ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-346-GD1-1 「重症患者の栄養療法ガイドライン作成委員会」の委員会報告:全体像と作成法1)兵庫医科大学 救急・災害医学講座、2)日本集中治療医学会 重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会小谷 穣治1,2)、江木 盛時2)、海塚 安郎2)、亀井 有子2)、神應 知道2)、木下 浩作2)、佐藤 格夫2)、清水 孝宏2)、清水 義之2)、志馬 伸朗2)、白井 邦博2)、巽 博臣2)、西田 修2)、東別府 直紀2)、松田 兼一2)、真弓 俊彦2)本ガイドラインは、2012年10月に発足した日本集中治療医学会の重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会が作成した。海外では重症患者を対象とした栄養管理ガイドラインが複数存在するが、本邦には存在しない。そこで、国際ガイドラインでは言及されないが本邦で行われている治療、海外では行われているが本邦には存在しない治療なども考慮し、本邦の臨床に適応した推奨を提示した。各推奨作成にあたって、既存のシステマティックレビューとメタアナリシス、国際ガイドラインの推奨の流用が可能かを検討し、必要であれば可及的にMindsの方法を参考として委員会内でシステマティックレビューを行った。なお、生命予後を左右するCQが存在することから、本ガイドラインの名前に「栄養管理」ではなく「栄養療法」を用いた。本ガイドラインは本邦初の重症患者を対象とした栄養管理ガイドラインであり、臨床の現場で適切に活用されることを期待している。ガイドライン 1 2月12日(金) 9:00~10:00 第13会場日本版重症患者の栄養管理ガイドラインGD1-2 重症患者の栄養療法ガイドライン作成委員会の委員会報告:栄養投与ルート1)兵庫医科大学病院 救急災害医学、2)日本集中治療医学会 重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会白井 邦博1,2)、小谷 穣治2)、江木 盛時2)、海塚 安郎2)、亀井 有子2)、神應 知道2)、木下 浩作2)、佐藤 格夫2)、清水 孝宏2)、清水 義之2)、志馬 伸朗2)、巽 博臣2)、西田 修2)、東別府 直紀2)、松田 兼一2)、真弓 俊彦2)栄養投与ルートについて、SCCM/ASPEN、ESPEN、CCPG の国際ガイドラインでは経静脈栄養よりも経腸栄養を推奨している。そこで、当委員会は、経腸栄養と経静脈栄養についてのRCTとメタ解析について検討した。死亡率は34 編で検討されているが、32 編で有意差を認めなかった。また5 編のmeta解析では、死亡率に差を認めなかったが、Simpson らのmeta 解析では、経静脈栄養群で有意に死亡率が低かったが、24 時間以内の早期経腸栄養群との比較では有意差はなかったと報告している。最近、HarveyらのICU 患者を対象とした多施設大規模研究が報告されたが、死亡率に差を認めていない(経静脈栄養群:33.1 vs. 経腸栄養群:34.2, p=0.57)。このため当委員会では、この論文を含めた36編のメタ解析を行ったところ、死亡率に有意差を認めなかった(RR=0.98;95%CI 0.78-1.23,P=0.86)。感染症発症率については33 編で検討されているが、6 編で経腸栄養群での有意な感染率の低下を認めた。しかし先に述べたHarvey らの研究では、感染合併平均数において差を認めていない(経静脈栄養群:0.22 vs. 経腸栄養群:0.21, p=0.72)。更に、6 編のmeta 解析では経腸栄養群で有意な減少を認めた。このため当委員会は、Harvey らの研究の感染症発症率など詳細を得ることが出来なかったので、36編のメタ解析を行ったところ、経腸栄養群で感染症発症率が有意に低率だった(RR=0.68; 95%CI 0.51-0.74,P < 0.0001)。人工呼吸期間は5 編のRCT と1 編のmeta 解析で、ICU 在院期間は7 編のRCT と2編のmeta 解析でそれぞれ検討されているが、有意差は認めなかった。更に、医療コストについて8編のRCT で検討しているが、経腸栄養群での削減効果を示している。以上より,経腸栄養は経静脈栄養に比して死亡率の改善効果は認めないものの、感染症発症の抑制や医療費の面で優位性がある。よって、循環動態が安定して消化管が機能している場合は、経腸栄養を優先することが勧められる。このため本作成委員会では以下のように結論づけた。CQ: 栄養投与ルートは、経腸と経静脈のどちらを優先するべきか?経腸栄養を優先することを強く推奨する。(1A)(作成方法C)