ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
401/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている401ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-399-O3-4 iPS 細胞から2 型肺胞上皮細胞への分化誘導1)岡山大学病院 麻酔科蘇生科、2)岡山大学病院 薬剤部林 真雄1)、神崎 浩孝2)、松岡 義和1)、森松 博史1)【はじめに】近年iPS細胞から様々な細胞を分化させそれを再生医療として応用しようという試みがなされている。すでに心筋細胞、神経細胞、肝細胞等はその分化の過程が広く研究されている。我々はiPS 細胞から、より迅速で安価に2 型肺胞上皮細胞を分化させる方法を模索しており、iPS 細胞から2型肺胞上皮細胞を分化させることに成功したので報告する。【方法】マウスiPS 細胞(miPSC、(理研BRC、茨木、日本))をESGRO 2i medium(Merck Millipore, MA, USA)にてfeederless 培養した後、IMDM,Ham’s F12, Ultra pure BSA, L-Glutamine, N2supplement, B27 supplement(Thermo fisher scientific, MA, USA), Ascorbic acid(Sigma-aldrich, MO, USA)を混合した培地(Differentiation medium, DM)を基本の培地として、それにActivin A, 物質A,Fibroblast growth factor 2(FGF2), Fibroblast growth factor 10(FGF 10), Wnt3a(R&D systems, MN, USA), 物質B(Sigma-aldrich, MO, USA) などの分化誘導物質を添加して様々な条件で培養し比較検討した。2型肺胞上皮細胞に分化しているかどうかはSurfactant protein C(SFTPC)をマーカーとしてRT-PCR により判定した。【結果】SFTPCが確認されたのはActivinA を添加し(DM+Activin A)、24 時間培養した後DM+ 物質A+ 物質B にて24 時間培養。その後DM+Fibroblast growth factor 2(DM+FGF2)にて7~13日培養したもののみであった。また、物質A+物質Bで培養しなかった場合は同じ期間培養してもSFTPCが確認できなかった。(物質A、物質Bは特許に関係する可能性があるため明らかにせず。)【考察】2型肺胞上皮細胞への分化誘導には物質Aと物質B の存在が非常に重要であると考えられた。O3-5 n-3不飽和多価脂肪酸はLPS 刺激によるHMVEC- L血管内皮モデル血管透過性を有意に減少させる1)兵庫医科大学救急・災害医学講座、2)神戸大学大学院保健学研究科病態代謝学尾迫 貴章1)、坂田 寛之1)、山田 太平1)、山下 勇人2)、石川 倫子2)、宇佐美 眞2)、中尾 篤典1)、小谷 穣治1)【目的】敗血症に続発する急性呼吸窮迫症候群の本態は、惹起される肺毛細血管透過性亢進による白血球遊走および肺水腫にある。n-3 不飽和多価脂肪酸(以下n-3 PUFAs)、特にドコサヘキサエン酸(以下DHA)やエイコサペンタエン酸(以下EPA)は好中球浸潤を減弱せしめ、また細胞間密着結合再構築を通して血管内皮の血管透過性亢進を抑止することで、LPS 誘発急性肺傷害を軽減させるとされている。しかし、血管透過性制御因子とn-3 PUFAsの関連性についての報告はない。今回我々は、n-3 PUFAsは肺毛細血管内皮細胞におけるLPS誘発透過性亢進を軽減させるとの仮説を立て、肺毛細血管透過性に対するn-3 PUFAsの効果、およびLPS 刺激下における透過性に関係する遺伝子発現を検討することとした。【方法】fibronectin-coated transwellのapical 面に播種したHMVEC-L を用いた。細胞はn-3 PUFAs であるDHA もしくはEPA にての前処置後に、LPS(1 μ g/mL)投与し急性肺障害モデルとした。毛細血管透過性はtranswellのapical側からbasal側へのFITC標識アルブミンの移行を測定した。細胞間接着タンパクのmRNA発現および細胞基質間接着の調節因子はリアルタイムPCRにて測定した。VE-cadherinの発現および分布は免疫蛍光染色にて評価した。数値は平均±標準偏差にて表し、Tukey-Kramer’s post hoc test にて解析した。p 値< 0.05 を以て、統計学的有意とした。【結果】LPS 刺激下においてDHA およびEPAは、4 時間後および8 時間後のHMVEC-L血管内皮モデル透過性を有意に減少した。DHA は、IL-6 mRNA 誘導を有意に減弱させ、EPA はH1R-mRNA およびIL-6 mRNA 誘導を有意に減弱させた。DHA およびEPA は、VE-cadherine の崩壊を抑制した。【結語】LPS 刺激下におけるDHA/EPAの血管透過性、および血管透過性に関与する遺伝子発現への影響を、HMVEC-L 血管内皮モデルを用い検討した。n-3 PUFAsは、敗血症に続発する急性呼吸窮迫症候群の重症化を抑制する可能性を秘めている。O3-6 呼吸音自動解析能を有する新たな電子聴診器の開発1)広島大学大学院 救急医学、2)県立広島病院 救急科山賀 聡之1)、大下 慎一郎1)、貞森 拓磨1)、儀賀 普嗣2)、岩崎 泰昌1)、廣橋 伸之1)、志馬 伸朗1)【背景】呼吸音聴診は非侵襲的で簡便性,迅速性に優れ,科学技術が発達した現在においても,肺病態生理の評価に重要な情報をもたらす.しかし,呼吸音評価は客観性に乏しく,適切な評価には十分なトレーニングが必要である.さらに,国際基準の定義では,各呼吸音の周波数に重複がある.このため,より簡便・正確に呼吸音を評価する新技術の開発が必要である.【目的】呼吸音自動解析能を有する新たな電子聴診器を開発すること. 【方法】呼吸音の解析・可視化を行うタブレット・コンピューターおよび呼吸音の集音感度を高めた集音マイクを,パイオニア社と共同で開発した.従来の呼吸音解析は,周波数・音長の解析が主体であったが,我々はこれらに加え,副雑音種ごとに固有の周波数構造および発現タイミングに基づいて音の傾向を特徴量化することにより,聴診した呼吸音に含まれる副雑音を表現する手法を構築した.呼吸音は健常人・患者85名から計878音を収集した.3 名の呼吸器専門医が独立して,正常呼吸音,副雑音(水泡音,捻髪音,笛声音,類鼾音)に分類し,3名の判定が一致した分類を最終判定とした.本電子聴診器の解析精度をROC 解析で評価した.【結果】副雑音の診断力におけるAUC は,捻髪音0.936(95%CI0.918-0.954),水泡音0.740(0.690-0.789),笛声音0.743(0.698-0.788),類鼾音0.909(0.884-0.933)であった.ROC から設定した各副雑音の感度,特異度,正診率は,捻髪音:88%,85%,86%,水泡音:76%,58%,60%,笛声音:69%,72%,71%,類鼾音:84%,83%,84%であった.【結語】4つの副雑音の自動解析が可能なシステムを開発した.