ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-225-SY6-1 私が敗血症性DIC を治療しない理由東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 麻酔部岩井 健一播種性血管内凝固症候群(DIC)は血液凝固機能障害を呈する全身性の病態であり、重症患者においてよく観察される。また、敗血症患者においては、DICを呈するとより予後が悪いとされている。我が国は、診断基準の数次にわたる改定にも見て取れるように、『DIC研究の先進国』と言っても過言ではなく、DIC診療における特徴として、急性期DIC診断基準等による早期診断の試みと、その診断に基づく抗DIC治療(抗凝固療法)の実施が挙げられる。治療においては、かつてはヘパリン類やプロテアーゼインヒビターが好んで使用されたが、その有効性には疑問が持たれていた。近年では、治療の主役はアンチトロンビンとトロンボモジュリンに移行しており、観察研究やメタ解析、比較的規模の小さい介入研究によって、その有効性が複数報告されている。一方、諸外国においては、DICという病態の認識が低く、診断基準はあるものの(国際血栓止血学会診断基準)、DIC自体への治療介入(抗凝固療法)は一般的ではないようである。また、敗血症患者において行われた大規模介入研究によると、ヘパリン類、活性型プロテインC、組織因子経路インヒビター、アンチトロンビンによる治療介入の有効性は否定された。トロンボモジュリンについては現在第三相試験が進行中である。敗血症性DIC の治療の是非を考える際は、我が国と諸外国で行われた臨床研究の『対象患者群と一次エンドポイントの差異』に注意すべきである。すなわち、我が国では『敗血症性DIC 患者におけるDIC 改善効果』を検討対象として研究が行われているのに対して、諸外国では『敗血症患者における死亡率改善効果』を検討対象とする研究がほとんどである点である。我が国では、大規模介入研究実施の困難性から、諸外国の研究結果を基に診療態度を決めることが多いが、DIC 診療においては、これら研究デザインの差異により、諸外国の研究結果をそのまま参考にすることが困難である。このことは、我が国における『敗血症性DIC における抗凝固療法の位置付け』に混乱をもたらしている大きな原因の一つである。また、『DIC を治療しDIC を改善させることが敗血症患者の予後を改善しうるか?』という本質的な疑問や、『高額な抗凝固療法がその対価に見合うか?』という点も考察されるべきである。当日は、今までに行われた臨床研究を紹介しながら、『私が敗血症性DICを治療しない理由』についてお話出来たらと考えている。シンポジウム 6 2月12日(金) 16:40~17:50 第5会場敗血症性DICにおける抗凝固療法の位置付けSY6-2 J-SEPTIC DIC study報告J-SEPTIC DIC study group早川 峰司、齋藤 慎二郎、内野 慈彦、山川 一馬、工藤 大介、飯塚 悠祐、讃井 將満、滝本 浩平、真弓 俊彦【目的】敗血症を原因とするDICの診断や病態に関する報告は多い。今回、DIC治療を積極的に施行している施設だけではなく、DIC 治療を実施していない施設も含めた多施設共同後ろ向き観察研究として、Japan Septic DIC study(JSEPTIC DIC study)を実施したので、その概要を報告する。【計画立案】7施設9名のメンバーが中心となり計画の立案を行った。計画の立案に当たっては、収集データの質と共に収集にかかる作業量も考慮した。また、参加した施設には収集されたデータを全て提供すること、解析&論文発表の権利が与えられることを周知した。【参加施設】40 施設から42のICU が参加した。【対象】2011 年1月から2013 年12月の3年間にsevere sepsis/septic shockを理由にICUに入室した3195名が対象となった。【患者背景】平均年齢70歳、男性が60%を占めていた。平均のAPACHEIIは23であった。感染源は腹腔が32%と最多であり、次いで肺26%、尿路16%であった。DIC治療薬はAntithrombin(AT)製剤が31%、Thrombomodulin(TM)製剤が27%protease inhibitor 製剤が12%の患者で使用されていた(重複あり)。平均ICU在室日数は11日、ICU内死亡率は20%であった。ICU入室から退院までは平均41日、院内死亡率は33%であった。【DIC関連検査】DICを積極的に診断/治療しない施設にも参加いただいたため、DIC関連検査の欠損率は高く、ICU入室日において、フィブリノゲン、FDP、D-dimerは2~3割の症例で欠損していた。アンチトロンビンに至っては約半数の症例で測定されていなかった。【解析テーマの募集】研究開始前に、数個の解析テーマを事前設定した。データ収集後に2回に分けて解析テーマの募集を行い20個程度の事後解析テーマが設定された。【解析テーマ】「血小板減少の臨床的意義」、「DICの疫学」、「DICの治療方針が予後に与える影響」、「AT活性値と予後」、「AT製剤の投与効果」、「TM製剤の投与効果」、「AT製剤とTM瀬在の併用効果」、「IVIG投与による凝固線溶系への影響」、「抗凝固療法の適応」などがあり、現在解析進行中である。