ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-319-CR2-1 集中治療室における臨床工学技士業務の実態調査報告 - 第2 報-日本集中治療医学会臨床工学部会 集中治療業務検討小委員会宗万 孝次、松山 法道、原田 俊和、吉岡 淳、中村 充輝、松田 真太郎、木村 政義、加納 隆一般社団法人日本集中治療医学会の臨床工学部会では、特定集中治療室管理料1,2(以下管理料とする)を取得する際に、臨床工学技士が院内に常駐することが条件となったため、昨年度より業務内容および処遇について調査を行っている。今年度も本学会臨床工学部会員等への郵送および電子メール等での回答依頼を行った。回答方法はWebアンケート方式のみでの回答とした。有効回答数は211件で昨年度より30件増加し、管理料を取得していると回答した施設は87(34.7%)件と昨年度のアンケート時より65件増加した。宿直・夜勤にかかる問題点は、「専用の当直室がない」「翌日(明け)休みがない」という回答が40%程度であった。業務に関して、持続血液浄化の夜間・休日の臨床工学技士の関わりについては23%の施設で対応していないと回答があった。ECMO・PCPS実施時の夜間・休日の関わりについては、30%の施設で対応していないと回答があった。本アンケートを踏まえ昨年度の結果と比較し臨床工学技士のICU での関わりについて問題点を提示したい。委員会報告 2 2月12日(金) 9:30~10:50 第10会場臨床工学技士:業務検討委員会 集中治療室の臨床工学技士24時間常駐体制 その後の検証 ~何が変わったのか?これから何をすべきか?~CR2-2 多施設研究による臨床工学技士24 時間勤務体制の有用性の検討1)済生会横浜市東部病院 臨床工学部、2)日本集中治療教育研究会 CE部会森實 雅司1,2)【背景と目的】臨床工学技士(以下CE)の院内24 時間常駐の有用性は明確でない。CEの24 時間勤務体制の有用性を検討する目的で、多施設における持続的腎代替療法(以下CRRT)に関わる業務が日勤帯・夜間帯にどの程度発生するかを明らかにし、臨床工学技士の院内常駐体制の有無による医師・看護師の業務負担の差を検討した。【方法】研究への参加は、日本集中治療教育研究会CE部会を通じて呼びかけるか、個別に依頼して募った。急性期病院24施設において2013 年1-12月までに行われたCRRT1785例6024回路交換を対象とし、初回CRRTの導入および回路交換が行われた時間帯別総数および代行体制をCE 常駐の有無で比較した。【結果】CE 常駐ありの施設は12施設(50%)であった。全症例のうち日勤帯(9-17時):夜間帯(17-9 時)にCRRTが導入された時間帯別総件数の比は49.1:50.9 であった(ns)。全症例のうち1732症例(97.0%)は特定集中治療室および救命救急センターICUで導入されていた。対象期間中のCRRT回路交換回数のうち、日勤帯(9-17時):夜間帯(17-9時)に実施された回路交換の時間帯別総件数の比は70.6:29.4であった。CE常駐なしの施設における夜間のプライミングや返血操作はほとんど医師・看護師によって行われ(p< 0.05)、24 時間勤務体制ありの施設に比べて実施が控えられていた(p< 0.05)。【考察】本研究において、半数の施設でCE が24 時間院内常駐していなかった。全体のCRRT の約半数は夜間帯に導入され、回路交換の約30%が夜間帯に実施されていた。CE院内常駐体制のない施設では、夜間帯に医師・看護師がプライミングや開始操作・返血操作を実施する場合が多く、夜間帯に実施されたCRRT導入や回路交換の頻度が低かった。CE が夜間帯も院内に常駐することは、時間帯を問わず発生する急性血液浄化療法の導入対応や発生したトラブルへの対応とその予防、医師や看護師の業務負担軽減の可能性が示唆された。日本集中治療医学会がICUの人員配置と運営方針が患者の予後に与える影響を明らかにする目的で実施した調査(日集医誌2011;18:283-94)では、CEのICUへの配置による患者転帰改善の可能性が示されている。本研究では、97%のCRRTが特定集中治療室または救命救急センターICUで導入されており、CEが集中治療室において昼夜を問わず急性血液浄化療法関連業務に携わることは患者転帰の向上を期待できる可能性がある。本研究の問題点として、CE の24時間院内常駐の施設割合は本邦の現状を必ずしも表さないこと、本研究は介入をともなわない後ろ向き調査であること、医療安全への効果や患者転帰への効果も示されておらず、人件費に対する費用対効果も検討されていないことなどが挙げられる。【結語】CRRT に代表される急性血液浄化関連業務は昼夜を問わず発生しており、専門家である臨床工学技士の24時間勤務体制は医師・看護師の業務負担軽減につながる可能性がある。