalliative care 中の1 例が死亡、他は生存。PCPC 変化は1低下2 例、4低下1例、5低下1例(死亡例)であった。直接入室症例(D群)38 例、病棟帰室後入室群(I群)19 例の入室理由は気道閉塞(D 群/I群)15/0、呼吸障害8/5、循環障害9/5、中枢神経系の障害0/5、心停止蘇生後4/0、その他 2/4であった。各症例の術中・術後経過を検討したが、対象患者に一定の傾向は得られなかった。【考察】基礎疾患やPSには依存せず、小児手術では様々な有害事象が起こる。当院では小児麻酔科医の存在、Rapid Response Systemの採用、院内急変を想定したPICU運用により安全な医療に貢献していると思われた。【結語】小児手術を行う施設では小児麻酔・集中治療管理に熟達した医師とPICUが必要である。O9-6 沖縄県における小児集中治療室(PICU)設置および専従医配置が、地域の小児死亡にもたらした影響沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児集中治療科藤原 直樹、制野 勇介、八坂 有起【目的】第42回学術集会において、PICU専従医体制がPICU死亡を含む様々な臨床的アウトカム改善に寄与しうることを発表した。今回、PICU設置や専従医配置が地域社会に及ぼす影響を検証した。【方法】当院は2006 年開院の小児・成人総合医療施設で、県内の小児高次医療機関しての役割を担う。PICU(6 床)は内因・外因すべての小児重症患者に対応する県内唯一の病床で、開院当初より稼働、2010 年度より新たに専従医による診療体制が導入された。病院開院前(前期:2002~2005年)・開院後(中期:2006~2009年)・PICU専従医配置後(後期:2010~2013年)の4年ごと3つの期間に分けて、比較検討した。沖縄県内の小児人口(0~14歳)、小児死亡数、新生児死亡数、乳児死亡数、さらにNICU死亡数の年次推移等を調査した。統計はカイ2 乗検定を用いて行い、P < 0.05 で有意差ありとした。【結果】0~14 歳の全小児死亡数は前期317 名・中期264 名・後期285 名で、小児人口1,000 あたり前期0.31・中期0.26・後期0.28であり、前期と中期との間に有意に死亡率減少をみとめた。(P = 0.049)PICU の対象となりうるNICU 死亡を除いた小児死亡数は、前期267・中期195・後期197 であり、前期と中期および後期の間で有意に死亡率が低下していた。(P = 0.002)当院におけるNICU 死亡を除いた小児死亡数は、前期30名(11.2%: 県内小児死亡数に占める割合)・中期50 名(25.6%)・後期68名(34.5%)と年々増加し、小児病院以外での小児死亡の減少をもたらした。【考察】小児病院開院やPICU設置、さらに専従医配置により、重症児集約化が進み、県内の小児死亡率低下につながった。さらなる予後改善のために、よどみのない救急医療・安全な搬送システムの構築、多職種チーム医療の推進、PICUの拡充、さらにグリーフケアの充実等が課題である。【結論】小児専門医療施設の開院、PICU設置および専従医配置により、地域の小児死亡率が低下した。