ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
344/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている344ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-342-CR15-3 RRS オンラインレジストリ-National Early Warning Score(NEWS)を用いたスコアリングによる評価-Rapid Response System検討委員会藤谷 茂樹、安宅 一晃、新井 正康、川崎 達也、川原 千香子、児玉 貴光、仙頭 佳起、中田 孝明、藤原 紳佑、三宅 章公、織田 成人背景・目的2014 年にRRS オンラインレジストリを、藤谷班科研費で作成して以来、2年が経過する。現段階で、31施設が登録しており、症例数も1900 例に達している。日本臨床救急医学会の患者安全検討推進委員会ワーキンググループ、日本集中治療医学会での委員会活動として、定期的な議論を重ねている。当初は、RRSの起動基準として、シングルパラメーターを用いていたが、昨今の流れとして2015 American Heart Associationガイドラインでは、院内心停止への対応システムについて言及されており、急変前にそのリスク を評価するスコアリングシステムが有効であり、その点数を院内急変対応に取り入れることが推奨されている。スコアリングにより観察頻度、診療病棟の決定を行う方向に向かっている。その中で、英国が導入しているNational EarlyWarning Score(NEWS)での発表が多く、1500 症例のデータ解析を行った。対象・方法2014 年1 月から2015 年8 月までに、RRSオンラインレジストリに登録された1500 症例についてNEWS のスコアリングの記載のある成人症例についてRRS 転帰、一ヶ月死亡率について解析した。26 参加施設のうち、小児専門病院と療養病床が半数を占める2 施設は除き、登録された症例をNEWSのバイタルサインを含む7 つの含む項目でスコアリングし推奨されている3 段階に重症度分類(low、medium、high の順にリスクが上がる)し解析した。結果 1500症例中2施設を除く1074症例のうちNEWS項目に記載もれのないのは426症例あり、Low群95例、Medium 群113 症例、high 群 219 症例であった。RRS 転帰は、low 群でICU 入室7.4%(7/95)、一般病棟のまま 76.8%(73/95)、 死亡0% であった。Medium 群ではICU 入室16.8%(19/113)、一般病棟のまま 60.2%(68/113)、 死亡0% であった。High 群ではICU 入室36.5%(80/219)、一般病棟のまま 47.0%(103/219)、 死亡1.4%(3/219)であった。また1ヶ月後の死亡率は各群で2.1%(2/95), 7.1%(8/113), 13.2%(29/219)であった。 考察従来のシングルパラメーターに比べNEWS のスコアリングを用いる方がリスク層別化に有用であることが示唆された。ただしNEWS 項目すべてにデータ欠損のない症例は40%であり、その中でも呼吸数の欠損が最も多かった。今後医療安全文化向上のためにもバイタルサインである呼吸数測定への教育と対策が望まれる。CR15-4 院内心停止レジストリーRapid Response System検討委員会三宅 章公、安宅 一晃、新井 正康、川崎 達也、川原 千香子、児玉 貴光、仙頭 佳起、中田 孝明、藤谷 茂樹、藤原 紳佑、織田 成人2015年10月に発表された国内外の蘇生ガイドライン2015において、院外とともに病院内心停止の予防の重要性が取り上げられた。具体的な方策として国際蘇生連絡委員会(ILCOR)と日本蘇生協議会(JRC) は、院内心停止の発症や院内死亡を減少させるために、早期警告スコア/response teams/MET system の導入を考慮することを提案している。わが国では、院外心停止は総務省により全国登録がなされ、年間13 万件の報告があり、すでに100 万件を超す大規模データベースとなり世界に類を見ないものとなっている。そのデータベースの解析から救命率向上のための様々な情報が発信され、国際ガイドライン作成に大きな影響を与えている。一方、院内での心停止の把握はほとんどなされず、急変対応の方策を検討するには極めて不十分な状況である。各関連学会によるワーキングにより急変対応システムRRS(rapid response system)の導入とその登録方法が確立された(In hospital emergency)。今後RRSを全国レベルで導入していくためには、我が国におけるRRSの効果を検証することが求められている。そのためにはRRSのみではなく、蘇生行為がなされた院内心停止の全例登録は必須と考えられる。すでに院内心停止の先行登録として2008年1月から2009年12月までに施行されたJ-RCPRがあるが、これらの登録システムを基盤に2015年2 月よりJ-RESORTとして院内心停止レジストリーを開始した。JRCPR の項目に新たに院内心停止項目、Medical Emergency Team/Rapid Response Team要請基準の項目を加え、並びに症例対象を成人のみではなく小児にまで拡大した。先行するRRS レジストリーとJ-RESORT とが両輪となって初めて我が国におけるRRS の有効性の検証が可能となると考えられる。これにより各施設が自施設の急変対応に対策立案が可能となり、更に全国データとの比較で更に必要な対策がはかれるものと考えられる。学会ではその登録システムの詳細について紹介し、今後全国的な活用を望みたい。