ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-410-O9-1 超音波検査を用いた早産児における慢性呼吸障害の評価について埼玉医科大学総合医療センター櫻井 淑男、荒木 俊介、川崎 秀徳、金井 雅代、石黒 秋生、田村 正徳はじめに: 早産児における慢性呼吸障害の評価は胸部レ線に基づいて行われてきた。一回ごとの胸部レ線の被曝量は少ないとはいえ、長期入院中や退院後に繰り返される胸部レ線による総被曝量は無視できるものではない。 我々は、慢性呼吸障害の評価に『被ばくのない』超音波検査を適用してその有用性について検討した。対象と方法: 2014年4月以降当科に入院し、慢性呼吸障害の診断を受けた児で肺エコー検査を行った児19 名(GA 27.3+2.4wk, BW 930+370g)についてその結果を後方視的に検討した。また、肺疾患以外の病名で入院した6 名の児の肺エコーと上記結果を比較した。結果: 1)CLD36 の欧米規準に基づくと19 名の内訳は、軽症4名、中等症6名、重症9 名であった。 2)19名中17 名でB ラインが認められ、17 名全例胸部レ線で異常陰影が認められた。 3)Bラインが認められなかった2名は、検査日が日令170であり、そのうちの1名は、胸部レ線は正常化していた。 4)肺疾患以外で入院した6名の患児の肺エコーでは、Bラインは認められなかった。考察: 新生児の肺エコーの論文が欧米雑誌に散見されるようになったが、我国のNICUでは肺エコーは普及していない。そこで今回慢性呼吸障害に対して肺エコー検査を適用した。肺疾患のない6 名の児ではB ラインは認められなかったのに対して慢性呼吸障害と診断された19 名の児の89%にB ラインが認められた。また、Bラインの認められなかった2 症例は、すでに日令が170とかなり進んでおり、そのうちの1名は胸部レ線も正常化していた。今後症例を重ねて、慢性呼吸障害に対して胸部レ線の代わりに超音波検査で経過観察できる可能性を検討する。口演 9 小児・新生児① 2月12日(金) 11:00~12:00 第7会場O9-2 機能的単心室患者術後横隔神経麻痺に対する非侵襲的陽圧換気の有用性と限界京都府立医科大学 麻酔科 集中治療部田畑 雄一、橋本 悟、徳平 夏子、井上 美帆、木村 彰夫、黄瀬 ひろみ、三井 誠司、成宮 博理【目的】機能的単心室患者における術後横隔神経麻痺は呼吸・循環に負の影響があり、積極的に非侵襲的陽圧換気(以下NIPPV)の導入を行ってきた。その有用性と限界について検討した。【方法】2009 年1月から2014 年12月の間に術後横隔神経麻痺を合併しNIPPV を使用した機能的単心室患者を対象とし、診療録より後方視的に検討した。再挿管もしくは縫縮術を行わずにNIPPV を24時間以上離脱したものを離脱と定義し、離脱率ならびに再挿管・縫縮術要した症例を調査した。統計解析にはFisherの正確確立検定を用いた。【結果】対象患者は20例。年齢中央値は13ヶ月(1ヶ月-4歳10ヶ月)。術式はフォンタン手術後7例、グレン手術後10例、体肺動脈短絡術後3例であった。NIPPV使用期間は中央値5日間(1-25)。再挿管は30%(6/20)、横隔膜縫縮術は35%(7/20)で行われた。また人工呼吸離脱困難のため気管切開を要した患者は2例で、ともに両側横隔神経麻痺を合併していた。離脱率は月齢12ヶ月未満では30%(3/10)と月齢12ヶ月以上90%(9/10)と比較し有意に低かった(p=0.02)。術式別離脱率はフォンタン手術後100%(7/7)、グレン術後40%(4/10)、体肺動脈短絡術後33%(1/3)。またNIPPV を8 日間以上使用した症例での離脱率も17%(1/6)と低かった。【考察】12ヶ月未満児では術後横隔神経麻痺に対するNIPPV の有用性は低い、乳児期における呼吸の未熟性がその一因と示唆された。一方で術式による影響も示唆されたが機能的単心室患者の術式選択と年齢の関係を考慮すると、より多数例での検討が必要と考えられる。また8日間以上のNIPPV 使用症例は1例を除き再挿管もしくは縫縮術を要し、横隔膜機能の早期改善傾向を認めない場合の離脱を目的としたNIPPV長期使用は有用とは言い難い。【結語】術後横隔神経麻痺に対するNIPPV は、12ヶ月未満の患者もしくは8 日間以上使用の際の離脱率は低く早期の介入を検討する必要がある。O9-3 先天性心疾患術後の新生児症例における再挿管リスクファクターの検討静岡県立こども病院 循環器集中治療科三浦 慎也、濱本 奈央、大崎 真樹、中野 諭、齋藤 千徳、粒良 昌弘、宮越 千智【目的】近年Fast-trackの普及により、心臓術後の呼吸管理は短くシンプルになっている。しかし依然として新生児や乳児早期の児では人工呼吸期間が長く再挿管率が高いとされる。再挿管はICU 滞在日数、合併症、死亡率の増加と関係があり、低年齢児の術後呼吸管理は近年注目を集めている。我々は新生児期に心臓手術を受けた症例の再挿管率、原因、リスク因子を調査した。【方法】対象は2011年1 月-2014 年12月の間、生後31 日以内に心臓手術を受け、当院CCUに入室した症例。抜管失敗を48時間以内の再挿管と定義し、再挿管の理由、背景、周術期の関連因子を調べた。データは、カイ二乗検定、t検定で単変量解析を行い、有意な因子はロジスティック回帰分析を用いて独立リスク因子を選定した。【結果】121の抜管事象(111人)の中で、抜管失敗は16例(13%)に生じた。日齢中央値は13日、60%が姑息術。再挿管例の合併症は、気道病変5例、染色体異常3例、不整脈3 例、横隔神経麻痺2例。再挿管の理由は、呼吸10 例、循環5 例、出血1 例。呼吸不全の中では気道病変や横隔神経麻痺が多く、循環不全の中では並列循環児の低心拍出症候群が多かった。再挿管後11 例は内科的治療のみで抜管に成功した。再挿管群でICU滞在日数が長かったものの、死亡率は2 群間で有意差を認めなかった。再挿管のリスクファクターとして単変量解析では、日齢、気道病変、術前からの呼吸管理、術後呼吸管理日数、二期的胸骨閉鎖、術後ECMO使用、CVP高値、循環作動薬の使用があげられ(p<0.05)、多変量解析では気道病変が最も強力なリスク因子であった(EOR=19.1; p < 0.01)。【結論】新生児期心臓手術における再挿管率は13%であった。再挿管理由は多岐に渡っていたが、内科的治療の最適化のみで改善することがほとんどであり、呼吸循環管理を始めとする全身管理が最も重要と思われた。気道病変合併は最も大きなリスクファクターであり、特に慎重な対応が必要と考えられる。