ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-372-LS25兵庫医科大学 歯科口腔外科学講座岸本 裕充 人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia; VAP)の発症には,口腔や咽頭部の菌の存在,気管チューブを含めた呼吸回路の汚染など,多く要因が関わることが知られている.したがって,バンドル(bundle =「束」の意味)アプローチとよばれる,VAPの発症要因に対する複数の介入を組み合わせた対応が重要とされる.その介入の内容として,ベッドの頭部(head ofbed; HOB)挙上や,鎮静の休止,手洗い,などが知られており,米国IHI(Institute for Healthcare Improvement)のように「口腔ケア」を含むバンドルもある. 「口腔ケアをしているのにVAPが減少しない」という臨床現場での悩みの声は珍しくなく,海外の研究報告で「歯みがきによるVAP減少効果」を否定するものもある.たしかに,VAP減少という「結果」はそうであったかもしれないが,その原因を2 つの面から分析するべきある. 1つは,バンドルの概念から,口腔ケア以外のHOB挙上や手洗いなど,他のケアが適切であるかを,各介入のコンプライアンスも含めて確認すべきである.日常(=研究では対照群)のVAP発症率が高い場合には,たとえ口腔ケアによる介入が適切であっても,その効果が表れにくい可能性がある. もう1つは,口腔ケアの手技・回数などに問題がないかを確認しなければならない.歯垢はバイオフィルムであり,その破壊は口腔の総菌量や病原性を低くするために重要であることは自明であるが,歯垢中の菌が口腔ケアによって飛散して咽頭に落下することは盲点となりやすい.咽頭の菌量が増えれば,気管チューブに沿った菌の気管への垂れ込み,という面では,むしろ危険な状況になっている場合がある. 米国のICUで広く普及している口腔ケアキットQ・Careは,米国CDCのガイドラインで推奨されている「包括的口腔衛生プログラム」を実践できる製品である.このQ・Careによる簡単な口腔ケアでVAPの予防に成功して施設もある.本講演では,Q・Careの使用法とともに,口腔ケアの鍵である吸引による「汚染物の回収」と「保湿」の2 つについて解説する.ランチョンセミナー 25 2月14日(日) 12:20~13:20 第2会場VAPを予防するための口腔ケア・オーラルマネジメント~Q・careを使いこなす~LS26東京大学医学部附属病院救急部・集中治療部土井 研人 ICUにおける急性腎障害(acute kidney injury: AKI)は、敗血症・多臓器不全に合併して発症することが大部分であり、血液浄化療法として持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy: CRRT)が選択されることが多い。しかし、CRRT の開始・終了基準、モダリティー・浄化量・フィルター・抗凝固薬などの治療条件については一定の見解は得られておらず、ガイドラインにおいても高い推奨が示される項目は少ない。一方、我が国においては、CRRTは限られた施設においてのみ施行可能な特殊な治療ではなく、数多くのCRRT が広く行われている現状がある。確固たるエビデンスに乏しいものの、現実的にCRRT を用いた治療を行う場合、どのような根拠・理由付けをもって診療を行えばよいのであろうか?最近、日本からトップジャーナルにCRRTに関する臨床研究が多く発表されるようになった。これらをレビュウするとともに、我々が行ったアンケート調査の結果を示すことで、AKIに対するCRRTに新たな展開が期待できるかどうかを議論したい。ランチョンセミナー 26 2月14日(日) 12:20~13:20 第5会場AKIに対するCRRTに新たな展開はあるのか?