ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-407-O7-4 心臓手術後ICU 入室時のFIBTEMはフィブリノゲン値より新鮮凍結血漿の必要性予測に優れる1)独立行政法人労働者健康福祉機構 浜松労災病院 麻酔科、2)浜松医科大学医学部 麻酔・蘇生学講座、3)すずかけセントラル病院 麻酔科鈴木 祐二1)、木倉 睦人1)、川島 信吾2)、佐藤 恒久3)、土井 松幸2)、中島 芳樹2)目的)ICU入室時のフィブリノゲン値およびROTEM(R)測定項目のうちフィブリン重合能を評価するFIBTEMと、新鮮凍結血漿(FFP)の必要性および出血量との関連性を調べた。方法)人工心肺を用いた成人心臓手術76例(男性44人,57%)につき、ICU 入室時のフィブリノゲン値、FIBTEM A10とICU 入室後24 時間のFFP 輸血量、出血量との関連性について後方視的に調査した。輸血の適用は心臓外科主治医に一任された。統計処理はStudent t-test、ROC 分析とその比較を用い、p< 0.05 を有意な差とした。結果)ICU 入室時のフィブリノゲン値は178 ± 40(mg/dl)、FIBTEM(A10)は7.1 ± 2.8(mm)でFFP は27 例(35%)に投与された。FFP輸血のカットオフ値はフィブリノゲン値:190(AUC 0.59, p=0.08)、FIBTEM(A10):7(AUC 0.68, p<0.01)だった。フィブリノゲン値のカットオフ値の前後で比較すると、FFP輸血量(単位)は差があり(1.4±1.9vs0.5±1.0,p=0.03)、出血量(ml)には差が無かった(589 ± 319vs507 ± 281,p=0.28)。しかしFIBTEM のカットオフ値前後では、FFP 輸血量は差があり(2.0±2.3vs0.5±0.9,p<0.01)、出血量にも有意な差があった(675±309vs487±287,p<0.01)。さらにFFPの必要性についてフィブリノゲン値とFIBTEMでROC曲線の比較をすると、FIBTEMはフィブリノゲン値よりもFFP必要性の予測能が高かった(p=0.04)。考察)従来のフィブリノゲン値よりもフィブリン重合能を評価するFIBTEMの方が、術後のFFP の必要性の予測能が優れ、適正輸血の指針となりえることが示唆された。O7-5 脳神経外科緊急手術時のワーファリン拮抗薬としてのクリオプレシピテートの有用性焼津市立総合病院 救急科富田 守【目的】ワーファリン服用患者で超緊急の手術が必要な場合のリバースにクリオプレシピテート(以下クリオ)が有効か否かを検討した。【対象】2014年6 月から2015 年6 月の期間で緊急の脳外科手術が必要となったワーファリン服用患者6 例を対象とした。平均年齢75 才で、慢性硬膜下血腫4 例、急性硬膜下血腫1 例、小脳出血2例であった。【方法】クリオ製剤(1パックはFFP480mlから抽出し約60ml)を緊急手術前に2 または3 パックを急速に点滴した。また、ケイツーを10 または20mg静脈注射した。4症例では、初回投与から60 分以降にクリオまたはFFP を追加投与した。PT(INR)、aPTT、各凝固因子(1-13 因子)活性をクリオ投与前(A)、10 分後(B)、60 分後(C)、6 時間後(D)、24 時間後(E)で測定した。【結果】各時間(A-E)における平均±標準偏差は、INR:2.52 ± 0.8、1.96 ± 0.3、1.87 ± 0.2、1.44 ± 0.2、1.25 ± 0.1、aPTT(秒):38.8 ± 6.4、34.0 ± 2.0、33.4 ± 2.4、30.6 ± 1.4、29.1±2.5であった。投与前とくらべ、INR、aPTTともに統計学的に有意に10分後には改善していた。また、各凝固因子活性では、全ての症例で、2因子の活性が凝固に必要な活性値(40%)より低下していた。クリオ製剤投与により、10分後には、1・2・7・9・10・13因子で統計学的に有意に活性%が増加した。【結論】クリオは、FFPと比べ、心臓の悪い患者に容量負荷をかけることなく、急速に投与可能である。2・7・9・10 因子の活性を上昇させ、凝固の改善に有用である。今後は、ワーファリンのリバースにクリオの適切な投与量の検討が必要である。O7-6 ICUにおける深部静脈血栓・肺塞栓症のリスク因子解析東北大学病院 高度救命救急センター佐藤 武揚、久志本 成樹【目的】 当施設における深部静脈血栓症(以下DVT)の特徴を明らかにする【対象と方法】 当施設に2010年から2014年までに3日以上入室した2611例のうちで入院時には診断されず、入院後に画像上DVTと診断された56症例を後方視的に解析した。原疾患、入院時重症度、栄養経路、抗菌薬など薬物使用量について多変量解析を行い、臨床的特徴を検討した。数値は中央値(四分位)で表記した。【結果】 単変量解析でAPACHE-II score、SOFA score高値などが関連する因子として抽出された。さらに多重ロジスティック回帰分析により中心静脈栄養例(p=0.0061, OR=0.95)、手術施行例(p=0.0099, OR=3.20)が独立してDVT 形成に関与する独立した因子として抽出された。DVT 形成例の年齢は61(36-70)歳で病院死亡は6 例(9.0%)であった。APACHE-II score は22(17-26)点、SOFA scoreは8(6-10)点で、ISS scoreは25(22.5-35)点であった。原疾患は熱傷、外傷が32 例で重症敗血症が14例であった。中心静脈カテーテルは44例(77%)に留置歴があり、DVTが確認されたのは18(12-43)病日だが、血栓形成部にカテーテルが挿入された時期は第1.5(0-8)病日であり、10(5-18)日間留置されており発見時にはほとんどが抜去後であった。血栓形成が確認されるまでの間に脂肪乳剤はPropofolを含めて22例(39%)に使用されており投与経路はCV経由が13例(59%)であった。血栓予防策は49例(88%)に施行されていた。DVT形成部位に挿入されていたCVカテーテルは4ルーメンが23例(48%)を占めた。【考察】 ICU におけるDVT のリスクは高い入院時重症度、手術例、中心静脈栄養例で高くなり約8割がCV カテーテル関連であった。特に初療時に使用された4-lumen catheterが関与している可能性があり、脂肪乳剤との関連は明らかではない。