ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-406-O7-1 繰り返す皮下出血から診断に至った後天性血友病Aの1 症例1)阪奈中央病院 外科、2)東京大学医学部付属病院、3)JR 東京総合病院倉田 秀明1)、熊本 新一1)、堀家 一哉1)、遠藤 清1)、井口 竜太3)、中島 勧2)、矢作 直樹2)症例は既往歴に脳出血をもつ71歳男性。来院1週間前に転倒、左大腿部皮下血腫が改善せず腫脹、疼痛が強いため救急要請された。左大腿部に皮下血腫痕あり。受傷部位の腫脹、疼痛著名。足背動脈の触知微弱。造影CT でextravasationないものの痛みが強く歩行できないため安静目的に入院管理となった。入院時血液初見:白血球数 12800/ μ l、赤血球数 253 × 104/ μ l、Hb8.5g/dl、Ht25.1%、血小板数 31.9 × 104/ μ l、PT 12.0 秒、APTT 82.8 秒。点滴の刺入部の皮下出血も目立つようになり、出血傾向とAPTTの延長から後天性血友病A を疑い追加した血液所見より凝固第8 因子 1% 以下、凝固第9 因子 47% であったため後天性血友病A と診断した。第10病日よりプレドニン60mg/日の点滴を開始し、APTT の改善、臨床症状も軽快した。【考察】血友病A は第8 因子に対する自己抗体が出現して内因性の第8因子が低下するために出血症状を呈する疾患である。高齢者と分娩後の女性に多く、様々な基礎疾患を背景に発症することが知られており、迅速な診断と適切な止血および免疫学的治療が必要とされる。【まとめ】高齢者の繰り返す皮下出血という疫学・エピソードから後天性血友病A を疑い、血液所見で診断に至ることができた。後天性血友病Aは致死率が高く、早期に治療を開始しないと時に重篤な経過を辿る場合がある。突発する出血傾向、APTT単独延長を認めた場合、後天性血友病Aを鑑別の一つとして挙げ、迅速で適切な治療につなげる必要がある。口演 7 血液・凝固線溶① 2月12日(金) 13:30~14:30 第5会場O7-2 特発性血小板減少性紫斑病を合併した感染性大動脈瘤・食道穿孔の血液凝固管理にROTEMが有効であった1 例1)佐賀大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科、2)伊万里有田共立病院谷川 義則1)、中村 公秀1)、山田 友子1)、中川内 章1)、松本 浩一2)、坂口 嘉郎1)背景:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併した感染性大動脈・食道穿孔の周術期管理に関する報告例はこれまでない。症例:40歳、女性、身長 160 cm、体重 75 kg。ITPと糖尿病の既往があったが、自己判断で加療を中止。肺炎球菌起因の感染性大動脈瘤で入院加療。第5病日に動脈瘤破裂・食道穿孔を認め、緊急ステントグラフト内挿術を施行。食道穿孔に対しては、凝固能回復後に外科的治療の方針とした。ロミブロスチムとステロイドには治療抵抗性で、血小板は1万/ul 前後、EXTEMとFIBTEMのMCFは53/14 mmであった。大量免疫グロブリン療法後の血小板は4 万/ul だが、EXTEM とFIBTEM のMCF は70/24 mm と正常化し、第60 病日に鏡視下食道切除・胃管再建術を施行した。出血量は200mlであった。術後は右胸腔内膿瘍の加療を必要としたが、術後30 日目にICU を退室した。考察:ROTEM を用いて血液凝固能を評価することで、血小板数は低値であったが周術期に良好な止血管理を行うことが可能となった。O7-3 小児開心術後の体外式心肺補助装置管理に血液弾性粘ちょう度検査が有用であった一症例名古屋市立大学 大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野佐野 文昭、松本 梓、長谷川 達也、岡野 将典、小出 明里、米倉 寛、寺島 良幸、河野 真人、浅井 明倫、祖父江 和哉【はじめに】小児開心術後の体外式心肺補助装置(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)は、術後出血と回路内血栓の相反する状態が存在し、治療に難渋することがある。近年、生体反応に近い形で血小板、凝固因子、線溶状態などを総合的に診断する血液弾性粘ちょう度検査(thromboelastgraphy; TEG)が注目されている。今回、小児開心術後のECMO 症例に対し、TEGを参考に周術期管理を行ったので報告する。【症例】5ケ月の染色体異常(Jakobsen症候群)のある男児。左心低形成症候群に対しNorwood手術が施行された。人工心肺離脱直後から低酸素血症となり、ECMO下にICU入室した。約4時間後には血小板数は基準値内、凝固系検査もほぼ基準値となったが、ドレーン出血が持続するためTEG を施行した。抗凝固目的のナファモスタットによるカオリン作用減弱の影響を考え、RapidTEG を参考にした。結果はR time=0.6、K time=2.0、Angle=72.5、MA=54.0、LY30=0.3であった。血小板機能を表すMA 基準値下限、フィブリン機能を表すTEG Functional Fibrinogen MA基準値内、ナファモスタットの血小板凝集抑制等を考慮し、血小板輸血を行った。その後ドレーン出血は減少、循環は安定した。POD1に出血は治まったが回路内血栓が出現しため、再度TEG を施行。ACT は190秒と延長していたが、R time=0.3と凝固開始までの時間が基準値内であったためヘパリン持続投与を追加した。その後血栓は増大せず、POD4にECMO 離脱、POD40に退室した。【まとめ】小児開心術後のECMO 管理には、TEGが有用かもしれない。