ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-267-SY22-3 Recombinant human soluble thrombomodulin in severe sepsis: a systematic review and meta-analysis1)大阪府立急性期・総合医療センター 高度救命救急センター、2)大阪大学医学部 生体統御医学 救急医学講座山川 一馬1,2)演者は、Systematic review(SR)をはじめる前は、医療統計の専門的知識は全くなかった。そのような演者が如何にしてSR論文を執筆するに至ったか、度重なる困難をどう乗り越えたかについて1 例のケースレポートとして発表する。1)SR論文の概略遺伝子組み換えトロンボモジュリン製剤(rTM)は、近年、敗血症性DIC 症例に対して評価されつつあるが、質の高いRCTも限られており、これまでSR・メタアナリシスは行われてこなかった。我々は、RCT(3研究/838例)および観察研究(9研究/571例)に対して、それぞれメタアナリシスを行い、その有用性について検討した。その結果、rTM投与は、統合リスク比0.81(95%信頼区間:0.62-1.06)で、有意ではないものの死亡率改善に寄与する可能性が明らかとなった。有害事象としての出血性合併症は増加しなかった。2)SRを始めるきっかけ3)まずどこから手をつけたらいいのか4)解析は難しいようで意外と簡単、でもやっぱり難しい5)初回投稿雑誌はreject、再投稿まで1 年を要した6)査読プロセスと採択後の注意点7)SR論文の格を上げるコツ大規模臨床研究と違い、SRを行うに際して必要な予算はほとんどない。研究そのものに掛かる時間(症例集積期間など)は、数年はかかることが多い臨床研究と異なり、さほど必要ではない。基礎研究と異なり余った時間で少しずつ自分のペースで進めることができる。実臨床で多忙を極める一般救急集中治療医にとって、多くの点で最適な臨床研究スタイルのひとつであると考えられる。演者は、本SR 論文が採択されて以降、一年間で3本のSR 論文を作成した(1本は投稿中)。多くの研究がそうであるように、いかに『生みの苦しみ』を乗り越えるかが一番のポイントになると考える。本発表が聴衆のみなさまがSR を始めるきっかけになれば演者にとって一番の幸せである。SY22-4 Timing of tracheostomy in ICU patients: a systematic review of randomized controlled trials京都府立医科大学 麻酔科学細川 康二【背景】人工呼吸器を長期に必要とする患者に適応される気管切開を、ICU患者に早期に導入する戦略が臨床転帰を改善するかどうか議論が続いている。早期の定義が異なる複数の研究をまとめたメタ解析の結果は一定していない。【方法】PubMedとCENTRALを検索し得られた候補から、早期気管切開と後期とで死亡率等を比較したランダム化比較試験を選択した。選んだ研究を、予め定めた3 研究群(4 日以内の早期と10日より後の後期を比較した研究、4 日以内と5 日より後、10 日以内と10 日より後)に分類し、それぞれでメタ解析した。【結果】12の研究を解析の対象とした。4日以内に施行する超早期気管切開群は、10日以降に行う群に比して著しく気管切開率を上げる(95%:52%)一方で、死亡率は同等であった(OR 0.79[0.45,1.38], p=0.41)。10 日以内の早期気管切開群では、10日以降と比べて気管切開率の差は小さく(76%:51%)、人工呼吸フリー生存日数が多く(OR 2.10[0.44,3.76], p=0.01)、死亡率が低い傾向にある(OR 0.78[0.59,1.03], p=0.08)。【考察】4 日以内の早期に行う気管切開と10 日以内と区別して解析することで、早期の気管切開戦略の中でも、10日以内の気管切開に有用性が示唆された。