ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-262-SY20-3 救命救急センターにおける早期離床に向けた取り組みと今後の課題杏林大学医学部付属病院 高度救命救急センター海田 賢彦、加藤 聡一郎、庄司 高裕、宮内 洋、樽井 武彦、山田 賢治、山口 芳裕【背景と目的】近年ICU退室後の身体機能障害、神経精神障害が問題視され、重症患者における早期離床の有用性が注目されている。早期離床を推進するにあたり前提をなすのは充分な鎮痛と浅い鎮静管理である。当救命救急センターにおいても、2010年にRASS、2012年にBPS を導入し、充分な鎮痛と浅い鎮静を目標に管理を行っている。本研究は、RASS 及びBPS の導入前後で臨床データを比較し、早期離床に向けた取り組みの効果を検証し、現状の課題を抽出することを目的とした。【方法】2008-9 年(前期)と2013-4年(後期)に、当センターに搬送され、気管挿管及び鎮静鎮痛管理を必要とした症例(急性期死亡例等除く)を対象とし、鎮静・鎮痛剤の種類、使用量、気管挿管期間、ICU滞在期間、事故抜管等の合併症の発生率を後方視的に検討した。【結果】症例数は前期306例、後期298例で、患者背景に有意な差異は認めなかった。気管挿管期間は前期4.5±4.6日、後期3.7±3.5日、ICU滞在期間は前期11.6±13.3日、後期8.5±10.3 日であり、ともに有意に短縮していた(p<0.05, p<0.01)またこの傾向は内因性疾患において特に顕著であった。【考察】当センターにおいては、RASS 及びBPS 導入により、気管挿管期間、ICU滞在期間が有意に短縮し、早期離床が進んでいることが明らかになった。しかしながら重症敗血症、重症外傷、重症熱傷等、呼吸・循環動態が不安定な患者も多く存在するため、早期離床を開始する明確な基準が必要であると思われた。また、リハビリとの連携、スタッフ人員の確保の重要性は明らかであるが、課題も存在した。現状と課題を報告し広く議論を進める。SY20-4 当院ER-ICU における人工呼吸器管理患者に対する早期リハビリテーションの効果1)岸和田徳洲会病院 リハビリテーション科、2)岸和田徳洲会病院 救命救急センター永井 佑典1)、篠崎 正博2)【はじめに】人工呼吸器管理患者に対する早期リハビリテーション(以下,早期リハ)については様々な効果が報告されているが,本邦においてはまだまだ多くの施設で標準的な介入に至っていない.当院では理学療法士(以下PT)が介入し,可能な限り早期からの離床や体位管理等を行っているが,その開始時期に関しては医師からの指示により決定されており,全症例に対して早期リハが行えていないのが現状である.【目的】当院救命救急センターICU(以下ER-ICU)における人工呼吸器管理患者に対する早期リハが,人工呼吸器離脱,退院時のADL に与える影響を調査すること.【方法】対象は2014 年4 月~2015 年3 月に当院ER-ICUにて48 時間以上人工呼吸器管理を必要とした症例95 名のうち,死亡症例を除く47 名.挿管から3 日以内にPT 介入した症例を早期リハ群,挿管から4日以降にPT 介入した症例を介入遅延群とし,2 群間での入院期間,人工呼吸器装着期間,転帰,退院時Barthel Index(以下BI)を調査し検討した.【結果】PT開始までの日数と人工呼吸器装着期間の間に弱い正の相関がみられた(p<0.05,r=0.23).また早期リハ群(n=21)は介入遅延群(n=26)と比較し,退院時BIが有意に高く(53.6 vs 14.6,p<0.01),自宅退院率も高かった(48% vs 12%,p<0.01).入院期間に差はみられなかった.【まとめ】当院においても,早期からのPT 介入が人工呼吸器装着期間を短縮させることが示唆された.また,退院時のADL を改善させ,自宅退院率を向上させることが明らかとなった.このような効果を提示することで,医師への早期PT 介入指示の啓蒙を行い,早期リハが標準的介入となるよう進めていきたい.自施設における効果を提示することが早期リハを推進する一助となると考える.