ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-859-FP-340 A 病院救命救急センターにおけるせん妄評価不能要因の検討杏林大学医学部付属病院 高度救命救急センター上條 裕子、佐藤 亜紀、高橋 聡子、柳 努【背景・目的】米国および本邦の PAD guidelinesでは、CAM-ICU/ICDSCがICU患者に最も妥当性と信頼性のあるせん妄モニタリングツールであるとされている。CAM-ICUではRASSが-3 点(以降RASS-3)以上を評価対象としているが、RASS-3 の患者では評価が困難であるといった報告もあり、RASS-2 であったとしても指示動作が困難、評価中に入眠するなど、せん妄評価不能となるケースにしばしば遭遇する。そのようなケースではせん妄を発症していたとしても早期発見ができず、せん妄が遷延化する危険性がある。そこで、評価不能の要因を調査することで、せん妄スクリーニング困難が予想される患者の選別や、適切な鎮静コントロール法の選択など看護上の改善につなげられると考え、せん妄評価不能患者の要因を検討することとした。【方法】平成26年12月から6 か月間、A病院救命救急センターICUに入室した18歳以上の鎮静剤投与患者62 例を対象に診療録より後方視的調査を実施した。年齢、性別、精神疾患既往の有無、搬送時GCS、重症度(APACHE2)、疾患領域、麻薬使用の有無、鎮静薬の種類、鎮静深度(RASS)の各因子とCAM-ICU評価可能・不可能を検討した。【結果】CAM-ICU評価不能例では搬送時GCSスコアが有意に低く、APACHE2 スコアは有意に高かった。またRASS においてCAM-ICU 評価不能例はRASS-1~0 で9%、RASS-2 では45%、RASS-3 では75%であった。多変量解析で関連が示唆されたのはRASSのみであった。鎮静剤の種類では、デクスメデトミジンを使用した症例では使用しなかった例と比較して評価不能の割合が低かった。【考察】せん妄評価不能の要因には患者の重症度と鎮静深度が関係していると示唆された。CAM-ICUを評価するうえで適正な鎮静深度はRASS-1~0と考えられる。医師と鎮静薬の種類や鎮静深度について検討し、可能な範囲でRASS-1~0で管理し、せん妄の評価や予防ケアが実施できるような看護を進めていく必要がある。FP-341 集中治療室における入室前訪問を導入してのせん妄予防の評価沖縄赤十字病院 ICU砂川 卓真 布宮氏は「ICUせん妄に関して、早期発見・早期治療の有効性を示すデータはない。また、治療に関しても高いエビデンスを持った薬物療法はない」、「現在できる対策(せん妄の発見、非薬物療法的マネジメント、直接原因としての薬物の再評価など)を行うことが現段階では大切である。」と述べている。当院ICU・HCU では前年度にせん妄評価のツールとしてICDSCを導入した。それにより、せん妄の評価を統一でき、せん妄発見に繋げることができた。今回、非薬物療法的マネジメントとして入室前訪問を導入した。入室前訪問することで術前の患者の性格や不安に感じていることを把握することができる。また、患者・家族も術後の状態をイメージでき、不安軽減をはかることができる。結果、せん妄予防につなげることができるのではないかと考えた。入室前訪問が非薬物療法的マネジメントとして効果的であったか、入室前訪問を導入する前後のせん妄発症率を比較・考察し、今後の課題を検討した。FP-342 せん妄発症要因の検討広島市立病院機構 広島市立安佐市民病院宗像 誠、鈴木 美香、越道 香織、秦 由美子【目的】ICDSC を導入し、せん妄に関する要因を明らかにする。【対象】2014 年4月~2015年3 月までにA 病院ICUに入室し、ICDSC評価が行われた患者(脳神経外科、脳神経内科、精神疾患患者、高度意識障害患者、15歳以下の小児を除く)83名。【方法】年齢・性別などの基本属性4 項目、ICU 入室24 時間以内の検査データ、APACHE2 スコアなど21 項目を患者カルテより後ろ向きに調査した。得られたデータをせん妄発症群と非せん妄発症群に分類し、マンホイットニー検定・クロス集計およびカイ二乗検定で比較検討した。【倫理的配慮】当院の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】対象患者83名(男49名、女34名 平均76.01歳)のうち、せん妄発症群22名(男14名、女8名 平均75.18歳)。緊急入院の有無、APACHE2スコア、アルブミン値で有意差を認めた(p<0.05)。【考察】重症度が高いことは身体にかかる侵襲が高く、異化亢進による低アルブミンの可能性がある。入院時より早期に栄養状態のアセスメントおよび介入が必要と考えられる。また、今回の研究では、せん妄発症患者に対する具体的な看護ケア内容は不明であり、今後せん妄予防策の一つとして看護ケア内容を検討していく必要がある。