ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-226-SY6-3 AT & TM DPC 解析日本医科大学 多摩永山病院 救命救急センター田上 隆背景:敗血症性播種性血管内凝固(DIC)に対して、アンチトロンビン製剤(AT)及びトロンボモデュリンα製剤(TM)の投与の有用性は議論のあるところである。敗血症性DIC症例において、AT, TMの投与と予後に関して検討する。方法:DPC データベース(2010年7 月から2013年3 月)を用いて、傾向スコア法及び操作変数法による解析を行った。主要評価項目は、28日予後である。結果:重症肺炎におけるAT: 28 日予後改善と関連する可能性が示唆された[1]。重症肺炎におけるTM: 28 日予後改善と関連しない可能性が示唆された[2]。腹膜炎におけるAT:28日予後改善と関連する可能性が示唆された[3]。腹膜炎におけるTM: 28 日予後改善と関連しない可能性が示唆された[4]。考察:敗血症性DIC に対して、抗凝固療法の是非に関しての結論は、本データのみからでは出すべきではない。しかし、データを客観的に顧みて議論のきっかけとなればと思い、まとめて報告する。1.Tagami, T., et al., Antithrombin and mortality in severe pneumonia patients with sepsis-associated disseminated intravascularcoagulation: an observational nationwide study. J Thromb Haemost, 2014. 12(9): p. 1470-9.2. Tagami, T., et al., Recombinanthuman soluble thrombomodulin and mortality in severe pneumonia patients with sepsis-associated disseminated intravascularcoagulation: an observational nationwide study. J Thromb Haemost, 2015. 13(1): p. 31-40.3. Tagami, T., et al., Supplementaldose of antithrombin use in disseminated intravascular coagulation patients after abdominal sepsis. Thromb Haemost, 2015. 114(3): p. 537-45.4. Tagami, T., et al., Use of recombinant human soluble thrombomodulin in patients with sepsis-induceddisseminated intravascular coagulation after intestinal perforation. Front Med(Lausanne), 2015. 2: p. 7.SY6-4 「日本版重症敗血症診療ガイドライン2016:(DIC対策班)」順天堂大学 医学部 救急・災害医学射場 敏明敗血症における播種性血管内凝固(DIC)の合併は、ショックと並び転帰を左右する大きな要因であり、その対策は重要である。本邦では現行版の敗血症診療ガイドラインにおいてもDICに対する抗凝固療法の有用性が紹介されているが、諸外国のガイドラインにおいてはこのような記述はみられず、海外とのスタンスの差が際だっている領域である。DIC班においては、その他の項目と同様にRCT に焦点を絞って関連する文献を網羅的に収集し、転帰、DIC 離脱、出血性有害事象をエンドポイントとして、これらを批判的に吟味した後に班員のコンセンサスにもとづいて採否を決定し、メタ解析をおこなうことで各治療薬の評価をすすめている。すなわち「CQ11-2:敗血症性DIC にリコンビナントトロンボモジュリンは有用か?」及び「CQ11-3: 敗血症性DICにアンチトロンビンの補充は有用か?」については、ほぼ解析を終了し、「CQ11-4:敗血症性DICにタンパク分解酵素阻害薬は有用か?」「CQ11-5: 敗血症性DICにヘパリン、ヘパリン類は有用か?」については現在文献の2 次スクリーニングが進行中である。しかしこのようにエビデンスベースドの作業がすすめられるなかで、いくつかの課題が浮上してきた。まずPICOに合致するRCTはごく限られたものしか存在しないか、あるいは存在せず、エビデンスの不足が感じられた。また採用されたエビデンスについいても非直接性やrisk of biasの問題が大きいものも多い。さらにRCTの症例数は数十規模のものも多く、少数例での検討になってしまわざるを得ないことも問題であろう。これに対し、後方視検討とはいえ最近はDPC データを用いて数千例規模の症例で傾向分析を行なっている報告もあり、果たして実勢を反映しているのはどちらなのか悩ましいところである。