ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-292-PD3-3 病院看護部のクリニカルラダーシステムと連動させた“ICUチェックリスト”導入の効果大阪大学医学部附属病院 集中治療部佃 順子、山本 貴子【はじめに】当院では10年前よりクリニカルラダーを導入しているが、新人看護師が補助人工心臓装着の成人患者を受け持たなければならない当科の重症度にマッチしない部分も多く、集中治療看護の評価をどのように行うかが課題であった。そこで、新人から一人前までの連続するチェックリストを作成し、改訂を行いながら5年間運用を継続している。院内ラダーとの連動とその効果や問題点について報告する。【ICUチェックリスト活用の実際】ICUチェックリスト項目の抽出とチェックリストの作成を行い、2年目は活用と項目・到達時期とレベル・評価の修正 、3 年目はローテーター・2~3 年目ICUチェックリストの作成 と進めたが、抽出されたチェック項目は170 項目以上で、実施することへの疲労感や効果の“見える化”が課題とされた。実際の得点率では全体の70%達成者が半数に満たない状況もあり、4年目からICU 一人前となる到達期間を一年半に延長し、チェックリスト内の到達時期の見直しと院内ラダー項目の統合を行った。5 年目は体系化された教育システムの構築を目標とし、到達度の評価を行うためのベンチマークの設定を行い、ラダー1の申請・一人前・2~3年目チェックリスト・ラダー2申請に進むための目標値とした。 1年での得点率、到達度とも全体の70~80%であり、一人前となる期間設定は適正であると考えられた。また、業務リーダー全員からなる“リーダー会” がこのシステムを支援し、個々の教育方針などが話し合われた。【考察】当科のエキスパートレベル取得看護師は、対象経験者の8割を占めており、教育や管理が比重を占める経験者は院内のラダーシステムで自己のキャリア開発を計画できている。一方で、院内のラダーシステムとICU の特性が大きく相違するのは、基礎的な知識・技術の習得部分であり、その時期を支えるチェックリストの導入で、一人前までの個別性のある教育に活用できると考えられる。PD3-4 キャリアラダーと部署クリニカルラダーを基盤とした人材育成の取り組み徳島大学病院 看護部中山 志津当院看護部のキャリアパスは、キャリアラダー(クリニカルラダー)をスタンダード、ミドル、ハイの3つに区分し、それぞれを2つのキャリアレベルに分け、3段階6レベルと設定している。スタンダードレベルの看護師教育として、1)新人看護師の教育(キャリアレベル1)、2)若手看護師の教育(キャリアレベル2)を行い、キャリアレベル2 を達成すると一人前と認められる。各部署においては、キャリアラダーと、部署における専門的な看護実践能力を獲得するための専門性のある部署クリニカルラダーとを連動させて、教育・人材育成を行っている。当院の集学治療病棟はICU・HCU・SCUの3 ユニットから構成されており、平成22 年度より新人看護師が配属されるようになった。集学治療病棟は、専門性が高く、一般病棟では習得できない特殊な知識・技術を習得できる機会がある一方で、ゼネラリストとして求められる看護実践能力の習得状況に偏りがあることが、教育上の課題となっていた。そこで、在籍ユニットでは経験できない看護実践能力の習得と、バランスの取れた看護師の育成を目指し、ユニット間ローテーション研修を計画した。 研修対象は新卒で集学治療病棟に配属され、一般病棟での勤務経験を有していない3 年目看護師5 名(ICU:3名、HCU:1名、SCU:1名)とし、「キャリアレベル1」と「部署クリニカルラダー1:ICU・HCU・SCU」の取得状況の分析結果から自己の課題を明確にし、研修前にローテーション部署の指導者とヒアリングを行い、共通の到達目標を設定し教育内容を検討した。また3 年目看護師が、1ユニット2ヶ月という限られた研修期間に効果的に学び実践できるように、指導者が中心となってサポート体制を整えた。ローテーション研修で、在籍ユニットでは経験できない看護を経験したことにより、3 年目看護師5名全員が「キャリアレベル1」を取得することができた。また、3年目看護師より「研修を通じて、習得できた知識・技術が自己のスキルアップに繋がり、日々の看護場面でも今までとは違った視点や自信を持って看護を提供することができるようになった」などの意見もきかれ、在籍部署での看護実践能力向上に繋げることもできた。その他に、この研修を通して若手看護師の人材育成だけではなく、指導者の育成やユニット間の相互支援もはかることができた。今後は、さらに改良を加え研修プログラムとして定着をはかり、人材育成に役立てていきたい。