ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-230-SY8-1 集中治療のシミュレーショントレーニングコースの必要性に関するアンケート調査1)日本医科大学付属病院 外科系集中治療科、2)University of Hawaii梅井 菜央1)、Berg Benjamin1,2)、市場 晋吾1)、竹田 晋浩1)、杉田 慎二1)、坂本 篤裕1)【緒言】集中治療専門医には一定の研修期間と研修の質が必要である。そして重症患者管理には研修前に最低限必要な知識や基本的な手技の習得が望まれる。今回、専門医習得を目的に集中治療の研修を希望する医師が研修前に訓練できるシミュレーショントレーニングコースの必要性についてアンケート調査を実施したので報告する。【方法】2015年7月17日から日本集中治療医学会専門医研修認定施設の責任者に対してアンケート調査を行った。調査項目は、集中治療室での研修・指導状況、シミュレーショントレーニングの必要性と構成内容とした。【結果】アンケート開始1ヶ月の時点で回答は28名(回収率10%)であった。集中治療の研修で最低限取得すべきであると思われる手技上位3つは、気管挿管、バッグバルブマスク換気、中心静脈カテーテル挿入であった。それらの手技に関して施設長が研修前にできていると判断した割合は、気管挿管52%、バッグバルブマスク換気64%、中心静脈カテーテル挿入44%であった。最低限取得すべき知識上位3 つは、重症患者の身体所見、ショックの鑑別、人工呼吸器の初期設定であった。それらの内容に関して施設長が研修前に取得していると判断した割合は、重症患者の身体所見36% 、ショックの鑑別40%、人工呼吸器の初期設定29% であり、最低限の手技より低かった。また、76% の施設長が研修前のコースに興味があると答えおり、2日間のコースで講義にシミュレーションを加えたコースの希望が高かった。【結語】半数以上の医師が集中治療の研修前に、侵襲的な手技ができず、最低限必要な知識がない状態である。今後、専門医習得に向けたより質の高い研修を行うためには、研修前の集中治療のシミュレーショントレーニングコースの作成が必須である。シンポジウム 8 2月13日(土) 9:00~9:50 第1会場専門医制度はどうあるべきかSY8-2 3 つの大学病院ICU の主観的比較1)東京医科歯科大学 医学部 附属病院 集中治療部、2)名古屋大学医学部附属病院 救急・内科系集中治療部、3)浜松医科大学医学部附属病院 集中治療部、4)藤田保健衛生大学 坂文種報徳会病院 救急部足立 裕史1)、若林 健二1)、中沢 弘一1)、槇田 浩史1)、村瀬 吉郎2,4)、松田 直之2)、西脇 公俊2,3)、御室 総一郎3)、土井 松幸3)、中島 芳樹3)発表者は足掛け10 年で、全く関連を持たない国内3カ所の大学病院のICUに集中治療専任医師として勤務する機会を得た。何れも専任医師が24 時間365日ICU 内に常駐する、クローズド系と呼ばれるに近い体制では共通しているが、集中治療医が係る範囲については施設間で大きな差異があった。【紹介】浜松医科大学(H)(8→12床、年700症例、日本光電-PrimeGaia)では麻酔科のスタッフ(6 名+ 大学院生+ 支援1 名)で運用。名古屋大学救急内科系(N)(10 床、年400 症例、Philips-MetaVision)では救急科を母体とし、循環器内科、心臓血管外科、小児科、麻酔科出身のスタッフ(7名+支援3名+医員6名)でERと並列で運用。東京医科歯科大学(T)(12 床、年700 症例、日本光電-CAP)では、麻酔科のスタッフと、小児科出身のスタッフ(7名+ 支援1 名)で運用。【特徴】H では周術期の管理が大部分で、心臓血管外科症例を含む全術後症例で呼吸管理から抜管までをICU スタッフが担当した。Nでは外科系ICU(16床)と同様、全症例で各種投薬・検査オーダー、呼吸循環管理とそれに必要な処置を全て施行した。Tでは心臓血管外科以外の診療科の症例について、各主治医を補佐する立場で重症症例の管理を支援している。【考察】ICUが病院内で果たす機能的な役割、勤務するスタッフの専門・キャリアの背景、マンパワーのリソースのあり方の違いが集中治療医の関わりの多寡を規定する大きな要因となっており、症例数やスタッフ数を単純に比較するのは困難と思われた。ICUに専任医師を配置する利点は現時点で必ずしも明確になっていないが、コストの点では、専任医師が各診療科専門医の勤務をカバーする必要があると考えている。また、医療安全の面では、専任医師が常駐しても急変を防ぎ得なかった事例をそれぞれの施設で経験しており、別の施策を併用すべきと考える。