ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-233-SY9-3 敗血症治療における経肺熱希釈法の併用に関する多施設共同研究・中間報告 TPTD-study Group1)聖マリアンナ医科大学 救急医学、2)武蔵野赤十字病院救命救急センター、3)大阪市立総合医療センター 救命センター、4)さいたま赤十字病院、5)香川大学医学部附属病院、6)産業医科大学病院、7)東京ベイ・浦安市川医療センター森澤 健一郎1)、本間 洋輔7)、津久田 純平1)、安田 英人2)、林下 浩士3)、早川 桂4)、一二三 亨5)、真弓 俊彦6)、藤谷 茂樹7)、平 泰彦1)【背景】敗血症の初期治療においては十分な輸液が必要だが、中心静脈圧を指標とした従来のEGDT(Early Goal DirectedTherapy)については有効性を疑問視する報告が相次いでいる。経肺熱希釈法(TPTD:Trans Pulmonary ThermodilutionTechnique)は心臓の拡張終期容量と肺外の水分量を測定することが可能であり、中心静脈圧に代わる輸液の指標として期待される。【目的】敗血症における経肺熱希釈法(TPTD)を用いた輸液管理の有用性を検討する。【方法・対象】2013 年11 月から2015 年8 月に当研究(多施設前向き比較対照試験;UMIN000011493)へ参加した16 施設のICU に入院し、48時間以上の人工呼吸器管理を必要とした敗血症患者105症例を対象とした。無作為に割り付けた、経肺熱希釈法による輸液管理を行ったTPTD 群(50症例)と、中心静脈圧を用いたCVP 群(55症例)を比較した。【結果】生存例について、人工呼吸器管理日数はTPTD群で有意に短縮された(Kaplan-Meier法;p=0.041,5.5±7.2 vs. 7.0±6.4)。ICU 滞在期間(6.8± 6.4 vs. 8.8 ± 7.0)、カテコラミン使用期間(2.3± 1.8 vs. 3.6± 4.1)についても、TPTD群ではCVP群と比較して、日数が短縮される傾向にあった。72 時間後の輸液バランス(L)には有意差をみとめなかった(4.8± 5.9 vs. 4.8± 5.3)。【考察】経肺熱希釈法を用いた輸液管理によって、十分量の輸液とカテコラミンの必要期間の制限が可能であり、人工呼吸器管理期間を短縮できる。SY9-4 敗血症性ショックに対する初期輸液反応性は何で評価可能か?公立豊岡病院 但馬救命救急センター小林 誠人、杉野 貴彦、藤崎 修、前山 博輝、吉岡 崇、松井 大作、番匠谷 友紀、岡 和幸、門馬 秀介、蕪木 友則【目的】Early Goal-Directed Therapy(EGDT) における初期輸液反応性の指標として, 一回拍出量変化(Stroke VolumeVariation: SVV)の有用性を示す.【対象・方法】敗血症性ショック30症例を対象に,気管挿管,PEEP 5-10cmH2O,自発呼吸を残した呼吸モード(CPAP, PS, PCV),鎮静(Richmond Agitation-Sedation Scale -2以下)の上,細胞外液10mL/kgの急速輸液を行った.Vigileo-FloTrac system を用い,カテコラミン投与量/ 平均血圧(Catecholamine Index: CAI/Mean Atrial Pressure:MAP),心拍数,SVV,一回拍出量係数(Stroke Volume Index: SVI),心係数(Cardiac Index: CI),中心静脈血酸素飽和度(ScvO2),lactateを輸液投与前後で測定し検討した.尚,各測定項目は輸液投与3分前3 point,輸液投与5分後3 pointの平均値を用い,輸液反応性はSVI 15%以上の増加で有りと定義した.除外症例は,心血管作動薬の影響で血行動態が変化しつつある場合,出血性ショックを合併している場合,不整脈,体外循環併用時などとした.【結果】輸液前後でSVIは24mL/m2 から29mL/m2,SVVは11.8%から8.9%へ有意差をもって変化した. lactate clearanceは10%であったが,lactate値の変化に有意差を認めなかった.輸液前値を輸液反応性有り・無しで比較すると,SVV(13.2%・8.1%)に有意差を認め,ROC 曲線によるcut off 値は11%(AUC 0.89,95% CI, 0.643-0.929)であった.【考察】胸腔内圧をある程度一定に保った呼吸状態において, SVV,SVI は輸液に反応し変化することが示され,SVVは輸液反応性の1つの指標と成り得ることが示唆された.しかし,カットオフ値の設定,経時的変化の評価など,症例を重ねた検討は今後も必要である.