ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-403-O5-4 当院におけるICU リハビリテーションの経過と課題1)前橋赤十字病院 リハビリテーション科、2)前橋赤十字病院 救急科大崎 仁1)、大竹 弘哲1)、田中 真理子1)、劉 啓文2)【背景・目的】当院では全国に24 施設ある高度救急救命センターの内の1 施設であり、群馬県ドクターヘリ基幹病院である。現在ICUは12床に増え、2012年度からはリハビリテーション科の医師が就任、毎週ICUカンファレンスに参加する事で早期離床に向けて他職種での関わりがなされてきた。今回過去数年のICU におけるリハビリの関わりを調べ、今後の課題を考えた。【方法】2006 年度から2013年度にかけてICU 入室した中でICUよりリハビリを開始した患者を対象とした。ICU入室からリハビリ開始までの期間、ICU在院日数、全入院日数等を調査した。統計方法はMann-WhitneyのU 検定を使用し、有意水準5%未満とした。【結果】2006 年度は430 件中51 件(12%)がICU よりリハビリを開始し、2013 年度は811 件中225 件(28%)と介入率が増加した。ICU 入室からリハビリ開始までは、2006 年度8.8 ± 6.4 日から2013 年度4.1 ± 3.3 日と有意に減少し、ICU 在院日数も2006 年度17.4± 16.0 日から2013 年度10.1 ± 12.9 日と有意に減少した。全入院日数は有意な差はなかった。【考察と課題】早期リハビリテーションの必要性への認識が高まり、ICUからの介入件数が増加し、リハ職種が離床や合併症予防を行う事でICUからの早期退室に繋がっていると考える。ただし、2013 年度でも介入率は30%程度であり、以前介入していない患者の廃用や合併症のリスクが考えられる。現在、救急科の医師主導で早期離床のプロトコールを作成、一部を除いた疾患以外の患者に対して早期介入を開始しているが、それに応じてリハビリ職種も集中治療現場での知識やリスク管理等の周知徹底が行われていく必要があると考える。O5-5 救急ICUでリハビリテーションを施行した外傷患者の退院時QOL の特徴1)公益財団法人 倉敷中央病院 リハビリテーション部、2)公益財団法人 倉敷中央病院 救急科川田 稔1)、下雅意 崇亨1)、沖 圭祐2)、田村 暢一郎2)、福岡 敏雄2)【目的】救命できる患者が増加するに従い,集中治療を受けた後の長期生命予後やQOL の検討が必要となっている.ICU に入室する重症患者のQOLは,ARDS・敗血症・外傷および長期人工呼吸器管理となった患者で最も低値となる.今回,ICUに入室した外傷患者のQOL を退院時に評価し特徴を明らかにすることとした.【方法】EICUへ入院した62例で平均年齢62歳.男性46例,女性16例である.QOLの評価にはSF36v2を使用した.検討内容は,1.当院退院時のQOL を調べ国民標準値と比較する.2.ISSで軽症群(ISS <16),重症群に分けQOL・人工呼吸器使用率・在院日数・自宅退院率を比較する.分析は,Mann-Whitney 検定を使用した.【成績】標準値より各項目で低下し,特にPF(身体機能)・RP(日常役割機能:身体)は,10点台で著明に低下していた.また重症度別では,人工呼吸器使用率で有意差を認めた(p<0.05)が、その他の項目で有意差は認めなかった.PFは身体機能に制限を、RPは活動に制限を感じているかどうかである.外傷患者は,解剖学的な面で身体機能に障害を生じることが多く,早期に復職や社会復帰ができないことが影響した.また重症度別では,QOL低下の要因に,人工呼吸器使用が挙がっており先行研究と同様であり妥当の結果であった.その他の項目で有意差を認めないのは,受傷や退院直後は身体機能の回復が十分でないためQOLは低値となり,時間をかけて回復してくることが得点を低くし影響した.【結論】急性期では,運動機能の低下から活動が制限されQOL の低下をきたすことが多い.今後は,ADL とQOL の関連の検討が必要である.O5-6 救急ICUにおける内科系疾患患者の自宅退院に影響する要因の検討1)公益財団法人 倉敷中央病院 リハビリテーション部、2)公益財団法人 倉敷中央病院 救命救急センター下雅意 崇亨1,2)、川田 稔1)、福岡 敏雄2)、沖 圭祐1)【目的】集中治療領域における退院転帰についての報告は本邦において未だ少なく、救急ICU における内科系疾患の退院転帰の傾向とそれに関わる要因を明らかにするため検証を行なったので報告する。【対象と方法】対象は2013 年4 月から2014 年12 月の間に救急ICU に入室した患者で、リハビリテーション(リハ)を行なった内科系疾患患者175 例とし、退院時の転帰を調査し自宅退院群、転院群に分類した。さらに患者背景要因、入院中の要因、リハ実施状況について調査を行い、二群間において比較検討を行なった。統計解析はχ 2 検定、Mann-Whitney のU 検定、対応のないT検定を行った。群間比較で統計学的に有意差を認めた項目をもとに、影響が強いと予測された項目を説明変数、退院転帰(自宅退院・転院)を目的変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】自宅退院群と転院群の比較を行った結果、患者背景要因においては、年齢、SOFA、APACHE2、ADL 自立度に有意差を認めた。入院中要因においては、人工呼吸器装着期間、入院時および退院時Alb、リハ開始時MRCscore、初回端座位保持可能率に有意差を認めた。リハ進行状況ではリハ開始から端座位・起立・歩行開始日、歩行自立率、在院日数、開始時と終了時の各FIM値の項目で有意差を認めた。多重共線性の影響を除去するため、終了時FIM(運動)および端座位開始日の項目を除外した上で多重ロジスティック回帰分析を行った結果、歩行自立率(オッズ比19.43、95%CI5.668-66.6)、起立開始日(オッズ比1.296、95%CI1.074-1.565)、入院前ADL 自立度(オッズ比3.139、95%CI1.132-8.703)が独立した要因として選択された。【結論】救急ICUの入室患者は、入院前のADL自立度と、早期に起立を中心とした離床を図り、速やかに移動能力の自立を図ることが重要であり、それらは退院転帰決定の影響要因となる。