ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-260-SY19-3 特定行為研修制度を包含した大学院の診療看護師教育について~循環器関連中心に~愛知医科大学 看護学部 クリティカルケア看護学松月 みどり愛知医科大学看護学部大学院は平成27 年10 月に全国14 施設のひとつとして特定行為研修制度の教育施設として認定されました。先行して行っていた看護師の特定行為研修教育試行事業は平成24 年から参加しており,大学院教育を開始していました。現在,卒業生は愛知医科大学病院のGICU,プライマリーセンターなどで卒後臨床研修に励んでいます。実際は研修というより,医師と看護師の中間の重要な役割を担っており,それらの部署の医療の質は格段に向上しております。卒業生たちにつきましては12 月に厚生局の指定に係る実施調査も受けました。研修修了者として履修免除の方法については,2 年間のカリキュラムで終了した内容を丁寧に突合票で時間計算をし,読み替え作業を行い,履修免除の確認を実施しました。その結果,実習経験できていない項目は,新たに実習病院を確保し患者さんにご協力いただき,追加臨床実習を実施しました。臨床実習直前にはシミュレーションで訓練し安全に実施できることを確認し,実際の患者さんで臨床実習しています。このように新たな制度では,「医療安全管理上の配慮」が重要なキーワードであることから,フロントランナーは試行事業の時期から良い場合も,悪い場合もいつも注目されています。インシデントやアクシデントが発生しなくて当たり前であり,その視点からも教育では安全に実践できるポイントを身につけることが重要あると考えている。そのためには講義で学んだ臨床推論,病態生理,診断学などの知識や事例検討やOSCE,実習そして臨床実習が一つの線でつながる,切れ目のない習得を目指すことが肝要である。医学部と病院を併設している大学院で行っている教育の特徴の一例を述べると。身体を生理学的,解剖学的,病態学的,診断学的に理解するためには,人体解剖実習を行っていることである。看護学生時に解剖実習を経験している方も多いと推測します。聴診器で心音や呼吸音を聞くためには,どの位置で聞くとどのような音に変化するのかなどの,フィジカルアセスメントの講義と演習内容や,レントゲン画像の読影などと関連付けることで明確に納得することができる工夫をしている。また,病態薬理学の講義は,イオンチャネルなどの分子生物学の基礎知識から丁寧に積み上げて薬物動態が理解できるように工夫している。シュミレーションセンターには専従のプロフェッショナルの職員が責任者として配置されているので,講義の組み立てなどにもシナリオから相談に乗っていただき,限られた時間で納得度の高い演習を工夫している。 今回は,その他,医学部が併設されている看護学部で大学院教育として行っている特定行為研修の内容について,21行為区分の中から循環器関連と循環動態に係る薬剤関連を中心に具体的にご紹介し,みなさまとの意見交換ができたら幸いです。SY19-4 特定行為に係る看護師研修制度の実際と課題-日本看護協会看護研修学校が実施する特定行為研修-日本看護協会 看護研修学校 認定看護師教育課程 集中ケア学科中田 諭2014 年6月「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)の成立を受けて2015 年3 月13 日の「保健師助産師看護師法第三十七条の二第二項第一号に規定する特定行為及び同項第四号に規定する特定行為研修に関する省令」が公布された。これを受けて、日本看護協会は、「特定行為に係る看護師の研修制度」に対する基本的な考え方と今後の活動方針をまとめた。その基本方針は「本制度の意義は特定行為のみを行うのではなく、看護の関わりの中で特定行為も含めた医療を提供することであり、本研修を修了した看護師が看護の専門性を発揮した活動を展開できるよう研修を推進する」であった。また、本制度を活用した大学院教育の推進、大学院以外での特定行為研修について、必要な行為区分を組み合わせたモデルカリキュラムの公表や制度開始に合わせ、当面、認定看護師を対象とした研修を実施することであった。認定看護師は現在21 分野15,965名(2015年12 月時点)が認定されており、医療現場での実践力が認められ診療報酬など社会的にも評価されるようになった。この認定看護師の持つ看護の実践力と専門性を特定行為を活用した看護に活かすことで更なる看護の発展と認定看護師のキャリアを上げる手段とすることが可能である。2010年から2012年にかけて日本看護協会看護研修学校では救急分野、皮膚・排泄分野、感染管理分野の認定看護師を対象とした特定能力養成調査試行事業を実施した。試行事業の修了者らは、特定行為の実践によって早期介入による入院期間の短縮や合併症予防、安全性の担保、患者や他職種からの満足度の高さなど多くの成果を示すことによって、認定看護師はあらゆる医療現場でのニーズに応えた活躍が期待できることを示した。日本看護協会看護研修学校は平成27年10月1日付で指定研修機関の指定を受け、本年度は、本会で行った養成調査試行事業の修了者を対象に特定行為研修を実施し、平成28 年度は認定看護師対象の特定行為研修を計画している。シンポジウムにおいては、認定看護師教育課程で実施している認定看護師を対象とした特定行為研修の現状について紹介し、研修制度についての理解を深める機会にしたい。