ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-183-SL9作家/大阪人間科学大学 社会福祉学科久坂部 羊 現代は医療の進歩により、多くの命が救われる時代になりました。その一方で、器械につながれ、身体中にチューブを差し込まれて、尊厳のない状態で命が引き延ばされている現実もあります。 多くの患者さんは、助かる見込みがあるなら治療をしてほしいけれど、悲惨な延命治療になるならやめてほしいと望みます。しかし、集中治療を含むあらゆる延命治療には、やってみないとわからないという側面があります。 その事実を踏まえた上で、より望ましい死はいかにすれば実現に近づけるのか。 確実に救命できる保証がないなら、患者さんおよび家族を納得させるために必要なのは、医師の説明力だと思います。患者さんや家族が抱く期待感、思い込みを上手に誘導し、現実を受け入れる心の準備が得られれば、治療に対する失望や怒りは起こりにくいのではないでしょうか。 しかし、重症の患者さんや家族はたいてい動転し、平常心を失っています。加えて専門用語には不慣れだったり、逆にネットなどから偏った情報に凝り固まっている人もいます。それぞれの性格、家庭環境、人生背景、知的レベルも異なります。そういう相手にどうやって上手な説明をするか。 マニュアルはありません。必要なのは相手の気持と状況を汲み取る共感力です。共感力に必要なのは哲学だと思います。死とは何か、生きる意味とは何か、人間とは何か。死について深く考えない人は、救えない命にも真摯に向き合えないでしょうし、人間という複雑な存在を理解しようとしない人に、他人の心を癒やすのはむずかしいでしょう。 現実にはいろいろなことが起こります。それを踏まえて、想像力を広げることが哲学を深めることにつながると思います。その一助として、私事で恐縮ですが、だれもが絶望視した延命治療から復活を遂げた義理の叔父と、医師でありながら徹底した医療否定主義だった父の死についてお話ししたいと思います。特別講演 9 2月14日(日) 9:00~10:00 第1会場死をいかに迎えるかSL10産業医科大学 医学部 公衆衛生学教室松田 晋哉現在、各都道府県で地域医療構想の策定が進んでいる。このプログラムでは投入された医療資源量(出来高換算点数)をもとに、DPC別、性年齢階級別、住所地別の機能別病床数(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)が構想区域ごとに推計されている。高度急性期の病床数推計に際しては、ICU やHCUなどの利用状況をみて急性期との区分点を設定している。したがって、ICU病床は今回の推計では高度急性期病床に含まれている。 今回の推計は現状追認で行っているため、推計量が必要量である保証はない。実際、福岡県の13の医療圏の性年齢階級別の関連レセプト出現率を補正して集中治療室の利用状況を分析すると、2 つの医療圏では算定がなく、残りの11 の医療圏では最低が朝倉医療圏の51.5(100が平均)、最高が北九州医療圏の316.7 となっていた。National databaseを用いた他の医療行為との相関分析、及びDPC データを用いた詳細分析を行ってもこのような利用率の差が説明できるような患者側の要因は十分でなく、供給側の要因によってこうしたICU 利用の差が出ている可能性が示唆された。 ICU 退室時の死亡に関連する要因を分析した筆者らの研究結果では、ICU の専従スタッフが配置されているClosed の施設で死亡率が低いという結果が得られている。したがって、ICUの配置に際しては、質を保証するための基準を設定した上で、地域の症例数を推計し、それらを勘案した上で、安全率を見込んでICU数を決めることが望ましい。また、術後管理を主として行うICU(HCU?)と治療を主として行うICU の機能区分についても学会として検討すべきであろう。さらに、そうしたICU の機能を外部評価できるために、入室患者の重症度についても公的な仕組みとして評価することが望ましいと考える。特別講演 10 2月14日(日) 9:00~9:50 第3会場医療改革:必要なICUベッド数は?