ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
197/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている197ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-195-EL15ハーバードメディカルスクール・マサチューセッツ総合病院 麻酔・集中治療科市瀬 史ミトコンドリアは細胞の死と生存を支配する多能的細胞内小器官である。ミトコンドリアは細胞が生存のために必要とするATPの主要産生源であり、大多数の好気的ないし嫌気的代謝経路で中心的役割を果たしている。さらにミトコンドリアはオートファジーを含む細胞レベルでのストレス反応を調節し、アポトーシスばかりでなくネクローシスもコントロールすることが知られている。したがって、ミトコンドリアは、生理的な代謝機能から、ストレス反応、細胞死までの広範で連続する細胞機能を制御していることになる。そのため、ミトコンドリア自身の機能不全、あるいはミトコンドリアが重要な役割を果たすシグナル経路の不具合は、老化、肥満、神経変性疾患、心血管疾患、ガンなど非常に多くの疾患の基礎的なメカニズムとなっている。一方、硫化水素は、近年注目されてきた内因性のガス性シグナル分子である。硫化水素は幾つかの酵素から細胞質内で産生されるが、主としてミトコンドリアで代謝されることが知られている。高濃度の硫化水素はミトコンドリア呼吸鎖のチトクロームオキシダーゼを阻害することでATP産生を妨げる事は良く知られているが、硫化水素はミトコンドリアがATPを産生するための基質としても使われうる事はあまり知られていない。本教育講演では、硫化水素を含む硫黄酸化物が、ミトコンドリアの機能調節に果たす役割を中心に、最新の細胞保護ストラテジーについての最近の研究結果を紹介する予定である。教育講演 15 2月12日(金) 10:00~10:50 第11会場ミトコンドリアを標的とした細胞保護ストラテジーの最前線EL16山口大学 大学院医学系研究科 救急・総合診療医学分野鶴田 良介、小田 泰崇ICU領域に関する脳障害は,(1)昏睡,(2)せん妄,(3)重症疾患後の認知機能障害の3つに分類される.昏睡はせん妄より重症で,昏睡とせん妄を合せて急性脳機能不全という.ICUせん妄の発症は,単に3~6 カ月後の短期アウトカムだけでなく,1 年以上の長期アウトカムにも影響を及ぼすことが明らかになってきた.せん妄の同義語に敗血症関連脳症,代謝性脳症,中毒精神病,術後せん妄などがある.敗血症関連脳症は国際疾病分類(ICD10)で「encephalopathy(脳症)」が「delirium(せん妄)」に置き換わったことから,敗血症関連せん妄sepsis-associated delirium(SAD)と呼ぶほうがよいかもしれない.また,脳症と総称した場合の初期症状はせん妄に相当するためSADを早期検出するためにもSADの使用が望ましいかもしれないが,ここでは与えられたタイトルにしたがうことにした.敗血症関連脳症の発症メカニズムは未だよく解明されていないが,血管内皮の活性化と血液脳関門の崩壊,脳ミトコンドリア機能障害,マイクログリアの活性化,神経伝達物質の異常,脳循環障害の複合的な関与が推定されている.これらの多くのデータは動物の敗血症モデルから得られたものである.よって昏睡とせん妄を厳密には区別できない.近年,敗血症の定義について臓器障害に注目が集まるなか,敗血症関連脳症あるいはSADは敗血症を診断する上で試金石の臓器障害となる可能性がある.意識は覚醒(網様体賦活系)と認知(大脳皮質)の2 つからなる.覚醒を調べるスケールがGlasgow Coma Scale であり,鎮静深度のスケールであるRichmond Agitation-Sedation Scale(RASS)である.一方,認知を調べる手段がせん妄の診断ツールであるConfusion Assessment Method for the Intensive Care Unit(CAM-ICU)とIntensive Care Delirium Screening Checklist(ICDSC)である.したがって,RASS とCAM-ICU が連動しているのは理にかなっている.RASS-4~-5 を昏睡とし,RASS-3 以上のときにせん妄評価が行える.ヒトにおいてはこれらのツールから昏睡とせん妄を区別し得るようになり,SADを早期に診断できるようになってきた.ヒトのSAD の研究から得られたバイオマーカー,脳波,画像診断の最新データを取りあげ,SAD と非敗血症性せん妄で何が異なり,何が同じであるか現時点で明らかになってきたことを解説する.また,最後にSADに対する予防・治療法についても触れたい.教育講演 16 2月12日(金) 14:40~15:30 第11会場ICU領域におけるせん妄と敗血症関連脳症