ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-821-FP-226 数学的呼吸モデルにおける酸素運搬量クリティカル曲線1)横須賀市立市民病院 麻酔科、2)済生会横浜市南部病院 麻酔科、3)神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科野瀬 浩文1)、北村 俊治1)、奥田 純1)、山口 展弘1)、前島 英恵2)、谷口 英喜3)【目的】動脈血酸素運搬量におけるヘモグロビン(Hb)と心拍出量(CO)の関係をグラフ化し改めて見直す。【方法】Grapher(Apple社)にてプロットし、動脈血酸素分圧と酸素消費量は、ヴァーチャル換気モデル1)から得た。【結果】図に示す通り。【考察】動脈血酸素運搬量が組織酸素消費量と等しいときのHbとCOの関係をグラフ化した。数学的には静脈血酸素飽和度は0%となる。表題では仮にクリティカル曲線としたが、この曲線下領域が直ちに蘇生無益性を示唆するものではない。酸素消費量が低下すれば曲線も下方移動するため。動物実験では、動脈血酸素運搬量の臨界値で、酸素消費量が低下し始め同時に乳酸値も上昇し始める2)。臨界値を酸素消費量の約2 倍としてグラフ化した。静脈血酸素飽和度はほぼ50%であった。次に、混合静脈血酸素飽和度を70% としてグラフ化した。このグラフより、例えば同一除脂肪体重で同一酸素消費量とした男女では、Hbの性差により、男性よりも女性の方がCO が大きい3)ことが示唆される。FP-227 血栓溶解療法後の胸骨圧迫で腹腔内出血を起こした肺血栓塞栓症順天堂大学 医学部附属 練馬病院 救急・集中治療科高見 浩樹、浅子 英、井上 照大、近藤 彰彦、三島 健太郎、水野 慶子、小松 孝行、関井 肇、野村 智久、杉田 学今回我々は院内発症のCPA症例でPTE と診断した症例に対し血栓溶解療法を行った後,胸骨圧迫が原因で腹腔内出血を起こしたと思われる症例を経験した.【症例】78歳女性【現病歴】パーキンソン病,糖尿病で当院通院中,ADLは良好.脱力を主訴に救急搬送された.発熱を認めたが感染は否定的であったため,身体所見や検査所見から熱中症を疑って入院となった.輸液のみで全身状態は改善し,徐々に安静度を上げていったが,第3病日にトイレ内で卒倒しており院内緊急コールされた.モニター上は心静止の心停止であり, CPRを開始したところ速やかにROSCは得られたが,その後もPEA を繰り返した.蘇生時の心臓超音波検査所見と血液ガス分析からPTEと診断した.循環動態が不安定だったため経皮的心肺補助(PCPS)を検討したが,一般病棟での急変であり速やかな導入ができなかったことからまず血栓溶解療法を施行した.一時的に循環動態が安定したため集中治療室へ移動したが,その後も再びPEAを繰り返した.腹部超音波検査では,腹腔内にecho free spaceの出現を認め,胸骨圧迫に伴う腹腔内出血の合併が疑われた.出血源検索のために施行した造影CTでは造影剤漏出像は認めなかった.その後再度PEAとなり,ご家族の意向もあり最終的に死亡確認とした.【考察】本邦で2009年に出されたPTEのガイドライン(JCS2009)では,循環虚脱のある場合はPCPSの適応となり,施設の状況に応じて血栓溶解療法などを考慮するとされる.「継続的な質の高い」胸骨圧迫が強調されるあまり,不適切な胸骨圧迫によって肋骨骨折や肝損傷などの合併症を生じることもある.重篤なPTE に血栓溶解療法を行う場合,出血性合併症の懸念があるため危険性と有益性を十分検討する必要がある.FP-228 Torsade de Pointesによる反復するVF に対して硫酸マグネシウムとtPMで治療した食道癌術後敗血症の1 症例東京医科大学 麻酔科学分野佐藤 聡子、今泉 均、関根 秀介、小山 杏奈、崔 英姫、荻原 幸彦、金子 恒樹、斎木 巌、内野 博之【はじめに】今回、食道癌術後敗血症経過中の低K血症下に、譫妄治療として投与されたハロペリドールによるQT延長症候群、TdP,反復性VF に対して,MgSO4とtPM 治療が有効であった一例を経験したので報告する。【症例】70 歳代男性。身長165cm,体重42kg。【既往歴】40 歳代後半に胃潰瘍で胃部分切除、3年前残胃胃癌に対して胃全摘。【現病歴】胸部食道癌に対する胸骨前食道再建術の術後経過良好でPOD 2病棟へ転棟。POD 12 敗血症性ショックに対してNAで循環安定。POD 15 低K血症(K 2.8mEq/L)からPVC出現、その後、多源性VTから一過性VF を認めた。K補正と硫酸マグネシウム(MgSO4)投与したが、8 時間後再びTdP からVF となり、DC施行後ICU 入室となった。【ICU 入室後経過】意識 清明、血圧 120 / 78 mmHg、心拍数 86~200/ 分、マスク酸素5 L/分下でSpO2 97 %。入室後も徐脈依存性にTdPからVF出現し数回DC 施行。本症例ではVF出現前夜に譫妄に対してハロペリドール(HPD)の使用が判明し、TdPの原因として低K血症とHPDによる薬剤性QT延長症候群が考えられた。K補正と共に多源性VT、VFを誘発する徐脈防止目的に一時的経静脈ペースメーカー(tPM)を挿入し120/分で開始。心拍数は第3 病日から100/ 分、5 病日から80/ 分、QT 延長の改善を認め6 病日ペーシング停止、7病日tPM 抜去、8病日病棟へ転棟。その後は不整脈の出現もなく、POD 50リハビリ継続目的で市中病院転院となった。【考察】本症例は、低K血症に加えHPD投与により薬剤性QT延長からTdP、Vf が出現した可能性が考えられた。薬剤性QT延長症候群では原因薬剤の代謝等の影響もあり、VFが反復、徐脈依存性にTdP からVF 出現する場合には、その期間、tPMで治療することは有用な治療法である。