ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-228-SY7-3 集中治療における看護師の臨床判断能力の育成現任教育を行う看護管理者の立場から名古屋大学 医学部 附属病院山口 弘子医療の複雑・高度化、高齢化・重症化、平均在院日数の短縮等、医療を取り巻く環境の変化は著しく、看護師に求められる役割も複雑多様化している。特にICU などクリティカルケア看護領域においては、チーム医療の推進に伴い、看護師の役割拡大が進められ、多職種と協働しながら、より専門性の高い看護実践能力を発揮することが求められている。また、高度先進医療に取り組み、複雑かつ重症化した患者管理を行うICU においては迅速かつ総合的な臨床判断が求められる。生命の危機状況にあるクリティカル領域では、患者の変化や問題を早期に正確に把握し、把握した状況を的確に判断、適切な行為へと迅速につないでいくことが求められる。特に患者の身体的な変化を適切に捉えるためには、フィジカルアセスメント能力の向上とより多くの経験から得られた実践知の積み重ねが重要と考える。臨床現場では、24時間を通し、常に患者の状態の変化と看護師が行う看護の行為、その行為の効果などの判断を繰り返しており、これを意味ある実践経験にすることで、実践知の積み重ねとなり、臨床判断能力の育成が可能となると考える。意味ある経験にするためには、繰り返しの実践と何を見て、なぜそうしたかなど、実践を言語化することで自己の観察や判断を振り返り、また、言語化された他者の経験を聞くことで、経験がより洗練されたものとなり、意味ある実践的知識の積み重ねが可能となると考える。実践的知識に裏付けられた意思決定のプロセスを踏むことができるようになることで、より質の高い臨床判断能力の育成が可能となると考える。当院では、急性・重症化が進む中でジェネラリストとしての実践能力を向上させるため、特にフィジカルアセスメント能力の向上に力を入れている。また、従来よりクリニカルラダー評価にも事例を基にした臨床判断能力の評価を取り入れるなど、臨床判断能力の育成に努めている。そこで今回は、当院の教育システムとフィジカルアセスメント能力の強化への取り組みを紹介しながら、ICU看護師の臨床判断能力の育成について、現任教育を行う看護管理者の立場から発言する。SY7-4 臨床現場における臨床判断能力を養うための実践指導東邦大学医療センター大森病院 救命センター特定集中治療室佐藤 みえ集中治療領域における臨床判断は、患者の緊急度・重症度によっては、迅速に判断しなければいけない状況があります。また同じ患者は一人としていないため、患者の状態やその状況により判断する内容が多様です。さらに看護師自身の考え方も個々のため、看護スタッフ一人一人の臨床判断を育てることは難しさを感じております。そんな中でも、スタッフに指導する立場から、臨床判断能力を養うために臨床でどのように看護スタッフにアプローチしているか振り返ってみました。今回のシンポジウムでは、臨床において実際スタッフとどのようなコミュニケーションをとり指導をおこなっているかを話していきたいと思います。看護スタッフの判断を確認するタイミング1. 朝のウォーキングカンファレンス2. 昼休憩前の報告3. 勤務終了1 時間前の報告4. 状況変化時の報告5. カンファレンス  など状況判断をしたプロセスを聞く内容1. 問題と感じた点。2. 問題だと判断した理由。3. 問題の要因・原因は考えられているか。4. どのように対応したいと考えているか。上記の質問に対してはじめからきちんと答えられる優等生は少ないと思います。そこで、指導者として、足りない情報を補うことや関連する知識をその都度伝え考えを促すように行っています。 現場に求められる臨床判断能力はその状況を判断するだけではなく、判断した後どのように行動すべきかまで求められると考えます。そしてケアの後は評価指標を用いて自分の行ったケアの評価までが大切と感じています。それを繰り返すことで、判断するのに何が足りなかったのか、またどんな知識をどのように活用したため良かったのかを振り返ることができ少しずつ自分の臨床判断に自信を持つことができるのではないかと考えます。 本シンポジウムにおいて、臨床現場の指導者の立場から考える看護スタッフへの指導に関して、具体的にどのような取り組みが効果的かを考えられたらと思います。