ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-190-EL6東京ベイ・浦安市川医療センター リハビリテーション室髙田 順子 「安全に離床が行える基準は?」「坐位から立位へと、負荷を上げても大丈夫?」。これらはクリティカル患者の離床/運動を行う時の代表的なクリニカルクエスチョンでる。 近年、専門家の推奨やシステマティックレビューによって、明確で分かりやすい禁忌や中止基準が報告された1,2)。しかし、さらに“ 重力負荷や運動負荷の段階を上げる/ 上げない” の判断を要する場面において、その判断を左右する明確な基準はない。そのような時に、フィジカルアセスメントは大きな助けとなる。 例えば、血圧低下がなくてもCRT(capillary refill time)>2秒、下肢のmottling(斑状皮疹)、四肢冷感の3徴候は、低心拍出量・組織循環障害が強く予想される;心係数Cl<2.5(尤度比7.5)、ScvO2<60%(尤度比6.9)3)。呼吸数の増加は病態の悪化を示唆する4)。失神感(眼前暗黙感)を伴うめまいは、心疾患や起立性低血圧が考えられる5)。人工呼吸器患者の離床における中止理由の大半は非同調であったと報告されている6)。 安全にクリティカル患者の離床/運動をすすめる時の禁忌や中止基準を文献レビューし、また離床/運動の段階を上げる/上げない判断の手助けとなる、クリティカル患者に特有の病態変化や、重力/運動負荷に対する生体反応のフィジカルアセスメントを解説する。1. Hodgson CL, et al. Expert consensus and recommendations on safety criteria for active mobilization of mechanicallyventilated critically ill adults. Crit Care 2014;18:658.2. Sommers J, et al. Physiotherapy in the intensive care unit: an evidence-based, expert driven, practical statement andrehabilitation recommendations. Clin Rehabil. 2015;29(11):1051-633. Grissom CK, et.al. Association of physical examination with pulmonary artery catheter parameters in acute lung injury.Crit Care Med. 2009;37(10):2720-64. (編)米国集中治療医学会(SCCM)(, 監修)FCCS委員会, 日本集中治療教育研究会(JSEPTIC). FCCSプロバイダーマニュアル第2 版. メディカル・サイエンス・インターナショナル, 20135. (監修)酒見英太,(著)上田剛士, ジェネラリストのための内科診断リファレンス-エビデンスに基づく究極の診断学をめざして-. 医学書院, 20146. Schweickert WD, et.al. Early physical and occupational therapy in mechanically ventilated, critically ill patients: arandomised controlled trial. Lancet. 2009, 30;373(9678):1874-82教育講演 6 2月12日(金) 10:00~10:50 第4会場安全に早期離床/運動を行うための集中治療室でのフィジカルアセスメントEL7LDS Hospital 呼吸器内科・集中治療科田中 竜馬 重症疾患から回復して集中治療室(ICU)を退室してからといって、すぐに元の健康状態に戻れるわけではない。重症患者の多くは退院後も続く筋力低下や認知機能障害を煩い、仕事に戻れないなどの問題を抱えていることが最近の研究でわかってきている。このような、重症疾患やその治療に起因する長期的な精神・認知・身体機能の障害は、Post-intensive care syndrome(PICS)と呼ばれる。患者本人だけでなく、家族にも心的外傷後ストレス障害(PTSD)や不安、うつなどの頻度が高いことがわかっており、Post-intensive care syndrome-family(PICS-F)と呼ばれる。 急性期に端を発するこのような合併症を予防すると期待されているのが、ICU からはじめる早期離床である。早期離床は、重症患者であっても安全に行うことができ、機能的自立の頻度を増やし、せん妄の日数を減らすことが示されているため、米国集中治療医学会によるガイドラインにおいても鎮静を可能な限り浅くすることと共に推奨されている。 この講演では、早期離床に関する現時点でのエビデンスを振り返り、また自施設での早期離床の取り組みを紹介する。教育講演 7 2月12日(金) 16:40~17:30 第4会場ICUからはじめる早期離床