ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-327-CR6 人工呼吸関連事象1)三重大学医学部附属病院救命救急センター、2)日本集中治療医学会人工呼吸関連事象委員会今井 寛1,2)、中橋 奨1)2013年1 月、the U.S. Centers for Disease Control and Prevention(CDC)よりventilator-associated event(VAE)の定義とサーベイランス法が発表された。これは従来のventilator-associated pneumonia(VAP)サーベイランスが有す懸念から、発展的に構築された概念である。Quality indicator(QI)として、より整合性のある the National Safety Network(NHSN)への報告を担保する試みでもある。VAEは、人工呼吸患者の呼吸機能の急性増悪エピソードを抽出する事からアルゴリズムが構成され、3つのtier から成る:a)ventilator-associated condition(VAC), b)infection-related ventilator-associated complication(IVAC), c)possible VAP(PVAP)。全体的特徴は、1)潜在的な予防可能性に着目し、人工呼吸に関連する種々の呼吸器合併症を包括して扱い、2)PEEP・FiO2変更に基づいた簡便・客観的・自動化可能なサーベイランスで、3)人工呼吸/ICU期間延長、死亡率増大に関係する。しかしVAE は従来のVAPサーベイランスとは性質を大きく異にする為、本邦の集中治療領域において標準的QI として如何に利用すべきか、さらなる検討が必要である。最近の国内学会にてVAE 研究報告を散見するも、何れも規模は小さく、実態は未確定で、reference standardも存在しない。そこで日本集中治療医学会VAE検討委員会は、本邦のVAEに関する多施設共同疫学研究を発意し、まずはpilot study として有志6 施設にて調査を試みた。本調査は、VAE 発生状況の概要把握を目的に、2014 年1~12 月、ICUにて入室・加療された患者を対象に行った。主要調査項目は、ICU患者数、人工呼吸患者数、総人工呼吸器日数、VAE 発生件数、及び死亡数とした。結果は、参加6 施設の総ICU患者数4070 例で、内、人工呼吸患者数は1720 例、総人工呼吸器日数9297 日だった。ICU 死亡は181 例だった。VAE 件数はVAC:37、IVAC:25、PVAP:16、各々発生割合は対1000 人工呼吸器日数比: 1.18、0.54、0.54 であった。VAE 例におけるICU 死亡は11/37 例(29.7%)であった。フィッシャー正確確率検定では、VAEの有無とICU死亡は有意に関係した(p<0.001)。VAE調査自体は比較的簡便に実施可能であった。しかし多くの先行研究と比較し、VAE発生が際だって小さく、さらなる精査を要すると推察する。またVAE 発生と患者予後との関係調査が須要と思われた。委員会報告 6 2月13日(土) 17:40~18:00 第8会場人工呼吸器関連事象検討委員会