ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-840-FP-283 劇症肝炎が疑われた重症肺炎球菌性肺炎の1 例飯田市立病院 救急科市川 通太郎、武井 隼人、神頭 定彦【症例】77歳女性。身長137cm、体重46.6kg。【既往歴】うつ病【現病歴】近医で誤嚥性肺炎を入院治療中、某日深夜から酸素化不良となった。翌日の血液検査で肝逸脱酵素の著明な上昇(AST 8920IU/L、ALT 3279IU/L、LDH 13570IU/L)あり劇症肝炎が疑われ精査、治療目的に当院転院となった。【入院時現症】SpO2 94% (O2 3L/min投与下)、呼吸回数39 回/分、血圧 132/78mmHg、脈拍122 回/ 分 整、GCS E4V3M6、体温39.1 度。両肺野で湿性ラ音聴取。四肢の浮腫あり。明らかな黄疸なし。【経過】尿中肺炎球菌抗原陽性であることから、肺炎は肺炎球菌性肺炎と診断した。敗血症、AKI 、DIC を合併していた。肝臓超音波検査所見、CT 所見からは劇症肝炎を積極的に示唆する所見は無かった。心臓超音波検査では、左室はたこつぼ様の壁運動所見であった。ICU 入院で抗生剤、循環作動薬、利尿剤の使用開始。翌日より肝酵素はピークアウトした。経時的に全身状態、血液検査データ異常は改善し第5病日にICUを退室。第9病日の心エコーではたこつぼ様の壁運動障害は改善傾向にあった。第18病日に虚血性心疾患の鑑別目的に冠動脈CT を行ったが、優位狭窄無かった。第25病日、リハビリテーション転院となった。【考察・結語】劇症肝炎は集学的治療が可能な専門施設に至急転送が必要な疾患である。本例は著明な肝逸脱酵素の上昇を認め、PT40%以下、昏睡度2度以上の意識障害があったため劇症肝炎の診断基準に合致していた。しかし今回は重症肺炎球菌肺炎に伴うたこつぼ心筋症からの急性循環不全およびDIC の合併により肝障害が生じたと考えられた。劇症肝炎に類似した検査所見、症状を呈した重症肺炎球菌性肺炎を経験したので報告する。FP-284 施設間連携により救命した胃穿孔から敗血症性ショックに至った小児の一例1)国立病院機構横浜医療センター 救急科、2)横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター、3)横浜市立大学医学部 救急医学教室余湖 直紀1,3)、古谷 良輔1,3)、六車 崇2,3)、問田 千晶2,3)、篠原 真史2,3)、宮崎 弘志1)、岩下 眞之1,3)、望月 聡之1)、大塚 剛1,3)、森村 尚登1,3)【緒言】胃穿孔から敗血症性ショックに至った小児例につき報告する.【症例】4歳女児.便秘傾向のほか特記すべき既往はなし.[主訴]腹痛[現病歴]腹痛で受診,浣腸施行後に帰宅.翌日に腹痛が増強し再受診した.[初期診療経過]意識障害(GCSE4V1M1),呼吸不全(顔面蒼白,努力呼吸(36/min)),ショック(末梢冷感,Capillary Refilling Time 延長,HR 201/min)を認め,気管挿管と急速輸液を施行。PIM3 27.3% であった.腹部膨満が著明で,エコー上 多量の液体貯留を認め,茶褐色の腹水が穿刺吸引されたため緊急開腹術を施行した.開腹すると多量の腹水と漏出した食物残渣があり,胃穹窿部に約3 cmの穿孔が認められた.経過から敗血症性ショックと判断した.ショックの持続による大量輸液と,来院時から合併していた誤嚥性肺炎から,CHDF,ECMO 導入の可能性が示唆されたため,域内の小児救命救急の拠点施設へ転院とした.[転送後経過]初日は6100 ml/ 日の大量輸液に加え,ノルアドレナリン0.12 μg/kg/min・バソプレシン0.15 mU/kg/minを要した.CHDF(4日間)およびPMX(2日間)施行,循環安定と充分な利尿をもって離脱した.術後6日目に抜管し全身状態は安定したが,幽門部の狭窄が関連したイレウスの遷延を認めた.【考察】新生児以降で既往のない小児の胃穿孔は稀であるが,その死亡率は高い.救命には限られた時間内に緊急度を判断し適切な介入を施行する必要があった.介入は 穿孔部の閉鎖と洗浄・敗血症性ショックに対する集中治療 に大別される.本症例は,初期診療・迅速な手術・拠点施設への転送・集中治療の継続 が円滑に繋がり救命に至ったものと考えられる.重篤小児症例の診療における Hospital Network の重要性が示唆された本症例について,文献的考察を加え報告する.FP-285 大量喀血により急速な経過で死に至った、市中発症劇症型Bacillus cereus肺炎の一症例1)島根県立中央病院 救命救急科、2)島根県立中央病院 集中治療科上田 和典1)、石田 亮介1)、北野 忠志2)、佐藤 弘樹1)、石飛 奈津子1)、川上 潮1)、森 浩一1)、新納 教男1)、山森 祐治1)、松原 康博1)【症例】60歳代男性。既往歴はなく、発症まで自覚症状も全くなかった。突然の右側腹部痛、右肩痛、右手のしびれを自覚し前医へ救急搬送された。低酸素血症と喀血がありCTで右上葉を主として広範に肺胞出血を認めた。ドクターヘリを要請され、気管挿管の後、当院救命救急センターに搬送した。肺胞出血の原因は不明であり、血液検査は凝固機能、生化学検査、炎症反応含め異常は認められず、造影CTでも責任血管は指摘できなかった。さらに来院時の心電図でII、III、aVf誘導でのST上昇、壁運動異常を認め急性下壁梗塞を併発していた。肺胞出血に対する止血と、急性心筋梗塞に対する再灌流、抗凝固の相反する治療が必要な状態であった。心筋梗塞の治療を優先し、右冠状動脈#2-3に99%狭窄を認めたため冠動脈ステントを留置した。その後右上葉の気管支動脈カテーテル閉塞術を施行した。ICU入室後はステント閉塞よりも出血コントロールの方を重視し抗凝固は行わなかった。APRVでの人工呼吸を行ったが酸素化の維持は困難であった。気管チューブから噴出するほどの出血が持続しており循環が不安定で、ECMO導入は困難であると判断した。出血のコントロールがつかず来院後12時間で死亡された。病理解剖の結果Bacilluscereus肺炎による出血性びまん性肺胞障害と診断された。【考察】Bacillus cereusは常在菌であり、健常者の肺炎の起炎菌となることは極めて稀である。さらに、本症例では全身性炎症反応を引き起こす間もなく急激に局所の肺胞障害が進行し、突然の喀血で症状が発現した。経過が極めて速かったため当初は感染症であることや、出血源が右上葉に限局していると認識することも困難であった。また急性心筋梗塞を合併したことが治療を困難にする1 つの要因となった。