ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-261-SY20-1 術後回復促進策による早期離床の試みー周術期を通した工夫による食道がん術後1 日目からの100m歩行の実現ー1)神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科、2)神奈川県立がんセンター 麻酔科、3)神奈川県立がんセンター 消化器外科谷口 英喜1,2)、尾形 高士3)、高野 修身2)【目的】当施設では、2012 年以降、ERAS プロトコールを改訂したModified ERAS プロトコール(MERAS)を様々な術式に適応し早期離床の実現へ向けた工夫を実施してきた。本研究では、MERASが適応されている待機的食道がん手術にGoal directedtherapy(GDT)による術中の輸液適正化を新たに行い、早期離床への影響を評価した。【方法】対象は待機的食道がん手術症例で、2012年6月からの1年間にMERASが適応され術中は自由輸液が実施されたヒストリカル(H)群と2014年5月からの1年間にMERASが適応されGDTが実施された介入(G)群。研究デザインは、前向比較研究とした。G群では、麻酔管理に症例毎に目標を定めたstroke volume index(SVI)値を指標とした輸液適正化を実施した。評価指標は、術後1日目における歩行距離とした。H群およびG群ともにGDT以外の術後回復促進策は同様で、患者には、術後回復促進に向け、術後早期離床プログラム(理学療法士、看護師、医師の監視のもとセーフティウォーカーを活用した100m歩行)を術前説明から勧奨した。【結論】解析対象はH群43 例、G 群49 例。両群において背景に違いはなく、手術時間がG 群で長かった【H 群vs G 群; 380(132, 516)分 vs 409(299,646)分】。術後1日目に歩行が可能であった症例はG群で有意に多く【9.3例,4% vs 83.7 例,41% ,P<0.0001 】、歩行可能症例において両群間で歩行距離に差はなかった【100(100, 100)m vs 100(20, 100)m, P=0.585】。術後の在院日数は、両群において差が認められなかった【15(15, 110)日 vs 15(15, 79)日, P=0.957】。術後回復促進策に関する先行研究結果から、術後1 日目の早期離床の可否が予後に影響することが示されている。本研究の結果から、MERASに術中GDTを加えることで術後の循環血液量不足に伴う離床困難症例が減少し、早期離床が実現されたと考えた。一方、単項目介入では、在院日数の短縮は達成できないという課題も明らかになった。シンポジウム 20 2月13日(土) 9:00~10:00 第11会場早期離床を推進するSY20-2 当院における早期離床プログラム-急性B 型解離100 例の早期合併症および遠隔期予後-山形大学 医学部 第二外科中村 健、内田 徹郎、浜崎 安純、中井 信吾、中橋 健太、舩田 敏子、林 潤、山下 淳、五味 聖吾、貞弘 光章【はじめに】急性B型解離の内科療法による院内死亡率は高く約10%と言われるが罹患患者には高齢者が多く、安静降圧を行いつつも早期の離床を目指すというある種ジレンマを抱えた治療が標準として行われている。当院では合併症を伴わない急性B型解離は日本循環器学会のガイドラインを参考に急性期は収縮期血圧で120 未満を目標とし、CTで病状の増悪が無ければ翌日には飲水、内服を開始し発症1週間後には立位および離床を目指すプログラムを標準として行っている。急性期合併症の発生および遠隔期予後について検討した。【対象と方法】2004 年7 月から2015 年4 月までに当院で治療を行った急性B 型解離は127 例であり、その中で初診時に合併症を有さず保存的加療が選択された100例を対象とした。発症後1ヶ月以内に合併症を発生した群をC群、非発生群をN 群として比較検討を行った。それぞれの平均観察期間はN 群36.1 ± 32.2 か月、C 群28.6 ± 30.3 か月であった。【結果】C 群は7例(7%)であり合併症の内訳は再解離が3例(3%)、エントリーの拡大が1例(1%)、分枝虚血が1例(1%)、破裂が1例(1%)、多臓器不全1例(1%)であった。死亡は2例(2%)で1 例は破裂による食道穿破、もう1例は多臓器不全が死因であった。平均年齢はN 群/C 群= 69.5/74.0 歳であり大動脈イベントフリーは全体(100 例)で1 年/3 年/5 年=78/66/55(%)イベントフリーサバイバルは1 年/3 年/5 年=96/93/86(%)、N群:99/98/95(%)、C 群:67/60/33(%)であった。【結論】遠隔期大動脈関連イベント発生率に比較しサバイバルは良好だがこれはステントグラフトなど低侵襲治療が導入され治療成績が良好であるためと考えられる。早期離床プログラム中に発生した急性B型解離の合併症は重篤であるが全体としての死亡率は低い。積極的な早期離床は良好な遠隔期予後を期待できる可能性が高い。