ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-853-FP-322 ICU における早期離床の障害一宮市立市民病院杉浦 剛志、志水 清和、谷口 俊雄近年、集中治療室での重症患者対する早期リハビリ介入にて早期離床を目指すことの重要性が明らかとなってきており、集中治療室専属理学療法士の必要性も指摘されている。そうしたなかで集中治療室での心臓リハビリ介入を積極的におこない、鎮静下患者においても他動運動刺激など可能な限りの介入をめざしているが、さまざまな障害があり、いまだ不十分な状況がつづいているのが現状である。当院における集中治療室での早期運動療法の介入の障害について、心臓リハビリチームとして検討してみた。治療に関わる各部署へのアンケート調査を実施し問題点の検証を行ったところ、問題点として各職種間のコミュニケーションの不足、人的要因の不足などの他に保険的制限の問題などが具体的にあがってきており、病院内のみの問題だけではないことがわかった。FP-323 緩和ケアチームの介入が必要とされた臓器移植後の2 症例東京大学 医学部附属病院 緩和ケア診療部穂積 淳、金井 良晃、稲田 修士、海津 未希子、三浦 恵美子、城山 亮輔、坂田 尚子、住谷 昌彦【はじめに】臓器移植症例は徐々に増えつつあり、移植後に出現する様々な症状の緩和が求められることがある。我々、緩和ケアチームが臓器移植後のICU入室時に症状緩和を図った2症例を報告する。【症例1】45才男性。8年前に特発性拡張型心筋症と診断され、5 年前にCRT-D植込み術を施行されたが症状改善なく、心不全症状を繰り返していた。LVAD 装着され心臓移植待機となり、4 年経過後に 心臓移植術、上行大動脈人工血管置換術が施行された。心臓移植後のICU 入室中、左前腕尺側の疼痛・しびれ、軽度の握力の低下に対して、 緩和ケアチームに依頼された。左第4,5 指を中心に前腕尺側に中等度の痛みとしびれ、知覚低下を認め、左上肢のMMTは4であった。心機能に影響を与える薬剤の使用は懸念され、弱オピオイド製剤のトラマドールの使用を開始後100mgまで漸増し、疼痛軽減を認めた。【症例2】34才女性。13年前に先天性胆道閉鎖症術後肝不全に対して生体肝移植術を施行され、定期フォローアップを受けていた2年前から肝性脳症のため入退院を繰り返していた。肝性脳症の治療を目的としたICU入室中に夜間不穏となったため緩和ケアチームに依頼された。見当識障害は顕著でせん妄 も考えられたが日内変動が少ないため肝性脳症による睡眠障害と判断しフルニトラゼパムを開始したが中途覚醒することが多く、夜間のプロポフォール持続投与により睡眠とその維持ができ睡眠と覚醒を管理できるようになった。介入開始7日目以降は肝性脳症の改善とともにプロポフォールを使用しなくても自然入眠出来るようになった。【考察】今回臓器移植患者でICU入室中に苦痛症状が出現し、緩和医療が必要とされた症例を経験した。臓器移植患者は、重症度が高くしばしばICU管理が必要になり生命の危険性も高い。様々な症状緩和に緩和ケアチームが介入できる体制の整備が必要である。FP-324 当院ICUにおける早期リハビリテーションの実施状況と効果名古屋市立大学病院 看護部 ICUPICUCCU熊岡 琴音、岩田 麻衣子、丸谷 幸子、石井 房世、伊藤 加代子【目的】昨年作成したリハビリテーションプログラム(以下リハビリプログラム)を用いて入室早期から段階的にリハビリを開始し、その実施状況と効果を前向きに検討する。【方法】2014 年8 月~11 月にICU へ入室し気管内挿管・人工呼吸器装着後24 時間以上経過した20 歳以上の患者を対象にリハビリプログラムを実施した。リハビリプログラム導入前後でのリハビリ実施状況と効果について記述的に分析する。【結果】対象者24 名のうち、リハビリ実施群は14名、リハビリ未実施群は10 名であった。今年度のリハビリ実施群は、リハビリ開始までの日数が2.6 日(P=0.005)、ICU入室期間が7.8日(P=0.03)であり、昨年と比較して有意に短縮した。平均年齢、性別、気管挿管日数、せん妄発生率は有意差が見られなかった。実施群のうち5 名は、開始基準を満たさず、医師や理学療法士と検討しリハビリが進められていた。すべての事例において介入が必要な有害事象はなかった。開始基準未達成項目は、鎮静深度・FIO2、次いでPEEP・昇圧剤の増量が多かった。リハビリ中止理由は、血圧変動と、FIO2、PEEP の項目の開始基準が達成されない患者での呼吸苦・倦怠感の自覚症状が多かった。【考察】リハビリプログラムを用いた介入は、早期からのリハビリ実施や継続的な介入が可能となり、効果的であったと考える。しかし、対象人数が少ないため、引き続き効果を検討していく必要がある。リハビリ中止理由は、未達成項目と関連するものが多かった。効果的なリハビリを実施していくためには、リスク評価によりリハビリ時におこりうる問題を考え、呼吸器の設定を変更する、処置の時間を調整するなどの準備を整える必要がある。今後は、患者個々の状態に合わせた介入を検討していく。【結論】プログラムを用いたリハビリは、リハビリ開始までの日数の短縮・継続的な介入につながり一定の効果があった。