循環器集中治療には幅広い領域が含まれる。PCAS、ACS-CS、HF-CS(VAD含)、開心術後、非心臓手術・疾患における循環器合併症、など各々のエキスパートからエッセンス、課題について発表いただく。
重症STEMIや重症心筋炎において、非心臓移植施設医師がしっておくべき、心臓移植施設の考え方、これさえ聞けば一通り網羅できる内容をご講演いただく。
人工呼吸関連肺傷害を防ぐためには、肺胞の虚脱-再開通(tidal recruitment
/Atelectrauma)を抑制する適切なPEEP設定がKeyである。現在、様々な呼吸関連モニターが登場し、それぞれのPEEP設定法が存在する。本シンポジウムではそれぞれの機器のPEEP設定法の利点と欠点を整理し、最適なPEEPそのものについての理解を会員の方と共に深める。
近年のデバイス改良や管理技術の向上により、安全かつ質の高い呼吸ECMO管理を長期間継続することが可能となった。ELSOにおける長期ECMO(Prolonged ECMO)の定義は28日以上とされ予後良好な報告例も散見されるが、国内においてはECMO症例の管理加算延長に“25日以内”という壁が存在する。本セッションでは「呼吸ECMOの長期管理」をテーマに、肺可逆性の評価(HRCT, 病理組織診など)や長期予後予測スコアなど学術研究やTLT(Time Limited Trial)やAwake & rehabilitationなどの多職種での臨床上の取り組み、エキスパート施設特有の合併症対策や管理手法などの講演を一部指定・一部公募で募り構成する。これら多角的な視点の講演・総合討論を通して長期ECMOを掘り下げ、呼吸ECMO「25日の壁」に対して我々がECMOを如何に有効活用していくかの指針を示していく。
ARDSは単一疾患ではなく、多様なフェノタイプが混在する「症候群」である。このため、ARDSの生存率をさらに向上させるには、ARDSを様々な観点から適切にフェノタイプ分類し、個別化治療を確立する必要がある。本セッションでは、ARDSのフェノタイプ分類の重要性を再確認し、臨床現場で実践可能な「分類の視点」と、それぞれのフェノタイプに応じた治療戦略について、最新の知見と臨床実践をもとに議論して頂く。
医師以外で人工呼吸器の操作に携わるには臨床工学技士と看護師となるが、近年タスクシフトシェアの流れの中で責任体制のあり方や業務分担について課題が生じている。
原因のひとつとして各職種の養成課程の理解不足が挙げられる。今後業務を適正に遂行し、医療の質を高めるためにどのような取り組みが必要となるのかを考えたい。
近年、ECMOは臨床現場において注目を集め続けており、その重要性はますます高まっています。一方で、研究面では依然として多くの課題が存在します。基礎研究においては、動物モデルの作成や再現性の確保、費用面の制約などが障壁となり、臨床研究では症例数の限界や無作為化比較試験(RCT)の実施の難しさが指摘されています。本セッションでは、基礎研究および臨床研究の両面から、最先端のECMO研究を発表して頂き、それぞれの立場からの最新の知見を共有していただきます。ECMOの科学的理解と臨床応用の深化を図ることで、今後のECMO分野がさらに発展することを期待しています。
エンドセリン受容体拮抗薬の承認後、くも膜下出血の周術期管理は注目され、これまでも本学会にてシンポジウムが開催されてきた。特に本薬剤の適応や使用方法について、いまだに発展途上であり解決されていない問題である。毎年、新たな研究成果が報告されており、今回も本件に関してディスカッションしたい。
PCAS管理の取り組みを、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士など、多職種のアプローチで発表してもらい議論する。
日本版重症患者の栄養療法ガイドライン2024が公開されて約1年が経過し、新たな推奨を取り入れている施設や、初めてガイドラインに沿った栄養療法を試みている施設もあるものと考えられる。実際の栄養療法プラクティスはどのように変化したか、早期栄養介入加算に対応するプラクティスのあり方はどうあるべきか、ガイドライン関連資材も含め臨床現場の意見とともに、次回のガイドラインで検討すべき内容や取り入れるべき研究成果などについても議論する。
J-SSCG2024で提示したFRQに対する臨床研究や、その他の関連研究を紹介する。
遠隔支援システムやモバイルECMOや広域搬送ツールなど地方の集中治療における弱点を埋める取り組みは全国的に行われていると考えられる。これらの知見を併せて議論していたくことは今後の人口減少や人員不足に備えるために重要であると思われます。
病院間の重症患者搬送に対して1800点の点数加算が開始されて3年になる。その間に、国内の重症患者搬送はどう変わったか、などの検証、現状把握を行なう必要性を感じている。重症患者搬送の命題は患者の安全性をいかに担保するかである。本セッションでは、移動する集中治療室(mobile ICU)の体現のために各施設における『安全な重症患者搬』を維持するための取り組みや工夫について議論をお願いしたい。また、現状の1800点の妥当性や医師、看護師、臨床工学技士という認定基準の妥当性や実情にも踏み込んでいきたい。
法的脳死判定マニュアルが改訂されたが、その後に経験した事例をもとにさらなる改定の必要性を考える。
AIが劇的に進歩する中で画像診断はAIが有効な領域と期待され、様々な取り組みがなされている。集中治療領域における画像診断に関連した人工知能モデルの開発研究、ならびに人工知能モデルを含むソフトウェアの導入によって得られる効果に関する研究に関する現状と今後の展望について、実際に取り組んでいる方々から報告頂きたい。
急性期リハビリテーションの最新の研究について紹介して頂く。重症患者の病態や介入効果のエビデンス、新しい技術を用いた幅広いリハビリテーションについて知識を共有する。急性期に何をいつからすべきかを議論する。
医療の進歩により多くの先天性心疾患患者が成人期を迎える中、成人先天性心疾患(ACHD)に対する専門的診療体制の整備が急務となっています。本企画では、「誰が・どこでACHDを診るのか」という課題に加え、診療報酬や専門医制度、疫学の現状について概説します。集中治療、小児集中治療、循環器内科・小児循環器科の両視点から疾患管理や移行期医療の実際も議論し、今後の体制構築を多職種で考える機会とします。
小児終末期医療および緩和ケアに関する4学会合同ガイドラインや、小児科学会の話し合いによるガイドライン改訂が進んでいます。本セッションでは、これらの改訂内容をもとに、新たな推奨事項を解説するとともに、現場で直面する課題を共有します。特に、小児科学会のガイドライン改訂を踏まえた終末期医療の方針、家族支援の重要性、意思決定の難しさについて議論し、今後の実践に活かせる具体的な解決策を提案します。
ICUの患者は、生命維持のための治療を受けながら、同時に多くの“語られない苦痛”と向き合ってる。人工呼吸器の装着に伴う苦痛、コミュニケーションの困難さ、睡眠障害、不安やせん妄、それらは外見からは見えにくく、時にケアの優先順位から漏れてしまいがちになる。しかし、これらの症状マネジメントこそが、ICUにおける人間的な看護の根幹を支えている。本セッションでは、ICU患者が抱える身体的・心理的苦痛の「見えなさ」に着目し、症状マネジメントの重要性とその実践について考察する。
本セッションでは、日本国内で精力的に展開されている敗血症の基礎研究を取り上げ、各研究施設における注目すべき取り組みや最新の知見を紹介する。炎症・免疫応答、代謝異常、微小循環障害、腸内細菌叢といった多面的な研究成果を通じて、基礎から臨床へのトランスレーショナルリサーチの現状と課題を共有する。さらに、今後の新規治療法・診断法の開発に向けた展望を議論し、臨床医と研究者が互いに学び合い連携を深める場とすることを目指す。
AI技術の進展により、ICU患者の異質性を克服する新たなアプローチとして、サブフェノタイピングやエンドタイピングを活用したPrecision Medicineへの関心が急速に高まっています。本シンポジウムでは、この領域をリードする研究者が集い、AIを活用した治療層別化の最新知見を共有します。研究と臨床実装の両側面から、Precision Critical Careの可能性と課題を多角的に議論します。
遠隔集中治療は都市部のように病院が隣接しているが、各病院の医師数は少ないという状況と、地方において距離が離れた施設との連携など、遠隔集中治療の導入に対する背景やニーズの違いがある。これらをどのように解決に向かって進めていくかについて、成功事例と課題を取組みをしている施設より発表をしてもらうことで共通認識を醸成していく。
ICUや一般病棟では、アラームの過剰発生による「alarm fatigue(アラーム疲労)」が医療者の注意力低下やストレスの原因となり、医療安全に影響を及ぼします。
本シンポジウムではアラームの最適化や、アラームへの対応体制、また自動トリガーによるRRTへの過剰通知などの問題に関して議論します。なおMACT(monitor alarm control team)に関する演題は,重症病棟やRRSとの関連があるものに限定させていただきます。
医療現場の「気づきの質」を高め、アラームとどう共存すべきかを考える場として、臨床、工学、教育の観点からの演題を広く募集します。
Rapid Response Team(RRT)の看護師は、病棟と集中治療の架け橋として極めて重要な役割を担っています。
現場では、経験と判断力をもとに「その背中を見れば安心できる」と言われるRRT看護師の存在が、まさに病棟の安全文化を支えています。
本シンポジウムでは、RRT看護師の実践的スキル・判断基準・チーム内での役割に焦点を当てるとともに、どのようにしてそのような人材を育てるかという教育・育成の課題について議論します。RRT看護師の臨床実践に関する知見や、育成プログラムの工夫、教育システムの整備に関するご経験・取り組みを共有していただける演題を広く募集いたします。
ともに、看護の力で病棟を救うRRTの未来を描きましょう。
複雑多岐な患者の医療需要の増加が予想される一方、医療従事者の確保が難しくなる2040年問題に対して、集中治療部門でもそれぞれの施設で多職種連携から、ICT活用までさまざまな取り組みを行い、安全で効果効率の良い医療提供体制を整備することが喫緊の課題である。本企画では、今後を見据えて集中治療に係る医療従事者の働き方改革をどのように進めているのか、成果を上がている取り組みはどのようなものかなど、実働を共有し、集中治療部門における医療提供体制の現状の維持、向上を図るための働き方改革について議論したい。
持続可能な集中治療を実現するには診療報酬に基づいた経済的裏付けが必須ですが、厳しい国の財政状況があるなかで、集中治療がどのように国と対話していくべきなのかが改めて問われています。
社会保険対策委員会では令和8年の夏までに令和10年度診療報酬改定に向け広く意見の収集を行う予定ですが、本セッションでは令和10年度診療報酬改定における提案を検討されている会員にその内容を御発表いただき、より実現可能性の高いものにピアレビューすることができたらと考えています。
ICUは医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、リハビリテーション職、管理栄養士など多様な専門職が高度な知識と技能を結集し協働することで、重篤な患者への最善の医療を実現しています。私たち一人ひとりが、まさに“命を救うヒーロー“であり、集中治療を支える存在です。本セッションでは、未来のICUを担う人材の確保と活躍の場の創出、そして職種の枠を越えた連携の可能性に焦点を当てます。集中治療の魅力を次世代にどう伝えるか、またそれぞれの専門性を活かしたチーム医療をどのように展開していくかを多角的な視点から、若手世代の皆さんとも議論を展開したいと思います。
公募テーマとして「ICUにおける職種連携の取り組み~メディカルスタッフの立場から~(仮)」のような演題を募集いたします。
急性期診療では、ROSEモデルに示されるように、治療には段階があり、現在の治療段階に応じてアプローチを変えることが求められます。しかし、集中治療の現場では、治療やケアのタイミングが合わず、「今なぜそれを?」と感じる場面も少なくありません。その背景には、チーム内で患者の「現在地」=治療段階の認識がずれていることが考えられます。本セッションでは、職種や専門に関係なく、患者の「今どこにいるのか」をどう共有し、それをどのように行動に活かすかについて議論します。公募演題では、認識共有のための工夫や、それによって治療やケアがうまくいった成功例、逆に難渋した失敗例などを幅広く募集します。
本シンポジウムでは、日本Shock学会で第一線を走る基礎医学研究者およびphysician scientistにご登壇いただき、それぞれの専門領域における主な研究テーマと最新成果を紹介していただく。敗血症、循環不全、臓器障害など、ショック病態の解明と克服を目指した基礎研究の軌跡を辿るとともに、診療の現場での臨床的意義や研究成果の還元について掘り下げる。
また、医師としてのキャリアと研究者としての志の両立、アカデミアにおけるPhysician Scientistのあり方、若手育成に向けた課題などを議論し、「医療と研究の架け橋」として求められる今後の方向性を探る場としたい。
集中治療は医療システムそのものであり、社会の基幹的なインフラストラクチャーである。しかし、地域医療構想の病床配置計画において重症病床数は規定されておらず、地域包括ケアにおける役割も曖昧であるという課題がある。今後の集中治療の発展にはステークホルダーへプレゼンテーションを適切に行い、集中治療を適切に医療経済政策に組み込むことが必須である。本セッションでは、集中治療医から医療経済の専門家まで幅広い皆さんにご登壇いただき、集中治療は医療経済政策とどのように対話していけばよいのか、その具体的方法論を探っていきたい。
循環器集中治療にフォーカスした多職種連携について、看護師、薬剤師、臨床工学士、理学療法士、栄養士等から討議いただく。
Danger shockの結果も踏まえ、主にSTEMIに対し、Impellaをどのように活用していくかを議論する。
ECPELLA管理においては、標準化された方法が存在せず、患者の病態も多様である。一方、近年では高度な補助循環装置の管理において、Volume-Outcome Relationshipが指摘されるようになってきている。
本パネルディスカッションでは、臨床経験が豊富な施設より、実際の症例経過を提示のうえ、適応から離脱、ECMO・IMPELLAの設定、NO併用など、ECPELLA管理における実践的な戦略について議論を行う。現場に即した知見を共有することで、今後のECPELLA管理の質向上につなげることを目的とする。
循環器集中治療領域の新しい治療戦略や技術革新をJ4CSメンバーや若手医師・研究者が提示する先進的セッションです。従来の枠組みを超えた斬新な視点と最新知見を共有し、次世代リーダーによる分野の未来を展望します。若手からベテランまで、分野の発展を担う全ての医療者に向けた知的刺激と交流の場です。
ICUにおいて腸管虚血は致命的になることがあり早期診断が重要となるが、一般的な検査では限界がある。本セッションでは、各施設の腸管虚血に対する診断と治療の工夫や取り組み、今後の課題について議論していきたい。
ICUでの抗菌薬関連下痢の発症率は21.5〜30%と報告され、予防や治療には多職種連携による多面的な対策が必要となる。本セッションでは、発症時に抗菌薬中止や経腸栄養継続の有無などを含めて、多職種と連携しながらどのように対処しているが、具体的かつ実践的な活動について討議して頂く。
出血、希釈、DIC、HIT、TMAなど、集中治療領域で遭遇する血小板減少の原因の鑑別をパネリストが議論する。実際の症例を数例提示していただきながら、どのように考えて鑑別を進め最終診断に至ったかを解説していただきます。
重症患者において強い侵襲や抗菌薬等の治療、絶食管理が腸内細菌叢の破綻を破綻させ、腸管免疫を障害することが知られている。また、腸内環境が重症病態の経過に影響を与えあることが解明されつつあり、盛んに研究も行われている。早期の経腸栄養の開始やシンバイオティクス療法、便移植等について各施設の取り組みを議論したい。
救急外来に搬送される中毒患者は一般的に軽症なものが多く、ICUに入室するケースは全体の数%程度と稀である。しかし一部の患者においては重症度が高く、またICU在室日数も長期にわたることもある。多くはないものの、生命に関わるようなICU入室中毒症例は、個人の力だけで乗り切ることは困難であり、ICUならではのチーム力を活かした医療を展開する必要がある。(新版急性中毒標準診療ガイド「第II章・診療体制の構築」を参照)難渋した症例やチームで解決してうまくいった症例を提示しながら、ICUで中毒患者を見る際に例えば医師→検査技師にお願いしたいこと、看護師→医師に聞いてみたいことなどなど、普段の疑問点や困っていることを何でもお互いこの機会にオープンに話し合ってみましょう。(例:不穏状態の鎮静に困った、HDかCHDFか悩んだ、血中濃度の測定を行いたいなど)
ICUにおける災害への備えについて、近年はいかに機能を拡張できるかについて議論されてきた。しかし機能拡張以前にICUは本当に機能を維持できるか、リスク評価が重要である。HVA;Hazards Vulnerability Analysisの概念を含めて、改めてICUの機能維持について考えたい。
医療資源が枯渇する災害時に、集中治療が必要となる避難行動要支援者(小児・高齢者・透析・妊産婦)への対応をどうするべきかは、定まった規則がない。「もし災害時に、あなたのICUに、要医療ケア児と認知症高齢者が同時に運ばれてきたら?」といった、通常のICUプロトコルどおりにいかない、判断に迷うシチュエーションについて、さまざまな角度から議論して頂く。
具体的には、以下の5テーマについて議論して頂きたい。
1)小児:“そこに親はいない”―避難下での小児重症患者とPICUの責任
2)高齢者:高齢だから助けない?―ICUトリアージに揺れる災害時の倫理と現実
3)慢性透析患者:透析が止まったときICUは何ができるか?
4)妊産婦:母体か胎児か―二つの命を守る災害時ICUの決断
5)広域搬送:搬送するのは“人”だけではない―災害時に動かすべきケアとシステム
フェンタニルが不足し、レミフェンタニルは集中治療の鎮痛を担う薬剤として欠かすことのできない薬剤となりつつある。しかしながら、フェンタニル欠品がなければ、真にレミフェンタニルは必要な薬剤だったのだろうか?人工呼吸中の鎮痛にレミフェンタニルは必須である/レミフェンタニルは代替手段であり不要である、両立ち位置の演題を公募し演者間の討論を行う。
日本集中治療医学会学術集会では、昨年・一昨年とPICS外来とPICSラウンドについて、主に各施設の運用やその課題についてディスカッションを行ってきた。今回は、各施設のエビデンスを発信することで、保険診療の点数獲得に向けた活動の基盤を構築する。
2025年2月にPADISガイドラインがアップデートされた。PADIS管理のアップデートを踏まえ、PICSの各ドメインの最新研究をレビュー・紹介した上で、今後のPICS研究の進むべき方向をディスカッションする。
ICU患者退室後直面する、社会・経済的な影響を系統的にまとめ、ICU患者が真の社会復帰するための方略をICUサバイバーと一緒に議論する。
身体・精神・認知機能障害のほかに、慢性疼痛、倦怠感、不眠などの症状にも注目が集まっている。患者のQOLを高めるためにどのような戦略が必要か議論する。
運動療法も栄養療法も治療である。運動療法であれば、タイミング、頻度、強度、時間などの要素があり、栄養療法であれば間接熱量測定等による評価に基づいた、適切なタイミングや投与量が存在するはずである。現在までのエビデンスを踏まえ、運動療法、栄養療法について最も良いと考えらえるbestな介入と、諸々の条件を踏まえて考えられうるoptimalな介入について議論する。
小児重症患者の集中治療においては、Family-centered care(家族中心のケア)の視点が不可欠です。家族をケアの重要な一員と捉え、情報共有や意思決定に積極的に関与してもらうことで、治療効果や家族のQOL向上が期待されます。本企画では、PICUに限らず、小児患者を受け入れるあらゆる現場での家族支援の工夫、きょうだい面会、リハビリ、心理的支援など、多職種による実践を共有します。成人集中治療に携わる医療者にも新たな視点を提供し、年齢や診療科を越えて家族に寄り添うケアの在り方を探ります。
敗血症やARDSは小児集中治療において依然として高い罹患率・死亡率を伴う重要疾患です。近年、敗血症に関しては国際的に「Phoenix criteria」が提唱され、ARDSにおいてもPARDS定義の見直しが進んでいます。本セッションでは、最新の定義や診断基準、病態理解の進展、そして現場での対応について、多職種で整理・共有し、今後の標準化や研究への応用についても議論します。
看護現場において、燃え尽き症候群は深刻な課題である。多忙な業務、感情労働、そして慢性的な人手不足など、看護師を取り巻く環境は年々厳しさ増している。こうした中で看護の質を維持・向上させるには、個人の努力や精神論だけでは限界がある。必要なのは、看護師が安心して働き、持てる力を発揮できる「理想的な職場環境」の整備である。本セッションでは、Healthy Work Environment(健全な職場環境)の概念を基盤に据え、バーンアウトを予防し、持続可能な看護実践を支える組織づくりに焦点を当てる。
ICUは高度な知識・技術、そして迅速な判断力が求められる専門性の高い現場である。命に直結するケアが日常的に行われる一方で、そこに加わる新人看護師や異動者は、強い不安や孤独感を抱きやすい環境にある。
これまでのICU教育は「できる人が自然と残っていく」ような風潮が少なくなかった。しかし、あらゆる背景を持つ看護師が、安心して成長し、チームの一員として力を発揮できるようにするためには、誰も置き去りにしない教育の仕組みが求められている。本セッションでは、ICUにおける新人教育に加え、異動者(中堅・ベテランを含む)に対する教育支援にも焦点を当てた教育について紹介する。
近年、機械学習(Machine Learning: ML)や生成AI(Generative AI)の導入が急速に進んでおり、臨床意思決定支援や研究手法そのものにスピードと精度を獲得しつつあります。本シンポジウムでは、AIが研究デザインやアウトカム評価に及ぼす影響、さらに今後の臨床研究における生成AIの可能性と課題について多角的に議論します。技術革新がもたらす倫理的・制度的課題を含め、未来の重症医療のあり方を展望します。
高齢者の救急搬送・ICU入室は増加傾向にあり、平均的な生命予後だけでなく生物学的多様性・機能的予後を重視した判断が求められる。集中治療ベッドを含めた限られた医療資源下においては、高齢患者の搬送先や治療方針などの選択(特にinvasive interventionの適応)について多職種で支援していくことが不可欠である。本パネルディスカッションでは多職種から演者を広く公募し、集中治療の現場の実情やデータを用いて、今後のICUの高齢者診療を考える場にしたい。
安全・健康で、働きやすい職場環境の実現のためには職員間の高い心理的安全性が不可欠である。また、心理的安全性はチームの生産性を高める重要な要素でもあり、質の高い集中治療の提供にも不可欠となる。本セッションでは各施設の心理的安全性を高いチーム医療の実践を紹介いただき、私たちが目指すべき「Happy and healthy work environment」について議論する。
内科領域は、いずれ科も急変、重症があり、そのような時に患者に寄り添い回復できるように全力を尽くすためには、集中治療管理について十分な経験と知識が必要である。しかしながら、集中治療専門医に目指す内科医はまだまだ少ない現状がある。
集中治療専門医を取得するために内科専門医を取得していればチャレンジ可能であり、内科医で集中治療専門医を取得した医師、これから取りたい医師の意見を交えて内科医がもっと集中治療医に目指す方向性を見出したい。
2024年度、当学会は厚生労働省の推進事業に参画し、薬事規格安全対策委員会と集中治療領域におけるタスクシフト推進に関するWGが連携して「集中治療領域における特定行為研修修了看護師の活用ガイド」の作成ならびに、シンポジウム、ウェビナー、e-learningを行いました。本セッションでは、本事業で今後の課題とした、特定行為研修修了看護師の活用に向けた課題やグッドプラクティスの更なる集積を目的とします。国内で熱心にタスクシフト/シェアに取り組まれている施設から、特定行為推進に不可欠となる医師・多職種との協働に関する課題や工夫をご発表頂き、活用ガイドのブラッシュアップを含め、特定行為研修修了看護師の活用推進につなげることを目指します。
価値観や働き方が多様化する現代の医療現場において、教育・組織運営・人材育成に携わる医療者には、柔軟かつ戦略的な対応が求められています。特に集中治療の現場では、年齢や職種、バックグラウンドの異なるスタッフとの協働が日常的であり、その中でのリーダーシップやチームビルディングは重要な課題です。
本セッションでは、医学教育、組織運営、チームリーダーシップの各分野における第一人者を講師としてお招きし多面的な視点からの講演を行います:
さらに、公募枠として若手医療者2名を募集し、医学教育・組織運営・リーダーシップに関する現場からの問題提起を募集いたします。
演者全体による総合討論を通して、実践的な課題意識と多様な立場からの視点を交差させ、これからの医療組織の在り方について活発な議論を行います。
若手から管理職まで、幅広い層にとって有益なセッションです。組織をより良くしたい、後輩を育てたいと考えるすべての方のご参加をお待ちしています。
集中治療部門に集うメディカルスタッフは、自分の意志で集う医師と異なり、様々なスキル、目標、モチベーションを持つ人々が集っている。その中で高みを目指し、資格を取得したメディカルスタッフは、どのように院内活動を始め、多様なスタッフの理解を得、周囲にどのような影響を与えたのか。そして多忙な医療現場の中でどのようにモチベーションを維持しているのか。制度の説明や、実際に最近資格を取得した人の経験の共有や共有し、集中治療部門でメディカルスタッフが輝き続けるための議論を交わしたい。
ショック状態の病態理解から最新の治療戦略まで、循環器専門医と集中治療医の異なる視点を融合させ、診断・治療の最適化と予後改善につながる総合的アプローチを模索します。
敗血症診療において、ガイドラインは、医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を行うことを目的としています。しかしながら、医療の標準化を適用するのがふさわしくない病態の一つに敗血症があげられます。本セッションでは、「beyond the guideline-われわれの工夫-」をテーマとし、初期蘇生・循環作動薬、急性腎障害診療、急性血液浄化、DIC診断と治療、などの治療分野の最新のエビデンスや理論を総括するとともに、実際の医療現場でガイドラインを超える治療の工夫を提案いただき、敗血症100%救命を目指すことを目的とした議論を行いたいと考えています(例:敗血症に対する急性血液浄化の工夫 など)。
集中治療がサブスペシャルティ領域専門医として認められ、晴れて「私は集中治療医である」と明言できるようになった。しかし定年後もずっと集中治療医として働くことは可能なのであろうか?長い医師人生の経験と知識を活かし、後進の邪魔をせず老害とならず、静かに下から支えるような存在としてシニア医師が活躍できる場があるのだろうか?そこが担保されなければ若手医師に向けて集中治療科専門医の魅力をアピールすることは難しい。定年退官後も集中治療に関わりアクティブに活躍されている先生にご登壇いただき、まだまだ若いシニア世代集中治療医を活用する可能性を見出す場としたい。
本セッションでは、集中治療領域における診療看護師(NP)および専門看護師(CNS)の役割を明確化し、両者の実践内容や組織内での活用戦略、さらにはチーム医療における相補的な関係性について多角的に議論することを目的とする。高度実践看護師の導入・育成を検討する医療機関にとっても有効な知見を提供する。
SGLT2阻害剤は心不全治療の重要な薬剤でありICU患者でも入室後に開始になったり、内服中の患者が入室したりする。しかし、SGLT2阻害剤には正常血糖ケトアシドーシスなどの害も知られている。昨年のIntensive Care Medicine誌のEditorialに取り上げられるなど集中治療医としても十分に理解しておくべき薬剤である。SGLT2の循環器領域における益の面、アシドーシスなど害の面、どのように使用するのがいいかについて演者の先生にご発表いただき、この領域の知見を深める。
open ICUではICU栄養チームと主治医との間で栄養療法についての考え方に隔たりがあり、栄養療法が進まないことがある。GL改訂や早期栄養管理加算がopen ICUにおける栄養療法の推進につながったかどうかを検証する。
従来ECMO、ImpellaやVADなどのMCSは、高い専門知識とスキルを持った専門職が、ICUで腰を据えて管理を行うものであった。現在では、病院前でのECPRやMCS装着下での施設間搬送など、病院“外”に持ち出されることが増えてきている。そのような環境は、ICU内と異なり物的・人的リソースが限定的であり、大いなるリスクを伴う。エビデンスが蓄積されていないこの領域で、実際に行なっているエキスパートからそのTipsを伝える。
集中治療領域における痛み・不穏・せん妄について、これまでに様々な研究の報告やガイドラインの普及等によって、妥当性・信頼性のあるスケールを用いた定期的な評価・介入をはじめとした標準的な管理が多くの施設で取り組まれるようになった。本セッションではこのような標準的な管理を底上げし得る先駆的な取り組みに注目し、痛み・不穏・せん妄管理のさらなる進化の可能性について議論する。
集中治療領域では身体機能改善を目的に様々なリハビリテーション機器が用いられている。代表的なものに神経筋電気刺激療法や振動刺激療法、自転車エルゴメーター等がある。最近では、末梢磁気刺激もその効果が期待されている。本セッションでは、最近、よく目にするようになったリハビリテーション機器について、その効果と臨床における取り組みについて最前線からエキスパートのレシピを紹介し、今後の展望について議論する。
妊娠年齢の高年齢化や生殖補助医療が保険適用になるなど、妊産婦のリスクが高まる背景がある。妊産婦は産科危機的出血に限らず脳出血、大動脈解離、肺血栓塞栓症、敗血症などさまざまな疾患を発症し得る。集中治療室における妊産婦の管理について、多くの医療機関の経験・工夫を集約化し、これからの母体集中治療の質向上に向けて、取り組むべき事項について広く検討する。
集中治療認証看護師(ICRN,ICRN-K)制度がスタートして数年が経ち、全国各地で多くの看護師が新たな一歩を踏み出している。本ワークショップでは、「集まれ ICRNの森」というテーマのもと、さまざまな背景や経験を持つICRNが一堂に会し、制度にチャレンジしたきっかけや、認証取得後の自身の看護の変化、そして今感じていることを自由に語り合う場つくる。
年々発展している日本集中治療医学会の公式データベースであるJIPADの最新の話題とJIPADを使った研究のコツや研究を披露する。
集中治療科が機構専門医のサブスペシャルティ領域として登録されたことを受け、新しい専門医制度における「集中治療専門医への道」や「基本領域の選択の考え方」について、若手医師や学生の皆さんに広く知っていただく機会としたいと考えています。
本セッションでは、制度設計に関わったベテラン集中治療医とともに、U35・U45世代から異なる基本領域(救急科・麻酔科・小児科・内科・外科など)を背景にもつ医師を指定演者としてお招きし、それぞれの視点から集中治療のキャリアや魅力について語っていただきます。加えて、公募演者として2名を募集します。
集中治療に至るまでのキャリアの歩みや、自身の専門性・強みをどのように集中治療に活かしているか、そして学生・研修医が“ワクワクする”ような、自分自身の熱量が伝わる話をお待ちしています。演者の発表時間は比較的短めに設定し、セッション後半は全体討論を中心に据える予定です。「皆で盛り上げたい」「聴衆と対話したい」という熱意ある方の応募を歓迎します。
重症患者の栄養療法では持続的な栄養投与が推奨されてきたが、最近になり間欠的な投与や、インターバルを設ける投与方法を実践する施設もあり、それぞれにメリットも報告されている。日本版重症患者の栄養療法ガイドライン2024では、成人に対しては持続的な投与を行うことを弱く推奨しており、経胃栄養投与時の誤嚥を予防する手段としても紹介している一方で、小児患者に対しては間欠的な投与を推奨している。本セッションでは、成人・小児領域からそれぞれ持続的栄養、間欠的栄養を支持する立場からご講演をいただき、活発なご討議を期待したい。
© 2025 The 53rd Annual Meeting of
the Japanese Society of Intensive Care Medicine