ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-290-PD2-5 敗血症患者における睡眠脳波モニタリング1)山口大学大学院医学系研究科 救急・総合診療医学分野、2)山口大学医学部附属病院 先進救急医療センター藤田 基1)、宮内 崇2)、小田 泰崇1)、鶴田 良介1,2)睡眠は脳神経機構の相互作用により調節される生命の維持に必要不可欠な生理現象であり、脳の休息・回復、成長、創傷治癒、免疫の増強というさまざまな働きから重症患者においても重要な生理学的意義を有すると推測される。ICU患者の多くに睡眠障害が生じることが知られており、睡眠潜時(寝つき)の悪化、睡眠効率の低下、REM睡眠の減少、睡眠の断片化が報告されている。オピオイドやベンゾジアゼピン系鎮静薬などの鎮痛・鎮静薬は,睡眠脳波に影響することが報告されており、また、深睡眠とREM睡眠の減少はせん妄の発症と関連しているとの報告がある。したがって、ICU患者において「睡眠」の質を評価することは、適切な鎮痛・鎮静管理につながる可能性がある。従来睡眠の評価は、ポリソムノグラフィによる睡眠解析(R & Kマニュアル)で行われてきたが、ICU患者においてそれを適応させることは妥当とは言えない。近年、高速フーリエ変換法による脳波の周波数解析によるICU患者の睡眠解析法が報告された(1)。これは1チャンネル脳波で睡眠の深度を決定する新規の方法で、ICU DepthOf Sleep(IDOS)と命名されている。IDOS インデックスは脳波のガンマ/デルタバンド比をもとに算出しており、睡眠深度をリアルタイムに計測することが可能である。今回、我々はこれを参考に敗血症患者における睡眠脳波モニタリングを行い、敗血症患者の睡眠の質の評価を行った。パイロットスタディにおいて、鎮静を要さない比較的安定した患者においては、周波数解析による睡眠の評価が可能であり、深睡眠の減少、中途覚醒を認めた。鎮静薬を持続投与中の患者では、鎮静薬が脳波に様々な影響を及ぼすことが知られており、多臓器障害をきたした重症患者では、脳波の変化が実際の大脳機能の障害なのか、鎮静薬の影響なのかの判別を慎重に行わなければならない。ICU患者における睡眠の評価に関して、評価方法の検討も含め、今後データを集積し報告するつもりである。(1)Reinke L, et al. Intensive care unit depth of sleep: proof of concept of a simple electroencephalographyindex in the non-sedated. Crit Care. 2014;18:R66.