ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-802-FP-169 下部消化管穿孔でヘリ搬送後、abdominal compartment syndromeを来した1 例1)東京都立多摩総合医療センター 救命救急センター、2)東京都立多摩総合医療センター 外科、3)昭和大学医学部 救急医学講座荒川 裕貴1)、清水 敬樹1)、鈴木 茂利雄1)、濱口 純1)、萩原 祥弘1)、森川 健太郎1)、落合 健太郎2)、今村 和広2)、三宅 康史3)【症例】伊豆諸島在住の80代男性。受診2日前から腹痛を生じ激痛となったため島の診療所を受診、下部消化管穿孔の診断となった。悪天候のためヘリが飛ばず、大量補液と昇圧剤使用するも血圧低下傾向にあり診療所で緊急開腹ドレナージ術施行、その後ヘリ搬送となり受診から12時間後に救命センター搬送となった。第1病日緊急手術施行、経過からACSのハイリスクと判断されopenabdominal management:OAMで管理の方針となった。第2病日ストマ色調不良あり再手術、腹腔内の洗浄と壊死腸管の切除を行い再度OAMで帰室。状態改善と判断され第5病日手術施行、component separation法に腹直筋前鞘反転を併用し閉腹した。第6 病日の帰室時から血圧低下、膀胱内圧上昇認めrecurrent ACS と判断し側腹部で減張のため皮膚切開をおき腹腔内圧の低下を得た。第12 病日創部発赤あり抜糸し筋膜露出の状態とした。第14病日から呼吸循環状態悪化、再挿管管理となるも安定せず昇圧剤使用量増加。第18病日膀胱内圧54mmHgでrecurrent ACS再発の診断となり第20病日永眠された。【考察】ACSは一度発症すると非常に致命率が高くいかにリスクを認識し発症を予防するかが重要である。本症例は下部消化管穿孔に大量補液もやむを得ない状況が重なり7 日間のOAM の後もrecurrent ACS となっており、減張切開で腹腔内圧の低下を得たあとも再びACS を発症している。減張切開後は循環動態安定していたものの最終的に腹腔内圧は著明に上昇しており、閉腹を得たあとも腹腔内圧の定期的な測定とそれに基づいた内科的管理が重要であると考えられる。本症例での適切な閉腹時期、閉腹方法、及び行い得た腹腔内圧を低下させる施策を後方視的に検討し、ACS ハイリスク患者におけるACS 発症を未然に防ぐための適切なモニタリングと管理方法について文献に基づき考察する。FP-170 大量腹水を認めたアルコール性肝硬変の一例1)京都大学医学部附属病院 初期診療・救急科、2)京都大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科播摩 裕1)、秦 浩一郎2)、佐藤 格夫1)、大鶴 繁1)、下戸 学1)、趙 晃済1)、岡島 英明2)、上本 伸二2)、小池 薫1)症例は47歳女性。腹部膨満を主訴に前医受診し、アルコール性肝硬変と診断された。大量腹水を認め、利尿剤投与や腹水ドレナージを行い、コントロールされていたが、徐々にコントロール不良となり、腎機能も悪化してきたため、生体肝移植目的に当院紹介受診となった。当院入院時には多量腹水(10L/day前後のドレナージ)、乏尿を認めていた。腹水濾過濃縮再静注法を施行するなど、脱水の補正を行いつつ、腹水ドレナージを行ったところ、尿量は徐々に増え、腎機能は改善してきたが、腹水貯留については改善しなかった。入院72 日目に生体肝移植術を施行し、術直後にはいったん腹水の減少を認めたが、再び増加し、術後1 週間には術前よりも多い腹水貯留(20L/day以上)を認めた。しかし、その後は移植肝が機能してくるとともに腹水も徐々に減少し、術後30日目でドレーンを抜去でき、術後56日目で退院となった。腹水貯留はしばしば経験する病態であり、原因にもよるが、コントロールできることも多い。しかし、肝性腹水は非可逆的な肝機能悪化を反映していることが多く、量が多く、難治性であることが多い。また、肝移植の対象となるのは他に治療法のない末期の肝疾患、代謝性肝疾患であり、難治性腹水を伴うことも多い。今回、我々は腎機能障害を伴ったコントロール不良の大量腹水を認め、術前術後の体液管理に難渋したが、肝移植後は改善を認めた末期のアルコール性肝硬変の症例を経験した。当院での肝移植患者における体液管理に関して考察も加えて報告する。FP-171 診断に難渋した結核性腹膜炎の症例1)京都大学医学部附属病院、2)丸太町病院趙 晃済1)、南 丈也2)、大鶴 繁1)、西山 慶1)、佐藤 格夫1)、森 智治1)、齋藤 龍史1)、小池 薫1)【症例】86歳女性【主訴】約1 か月続く発熱、腹痛、食欲低下にて救急搬送される。画像上腹水貯留を認め、当初はSBP や肝疾患、malignancy を念頭に精査するもこれらは否定的であり、腹水中ADA46IU/L であったことから結核性腹膜炎も鑑別に挙げ精査を進めた。一方であきらかな肺結核の既往はなく、画像上活動性あるいは陳旧性の結核性肺病変は認めず、組織学的診断も全身状態から困難な状況であり、診断的治療として抗結核薬を開始、徐々に全身状態の改善を得た。腹水、喀痰、胃液の抗酸菌培養、PCRはすべて陰性であった。【考察】結核性腹膜炎は比較的稀な疾患であり、診断も困難であることが多いが、本症例では腹水ADAが診断の契機となった。原因不明の腹水貯留は救急集中治療領域でファーストタッチすることが多く、結核性腹膜炎も念頭におくことが必要である。