ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-865-FP-358 脳死状態から臓器移植に至った患者の家族看護の1 事例愛知医科大学病院 EICU佐野 美智子、阿保 勝枝、水谷 卓史、柳瀬 圭司【はじめに】脳死状態となり臓器移植に至った家族への看護介入は、家族が脳死を受容し移植をするまでの家族の精神的プロセスとして重要である。しかし、救急・集中治療領域において、短期間での事実の受け入れは、非常に困難で移植患者家族への看護介入の難しさを感じる。今回の事例を振り返り、経験年数が少ないスタッフが関わることが多かったこと、短い面会時間で積極的な関わりをもつスタッフが少ないという問題点が上がった。今回、それらの解決策と今後の展望を文献的な考察を加え報告する。【症例紹介】くも膜下出血の患者。当院到着時、JCS300、自発呼吸なし、脳幹反射消失し、事実上脳死に近い状態であった。臓器移植を希望するドナーカードあり。第1 病日より脳死に近い状態であることのインフォームドコンセントを行った。第2病日、家族から臓器移植を希望すると返答があり、移植への準備が開始された。第6病日、移植が行われた。その間の受け持ち看護師の経験年数は3~8 年目以下がほとんどであった。家族にいつでも脳死や移植の話が聞けることを伝え、面会時間の制限を解除し、患者のそばにいれるよう配慮した。【倫理的配慮】収集した情報は患者及び入院病棟、スタッフが特定されないように配慮した。【考察】新田(2007)は、「家族対応に関する自信」「臓器提供のケア経験」は年齢が高いほど、また臨床経験年数11年目以上が10年以下の看護師より家族対応ができるといっている。しかし、11年目以上のスタッフが少ない現状がある。まずは、移植をする患者家族の看護を理解し、移植を受け入れる家族との信頼関係を築いていけるスタッフの育成が急務と考えられたため、移植患者家族のニーズに関する勉強会を実施した。今後も、移植家族看護介入に関する勉強会を行いスタッフの育成を行っていく予定である。FP-359 HCU における家族の代理意志決定プロセスの一例筑波大学附属病院 HCU高坂 拓也、糸永 亜紀、中澤 陽子、小口 奈穂子、根本 享子、廣田 綾子、卯野木 健HCUにおける家族の代理意思決定プロセスの一例筑波大学附属病院看護部  高坂拓也、糸永亜紀、中澤陽子、小口奈穂子、根本享子、廣田綾子、卯野木健【はじめに】意思表示困難となった急性期患者の家族による治療方法の代理意志決定に至るプロセスを検討することを目的とした。【症例】60 代男性。甲状腺癌の気管傍リンパ節転移、浸潤性胸腺腫左胸腔内播種の既往があり今回S 状結腸穿孔で入院。術後全身状態回復遅延、人工呼吸器離脱困難、難治性胸水、肺炎で呼吸状態悪化を認めた。呼吸器離脱含め積極的治療方針であったが、状態悪化に伴い患者の意思疎通が困難となる中、家族の表情が硬くなっていった。患者・家族とも病状回復のための治療を望んでいたが全身状態悪化や苦痛増強により患者の意思決定が困難となる中、家族内で本人の苦痛緩和を望むよう変化した。看護師は家族へ寄り添い、情緒支援を強化した。家族より緩和ケアを望む意向があり、看護師は治療の情報提供を行い、家族の意向を踏まえチーム医療間の調整を図った。インフォームドコンセント(以下ICとする)への看護師の積極的参加や家族の思いに寄り添いながら家族の意思決定を後押しした。結果、家族・医療チームで方針を見直し、積極的治療は期限を決め、改善がなければ緩和ケアを中心とした治療導入という代理意志決定に至った。【結果】病状回復を目指す医師側の治療方針を受け入れつつも、緩和ケアを模索する家族に対し、情緒支援、環境調整、情報提供、ICへの同席や家族の心情変化の把握などを行い家族の代理意志決定を支援し最終的に家族の望む治療を導くことができた。【考察】吉田らは家族の代理意志決定を支える看護実践の特徴を「意志決定に参加している人々の調和を図る役割」と「家族の傍らで伴走する役割」があると述べている。本症例では、情緒支援や家族の心情把握、チーム医療内の調整役など総合実践し、家族の代理意志決定支援ができた。FP-360 ドクターカーにて早期介入し独歩自宅退院したVF の1 例日本医科大学付属病院 高度救命救急センター山名 英俊、吉野 雄大、萩原 純、石井 浩統、恩田 秀賢、横堀 將司、増野 智彦、宮内 雅人、布施 明、横田 裕行【症例】68歳男性【現病歴】妻の前で突然卒倒し、いびき様呼吸をしているという通報内容で、救急要請となった。【経過】東京消防庁より要請を受け、当院よりドクターカーが出動した(医師3名、運転手兼任の救命救急士1名)。現場へは救急隊より先着し、ポンプ隊とほぼ同着であった。接触時、CPAであり、ただちに胸骨圧迫を開始した。AED からはショックが必要とのアナウンスがあり、ショックを施行した(後日、AEDの解析を行うと初期波形はVF であった)。現場でショック2 回、静脈路確保ならびに薬剤投与(アドレナリン投与2 回)、気管挿管を施行し、接触より11 分で心拍再開にいたった(消防覚知からは22 分)。その後、当センターへ救急搬送した。第8病日まで脳低体温療法を施行し、第12病日に抜管した。第20 病日にVF の精査目的で循環器内科転科となり、第37 病日にICD植込み術を施行した。第43病日に独歩にて自宅退院となった。【考察】ドクターカーの意義は、本来は病院前から医療介入し患者の初期治療の開始を早めることにあるが、搬送時間の短い都内においてドクターカーの活躍の場は、郊外に比べ多くはない。しかも今回、現場で施行した処置は全て、救命救急士の特定行為の範囲内の処置であった。しかし、消防からの覚知段階でのドクターカーの要請により、救急隊よりもドクターカーが現場に先着することで、早期より初期治療が開始できた。また、現場出場医師から病院へ直接情報共有することで、病着後の患者の処置の流れをスムーズにすることができ、予後も改善できたと考えられる。ドクターカー事業は、搬送時間の短い都内においても、早期医療介入および医療機関への情報提供による円滑な治療を可能とすることにより、患者の予後改善に寄与し、有効であると考えられる。