ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-769-FP-070 名古屋大学病院救急・内科系集中治療室における3 年間のsevere ARDSの解析名古屋大学大学院 医学系研究科 救急・集中治療医学分野東 倫子、日下 琢雅、海野 仁、眞喜志 剛、山本 尚範、江嶋 正志、田村 有人、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】救急・内科系集中治療室でのsevere ARDSの管理内容を後向きに検討した。【方法と結果】2011年5月1日から2014年3 月31日までの3 年間で,3日以上の集中治療管理とした512 例の患者群において,ARDSのベルリン定義に準じた分類で,severe ARDS は52 例だった。Severe ARDS 全体の平均年齢は57.2 ± 24.1 歳,入室時APACHEII スコアの平均は30.8 ± 6.6,予測死亡率は69.4±17.3%,28日死亡は13例(25.0%)だった。Severe ARDSの主な疾患内訳は,敗血症が24例(46.2%),肺線維症が12 例(23.1%),腫瘍が4 例(7.7%)だった。そのうち28 日死亡例では,肺線維症が8 例(61.5%),腫瘍が2 例,敗血症が1例で,肺線維症が原因疾患の大多数を占めていた。Severe ARDSの治療では,肺線維症合併例における高容量ステロイドは生命予後との関連が認められず,少量持続ステロイド,ATIII製剤,リコンビナントトロンボモジュリン,血液浄化で生命予後が改善する傾向を認めた。【結語】severe ARDSの原因で肺線維化の増悪が生命予後に関与している可能性がある。この治療成績を高めるために,当講座は2014 年に肺線維化管理バンドルを策定し,肺線維症の管理に応用している。本結果を基にして,肺線維化管理バンドルは,2015年4 月に肺線維化管理バンドル2015として改定された。FP-071 斜角筋ブロックによる横隔神経麻痺とデスフルランを用いた全身麻酔で術後に再膨張性肺水腫をきたした一例1)昭和大学 藤が丘病院 麻酔科、2)昭和大学 藤が丘病院 呼吸器内科、3)昭和大学 横浜市北部病院 麻酔科篠田 威人1)、小幡 輝之1)、樋口 慧1)、奥 和典1)、桑迫 勇登1)、高安 弘美2)、釋尾 知春3)、小坂 誠3)症例は74歳男性、164cm、65kg。既往歴や合併症なく、術前検査も異常はなかった。全身麻酔及び右腕神経叢ブロック併用で右肩腱板断裂に対して修復術が予定された。手術室入室後に0.25%レボブピバカイン15ml でエコーガイド下にて右腕神経叢ブロック(斜角筋間アプローチ)を施行した。その後デスフルランを用いた全身麻酔を施行し、術中のバイタルサインに異常はなかった。抜管後に右斜角筋ブロックに起因する右横隔神経麻痺、上気道閉塞及び著名な呼吸不全(酸素6L/分でpH 7.266,PaCO2 55.6,PaO246.0,HCO3- 24.7,BE -3.2,SpO2 60%台)をきたしたため、手術室で再挿管してICUへ搬送となった。搬送後は1% プロポフォールとデクスメデトミジンで鎮静し、PC-BIPAP(吸気圧15cmH2O,PEEP 8cmH2O,FIO2 0.6)にてpH 7.306,PaCO2 50.7,PaO2 306.8,HCO3-24.7,BE -2.2であった。人工呼吸開始1 時間後にピンク色の泡沫状喀痰を認めたため緊急でCT検査を行ったところ、両側浸潤陰影を認めた。経胸壁心エコー検査では心不全は認められなかった。人工呼吸管理を継続したところ血液ガス及び胸部レントゲン写真上、徐々に肺水腫の改善を認めた。ピンク色の泡沫状喀痰も徐々に減少した。血液ガスは20 時間後にPS 10cmH2O,PEEP5cmH2O,FIO2 0.4 でpH 7.439,PaCO2 38.4,PaO2 180.2,HCO3- 25.4,BE 1.4、39 時間後にはPS 5cmH2O,PEEP 5cmH2O,FIO2 0.4 でpH7.406,PaCO2 40.6,PaO2 176.2,HCO3- 25.0,BE 0.3、41 時間後には酸素5L/ 分投与下でpH 7.396,PaCO2 40.3,PaO2 143.1,HCO3- 24.2,BE-0.6 であった。42時間後に抜管し、酸素5L/ 分投与下で血液ガスはpH 7.403,PaCO2 39.4,PaO2 157.6,HCO3- 24.0,BE -0.6 であった。抜管後は呼吸器症状なく胸部レントゲン写真上も肺水腫の悪化は認められなかった。66時間後にはICU から一般病棟に転棟となった。FP-072 人工呼吸管理後に新規のテロメラーゼ遺伝子多型を同定できた家族性肺繊維症の妊婦の1 症例東北大学 大学院医学系研究科 麻酔科学周術期医学分野杉野 繁一、金谷 明浩、山内 正憲【はじめに】家族性肺繊維症(FPF)は,家族発生が明らかな特発性肺線維症(IPF)の1 つの亜型である.FPF は遺伝性疾患と考えられるため,これまでFPF の原因と考えられる候補遺伝子,あるいは遺伝子多型が過去に報告されている.今回,われわれはFPF の増悪によりICU で人工呼吸を行った妊婦の周産期管理を通じて,エキソーム解析を用いて,新規の遺伝子多型を同定したので報告する.【症例】29歳,女性.妊娠32週.重度の呼吸困難で救急外来を受診した.BiPAPを用いて管理を試みたが,48時間後にPaO2 が33mmHgまで低下したため,人工呼吸の導入と緊急帝王切開が予定された.児娩出後もSpO2は90%であったため,ICU で人工呼吸を継続した.術後2 日目に気管チューブを抜去し,その後,一般病棟へ移ることができた.【エキソーム解析】倫理委員会による承認後,患者全血からゲノムDNAを抽出し,エキソーム解析を行った.イルミナ社の次世代シークエンサHiSeq2000により全エキソンの遺伝子配列解析を行った.シーケンシング反応はペアエンドで行い,100塩基のリードを97,765,318個獲得した.これらのうち79.4%がヒト参照ゲノムにマップされ,68,940個の一塩基多型(SNPs)が明らかになった.次にわれわれはdbNSFP データベースを用いて,同定した変異によるタンパク機能変化の予測を行った.そのうちテロメラーゼをコードするTERT 遺伝子のSNPs(rs34094720, C> T, His412Tyr, マイナーアリル頻度0.0004)が高い有害性を持つことが判った.【結論】われわれはFPFの増悪のため,ICUで人工呼吸を行った妊婦のゲノムDNAから,TERT遺伝子領域で,非同義で有害性の高い.希少な遺伝子多型(rs34094720)を同定した.孤発性のIPFでも25%の症例でテロメア長の短縮が観察されるので,このテロメラーゼ遺伝子における新規な多型は,ICU入室の原因となるFPFやIPFのような肺線維症の診断に有用かもしれない.