ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-353-GD3-3 日本版重症敗血症診療ガイドライン2016:初期蘇生領域のCQとガイドラインの方向性日本版重症敗血症診療ガイドライン2016作成特別委員会垣花 泰之、松嶋 麻子、久志本 成樹、松田 明久、神應 知道、井手 健太郎、安田 英人、櫻谷 正明、松田 直之、西田 修、小倉 裕司、井上 茂亮、射場 敏明、今泉 均、江木 盛時、小谷 穣治、貞広 智仁、志馬 伸朗、中川 聡、中田 孝明、布宮 伸、林 淑朗、藤島 清太郎、升田 好樹、織田 成人、田中 裕日本集中治療医学会Sepsis Registry委員会により行われた2007 年の重症敗血症および敗血症性ショックの診療結果報告によると、わが国の敗血症性ショック患者の28 日死亡率は37.7~42.4%である。敗血症診療ガイドラインのより広い普及を目指し、現在、改定版である日本版重症敗血症診療ガイ ドライン2016 の策定作業が日本集中治療医学会と日本救急医学会による合同委員会を中心に急ピッチで進行中である。そのなかで初期蘇生・循環作動薬班では、初期蘇生、輸液療法、昇圧薬、強心薬に関する9 つのClinical Question(CQ)を作成し、新規Systematic Review(SR)の必要性の有無を、相互査読を行いながら検討している。注目すべきは、Early Goal-Directed Therapy(EGDT)の推奨度である。SCCG(Surviving Sepsis Campaign guideline)2012 では、EGDTは敗血症性ショックに対する初期蘇生プロトコルとして推奨しており(grade 1C)、日本版敗血症診療ガイドライン2012 においても、EGDTは推奨度1Aと高く評価されている。ところが、2014 年、2015 年に相次いで報告された3つの大規模RCT(ProCESS、ARISE、ProMISe)で、EGDTの有用性が否定され、米国集中治療医学会(SSCM)/ヨーロッパ集中治療医学会(ESICM)が作成しているホームページ上のSCC 6 時間バンドル(Surviving Sepsis Campaign Six-Hour Bundle)においても、前述した3 つの大規模RCT の結果を受けて、「CVP、ScvO2 を測定する」という項目が削除された。日本版重症敗血症診療ガイ ドライン2016作成においては、「初期蘇生にEGDTを用いるか?」「初期輸液の輸液反応性の指標としてCVP、SVV、心エコーのどれを指標にするか?」「初期蘇生の指標としてScvO2、Lactate は有用か?」などのクリニカルクェスチョン(CQ)を提示し、班内で新たにSR を行いその結果をもとに推奨度を検討する予定である。それ以外に、アルブミンに関しては、日本版敗血症診療ガイドライン2012では、「初期蘇生はEGDTに準じて施行し(1A),初期輸液には,晶質液だけではなく,アルブミン液と赤血球輸血を考慮する(2B)」と記載されている。SSCG 2012では「重症敗血症および敗血症性ショックの輸液蘇生時の初期輸液としては晶質液を推奨し(grade 1B)、大量の晶質液を必要とする場合にはアルブミンの使用を考慮してもよい(grade 2C)」と記載されている。しかし、近年発表された血清アルブミン濃度3.0g/dL以上を目標にした研究(ALBIOS trial)では、死亡率に有意差を認めていない。そこで、日本版重症敗血症診療ガイ ドライン2016作成に向けて、「初期輸液として晶質液、人工膠質液のどちらを用いるか?」「初期輸液としてアルブミンを用いるか?」等のCQを提示し、班内で新たにSRを行いその結果をもとに推奨度を検討する予定である。本シンポジウムでは、これらの関連事項も含めて初期蘇生・循環作動薬班の進捗状況などを報告する。GD3-4 DIC対策日本版重症敗血症診療ガイドライン2016作成特別委員会射場 敏明、小倉 裕司、松田 直之、松嶋 麻子、澤村 淳、廣瀬 智也、坂本 壮、山川 一馬、西田 修、井上 茂亮、今泉 均、江木 盛時、垣花 泰之、久志本 成樹、小谷 穣治、貞広 智仁、志馬 伸朗、中川 聡、中田 孝明、布宮 伸、林 淑朗、藤島 清太郎、升田 好樹、織田 成人、田中 裕DIC領域では以下に示す5 つのCQが取り上げられた。「CQ11-1:敗血症性DICの診断を急性期DIC診断基準で行なうことは有用か?」「CQ11-2: 敗血症性DICにリコンビナントトロンボモジュリンは有用か?」「CQ11-3: 敗血症性DICにアンチトロンビンの補充は有用か?」「CQ11-4: 敗血症性DIC にタンパク分解酵素阻害薬は有用か?」「CQ11-5:敗血症性DICにヘパリン、ヘパリン類は有用か?」。まずCQ11-1 については、診断基準の優劣を理論的に判断することは困難であることから、「急性期DIC診断基準」の特性を記述的に記載することが決定された。続いて治療薬の評価に関しては、いずれのCQ においてもRCT のみを対象としてメタアナリシスを実施し、推奨が決められる方針となり、型通りに論文の一次スクリーニングが実施された。その結果、CQ11-2 については3文献、CQ11-3については5文献、CQ11-4については4文献、CQ11-5については9文献が取り上げられた。各論文は担当者によって吟味され、CQ11-2については3文献(Aikawa 2011, Takahashi 2011, Vincent 2013)で、CQ-3については4文献(Fourrier1933, Kienast 2006, Nishiyama 2012, Gando 2013)が二次抽出され、担当者によるメタアナリシスが実施されることになった。一方、CQ-4および5については現在2次抽出が実施されている段階である。尚、暫定CQである「敗血症性DICに抗凝固療法は有用か?」については、CQとして取り上げるか否かが討議されている。