ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-377-ES1-1 集中治療における人工呼吸器関連肺炎への展望名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野松田 直之【はじめに】集中治療領域では人工呼吸器を使用するために,従来,人工呼吸器関連肺炎(VAP: Ventilator Associated Pneumonia)として,注意喚起されてきた。人工呼吸器関連肺炎は,人工呼吸開始48時間以降に新たに発生する肺炎であり,気管挿管されていること,人工呼吸開始前に肺炎のないことが条件となる。1.胃内で増殖した細菌が気管内へ移行するパターン,2.口腔・鼻腔・咽頭の細菌の定着が気管内へ以降するパターン,3.気管チューブ内に菌が繁殖するパターン,4.人工呼吸器の回路汚染によるパターンなど,細分化されて評価されてきたが,当施設などでは丁寧な気道管理と全身管理において,人工呼吸器関連肺炎は決して多いものではなく,この死亡も認めない。厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)の2014年データでは,解析対象患者33,369名中395例(約1.2%)の人工呼吸器関連肺炎の発症である。この第1位検出菌20.1%が緑膿菌であるということは,免疫低下症例に発症していることが予測される。第2 位検出菌は,19.1% のMRSA である。Centers for Disease Control andPrevention(CDC)は,2013 年1 月に人工呼吸器関連肺炎の阻止に向けての新たな管理用語として,Ventilator-Associated Event(VAE),Ventilator-Associated Complication(VAC),Infection-related Ventilator-Associated Complication(IVAC)を提起した。これを基盤として,全国国公立大学病院集中治療部協議会は人工呼吸器関連肺炎VAE/VAC/IVAC 調査委員会を立ち上げ,日本集中治療医学会人工呼吸器関連事象検討委員会(Ad Hoc)と連動している。本講演は,以下の流れに準じて,討議を進める。【内容】1.人工呼吸器関連肺炎の動向,2,人工呼吸器関連肺炎の起炎菌と薬剤感受性の動向,3.CDCにおけるVAE/IVAC調査と国際論文,4.全国国公立大学病院集中治療部協議会の方向性,5.人工呼吸器関連肺炎における免疫管理。以上を2016年における集中治療の展望としてまとめる。イブニングセミナー 1 2月12日(金) 17:20~18:50 第3会場第5回MIICS~ICUにおける人工呼吸器関連事象(VAE/VAC/IVAC/PVAP)のマネジメントの最前線~ES1-2 人工呼吸器関連肺炎のマネージメント広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門救急医学志馬 伸朗 人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia: VAP)は、気管挿管下人工呼吸の開始48 時間以降に新たに発生する肺炎で、人工呼吸患者の最重要合併症である。VAP患者の死亡率は約30%と高く、その対応には難渋することが多い。 発症を未然に防止しうる予防策の適用が勧められるが、実際のところVAP発生から生命予後までも改善することが証明されている単独の手法は、選択的消化管内殺菌しか存在しない。しかし、本法は侵襲的かつ手間のかかる方法であり、耐性菌選択など副作用の懸念からわが国では一般的でない。予防効果判定に用いられてきたVAPサーベイランス手法を、VAE(ventilator-associatedevents)に変更する流れがあるが、これによりVAP予防策への関心がさらに低下する危険性もある。 診断、治療に関しても、依然として未解決問題が少なくない。まず、VAPの診断にはゴールドスタンダードがなく、主観的かつ曖昧な診断により治療が開始されてしまう。正確な診断を目的とした気管支肺胞洗浄(BAL)を用いた定量培養手法についても、生命予後改善観点からは疑問も呈されている。治療に関しては、経験的治療の重要性が指摘される一方で、広域多剤抗菌薬使用の過剰適用と予後悪化の危険性に対する警鐘的報告もある。さらに、治療期間の設定やデエスカレーションの可否や内容についても、議論が続いている。 本講演では、これらの問題点を中心に、現在得られる臨床的エビデンスを見直し、今後のよりよい実践につなげるための方向性を模索してみたい。