ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-365-LS14国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター大曲 貴夫 敗血症治療において、適切な治療開始の遅れは患者の予後や致死率に影響を与えるため、原因菌の同定結果および薬剤感受性試験結果を基に、可能な限り早く適切な抗菌薬を投与することが極めて重要である。しかしながら、実際には血液培養試験陽性後、細菌同定と薬剤感受性試験の最終結果が臨床に報告されるには数日を要する場合が多いため、現行の検査では臨床の要望に必ずしも十分に対応できていない。 一方、細菌と薬剤耐性遺伝子を同時に検出・同定できる自動多項目同時遺伝子検出システム「Verigeneシステム」(Nanosphere社)が、欧米で体外診断用検査システムとして認可されている。このシステムは、血液培養試験/ 陽性培養液を検体に用いて、検体の前処理から核酸の抽出、ハイブリダイゼーション、結果報告までを、専用自動装置内で2 時間~2.5 時間以内に処理することができる。そのため、米国では新たな敗血症の迅速診断検査システムとして、既に多くの施設で使用されている。 本システムによる試験には、2 種類の敗血症試薬パネル、BC-GP(グラム陽性菌用)、BC-GN(グラム陰性菌用)を使用する。本邦でも、日本臨床微生物学会シンポジウム並びに日本感染症学会等で、両パネルの検出性能や試験結果による臨床介入試験の成績について発表されており、敗血症の早期診断・治療における両パネルの臨床的有用性が、細菌検査技師、感染症専門医等に広く認知されつつある。また、体外診断用医薬品としての審査も進んでおり、早急な薬事承認が期待されている(2015年10 月現在)。 当院では2014 年8 月より、Verigene システムを用いた敗血症の早期診断による先進医療が施行中である。本セミナーでは、先進医療の概要、敗血症における細菌と薬剤耐性遺伝子の同時検出の意義等を、症例を交え紹介するとともに、将来的な展望についても述べたい。検出項目< 細菌>Acinetobacter spp. Citrobacter spp. E. coli, Enterobacter spp.Enterococcus faecalis Enterococcus faecium Klebsiella oxytoca Klebsiella pneumoniaeListeria spp. Proteus spp. Pseudomonas aeruginosa Serratia marcescensStaphylococcus spp. S. aureus, S. epidermidis S. lugdunensisStreptococcus spp. S. agalactiae S. anginosus Group S. pneumoniae S. pyogenes< 薬剤耐性遺伝子>mecA, vanA, vanB, CTX-M, IMP, KPC, NDM, OXA, VIMランチョンセミナー 14 2月13日(土) 12:20~13:20 第3会場先進医療:細菌・薬剤耐性遺伝子検査システムによる敗血症の迅速診断LS15名古屋大学大学院医学系研究科(保健学)山田 純生 末梢骨格筋に対する神経筋電気刺激療法(NMES)は、1900年代から主に運動器ならびに呼吸循環障害を有する慢性期の患者に適応され、骨格筋肥大や最高酸素量の増大などの身体機能改善効果が報告されてきた。2000年代に入り、COPDや慢性心不全を対象としたランダム化比較試験(RCT)が多く報告されるようになり、最近(2010年前後)では腹部外科術後患者を対象として、術翌日からの早期NMES による骨格筋断面積減少の抑制や骨格筋タンパク分解抑制効果が報告されるようになった。ICU入室者を対象とした報告では、骨格筋タンパク分解の抑制のみでなく、Critical illness polyneuropathy/myopathyの発生抑制効果がRCTで報告されている。これらNEMS に用いられている刺激波形の詳細は不明であるものの、低周波矩形波が多い。しかしながら、強度は“ 視覚的に筋収縮が確認できる程度”から“ 痛みに耐えられる十分な強度” まで幅広くまだ刺激方法にコンセンサスが取れていないことが分かる。我々もこれまでに同様の検討を重ねており、心大血管術後患者を対象として1)骨格筋タンパク分解は術後48 時間以内に促進すること、また2)術後筋力低下とも関連すること、したがって、3)術後のICUにおけるNMESは手術侵襲による骨格筋タンパク分解の抑制が介入標的となること、を指摘した。 ICUにおけるNMESは、まだ確立した介入方策ではないものの、ICU入室者特有の不安定な時期からの適応が可能であるだけに、これまで効果的なリハビリテーション介入がなかった対象まで適応できる可能性は極めて高い。本講演ではICU領域におけるNMESの基本的考え方とこれまでの研究結果を概括し、最後に今後の検討事項について言及することで、ICU におけるNEMSの現状と今後の方向性を示してみたいと思う。ランチョンセミナー 15 2月13日(土) 12:20~13:20 第4会場ICU領域における神経筋電気刺激療法