ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-351-GD2-3 前橋日赤早期離床プロトコール導入により安全に早期離床を推進できる前橋赤十字病院 高度救命救急センター 集中治療科救急科劉 啓文、小倉 崇以、中村 光伸、宮崎 大、藤塚 健次、原澤 朋史【背景】呼吸患者に対する早期離床の有用性は確立されて久しい。しかし、早期離床に関する報告の多くは専門の離床チームの存在する欧米からのものが中心である。日本ではICU内に専門の離床チームは存在せず、早期離床の文化は根付いていないと述べて遜色ない。本邦ICUで早期離床を推進するには、日本のICU環境を考慮した独自の早期離床プログラムとシステムが必要である。当院では前橋日赤早期離床プロトコールを2015 年6 月より導入し、当院Closed ICUにおいて、看護師、理学療法士と共にICU専従医主導で早期離床を推進している。早期離床プロトコールの実施を含め、ICU 専従医が主導となってリハビリテーションを推進するシステムは今まで報告がない。本検討ではプロトコール導入後のICU入室患者の離床状況を報告すると共に、ICU専従医主導によるプロトコールの安全性を検討することを目的とする。【方法】2015年6月以降に当院Closed ICUに緊急入室した患者が対象。18 歳未満、予定術後、ICU再入室、循環器疾患、心臓血管外科術後患者、脳血管疾患、神経筋疾患、心肺蘇生後、完全不安定型骨盤骨折などの安静度に制限のある患者は除外した。プロトコール導入後の離床状況および有害事象発生などの安全性について前向きに調査した。なお当プロトコールによるリハビリテーションは、医師1名、看護師1名、理学療法士1名を基本人員として施行された。【結果】対象患者は110 人。そのうち88 人に対しプロトコールに則したリハビリテーションが行われ、延べ296回施行した。22人はプロトコール導入前に退室となった。入室からリハビリテーション開始までの期間は平均1.1日であり、端座位以上の活動性を離床と定義すると、離床達成までの期間は平均1.6日であった。リハビリテーションが行われた88人のうち、74人(84%)がICU 内で端座位施行可能であり、そのうち38 人(43%)はその後立位訓練まで訓練強度を拡大でき、最終的に21 人(24%)がICU内での歩行に至った。経口気管挿管による人工呼吸器管理下では110回、気管切開下では30回、NPPVまたはNHF装着下で20回のリハビリテーションが施行された。カテコラミン使用下では58回、鎮痛鎮静下では132回のリハビリテーションが行われた。有害事象として疲労または疼痛のためのリハビリテーションの中断を10 回、一過性の起立性低血圧を2 回認めたが、そのいずれもが特別な介入の必要なく、安静のみで改善した。挿管チューブやライン類の事故抜去や転倒など、治療を有する有害事象の発生は認めなかった。【結語】前橋日赤早期離床プロトコールの導入は、ICU に緊急入室患者に対するリハビリテーションの早期開始と早期離床を実現させた。プロトコール適応による特筆すべき有害事象の発生はなく、医師主導によるプロトコール化されたリハビリテーションの安全性が確認された。今後、有用性についての更なる検討が必要である。GD2-4 ICU看護師に対する計画的行動理論に基づくせん妄評価の教育的介入済生会熊本病院 集中治療治療室村上 綾乃、池田 詩織、高山 洋平、坂本 美賀子、西上 和宏【はじめに】当院ではJ-PAD ガイドラインで推奨されているConfusion Assessment Method for the Intensive Care Unit(CAMICU)を用いている。しかし、予備調査においてせん妄評価は曖昧であり、教材教育では知識向上がなかった。計画的行動理論を用いて関連要因を検証したところ、動機(主観的規範)と知識不足(行動コントロール感)がせん妄評価を困難にしていると考えられた。そこで、研究の目的は計画的行動理論に基づく教育介入を検証する。【方法】ICU看護師を対象に教育介入前を対照群、介入後を介入群とした。期間は3週間とし、方法は1.CAM-ICUフローチャートを配布。2.朝礼時に病棟師長がCAM-ICUをつけることを期待していると伝えた。3.CAM-ICU の実演を行った。4.1週間後より看護研究チーム員が個別指導を行った。5.介入前後でCAM-ICU評価の目的、手順について質問紙(表1参照)にて評価を行った。質問は点数化(10 点満点)し、平均点±標準偏差で示し、各項目の正解率を比較検証した(p< 0.05)。【結果】対照群(n=55)平均点6.2±2点、介入群(n=55)平均点7.9±1点で有意差があった(正解率は表1参照)。【考察】今回の介入では平均点が上昇し、教育介入として効果を認めた。師長による声かけによりせん妄評価に対する主観的規範が高められ、実演及び個別指導による教育介入を行うことで行動コントロール感の向上につながった。しかし、質問紙上鎮痛・鎮静と混同しておりCAM-ICU の手順を理解できていないと考えられる。課題として、用語の理解とCAM-ICUの手順について継続教育を行う必要がある。【結論】計画的行動理論を用いることで主観的規範と行動コントロール感が高まり、知識向上によりせん妄評価の改善につがると予測される。表1:質問紙の内容及び正解率の比較質問紙内容対照群介入群p 値問1 所見1~4をすべて行い、せん妄の有無を判定する70% 96% <0.01*問2 はじめの評価はRASS によって行う84% 98% 0.01*問3 RASS-3以下はCAM-ICU測定不可能であり、後でRASSを再評価する43% 80% <0.01*問4 所見1は精神状態の急性変動を過去24時間のBPSやGCS で判定する48% 42% 0.44問5 所見2は注意力欠如を判定する88% 93% 0.51問6 例えば、1の時に手を握るように患者に伝え、1~9までの数字を無作為に言い、1の時に手を握った回数と1以外に握りしめなかった回数の和で判定する43% 91% <0.01*問7 所見1と所見2がない場合、所見4で意識レベルの変化がないか判定する52% 49% 0.70問8 所見4でRASS -1~-3であれば低活動型せん妄。RASS +1以上であれば過活動型せん妄。RASS0 であれば所見3を行う43% 76% <0.01*問9 所見3では無秩序な思考について判定する84% 84% 0.79問10 石は水に浮くかなど4つの質問に、すべて正解であればせん妄ではない54% 73% 0.05*p < 0.05 chi-square test