ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-248-SY15-5 低体温療法は、来院時rSO2 値が41%~60%の中程度低酸素脳症の患者に有効である1)国立病院機構 京都医療センター 救命救急センター、2)川崎幸病院、3)大阪市立総合医療センター、4)慶應大学、5)済生会横浜東部病院、6)東北大学、7)武蔵野赤十字病院、8)日本大学、9)京都大学西山 慶1)、伊藤 賀敏2)、辻村 有香9)、有元 秀樹3)、林田 敬4)、折田 智彦5)、別府 賢1)、遠藤 智之6)、安田 英人7)、長尾 健8)【背景】近年、心肺停止患者への低体温療法の効果に否定的なエビデンスが示され、その適応について再検討を行う必要性が指摘されている。【方法】J-POP registryより抽出した心原性院外心肺停止患者1195名のうち、生存入院に至った315名を解析した。【結果】低体温療法実施群(n=152)、非実施群(n=163)において、中程度低酸素脳症(来院時rSO2値41%~60%)においてのみ両群間における90 日後CPC1/2の確率に差を認めた(図)。患者を高度(来院時rSO2 値~40%)、中程度(来院時rSO2 値41%~60%)、軽度(来院時rSO2値61%~)低酸素脳症の3群に分けて解析したところ、低体温療法実施による予後改善率(Absolute RiskDifference)は、それぞれ8%(95%CI:1% - 16%)、64%(35% - 81%)、-8%(-33% - 28%)であった。【結論】低体温療法は、来院時rSO2値が41%~60%の中程度低酸素脳症の患者に極めて有効であることが示唆されたSY15-6 蘇生に成功した心肺停止患者における脳血流酸素飽和度(SnO2)測定の有用性1)聖マリアンナ医科大学 救急医学、2)東京ベイ・浦安/市川医療センター川口 剛史1)、森澤 健一郎1)、津久田 純平1)、高松 由佳1)、柳井 真知1)、井上 哲也1)、下澤 信彦1)、和田 崇文1)、藤谷 茂樹2)、平 泰彦1)【背景】近赤外線分光法により測定される脳の組織酸素飽和度(StO2)は、心肺停止患者の予後評価に有用とされている。われわれは、脳組織全体の酸素飽和度であるStO2 のみならず、脳に供給される動脈血流自体の酸素飽和度(SnO2;特許番号5382666 号)にも着目している。【方法】2013 年9月から2015年8月に心肺停止のため当院の救命救急センターへ搬送され、自己心拍が再開(return of spontaneous circulation :ROSC)した症例を対象とした。NIRO-pulse(浜松ホトニクス)を用いた、近赤外線光法によるSnO2 の測定が行われた54例について、経過から外来死亡群(19例)、入院後死亡群(15 例)、生存群(20例)の3群に分けて後ろ向きに検討した。【結果】ROSC後に測定された各群のSnO2(平均値±標準偏差;%)は、外来死亡群(38±14)、入院後死亡群(68±18)、生存退院群(80±10)であり、SnO2が高値であるほど予後は良好であった。3群間でそれぞれ有意差をみとめた(p< 0.01)。同時に測定したStO2(平均値±標準偏差;%)も予後を反映し、外来死亡群(34 ± 15)、入院後死亡群(59 ± 14)、生存群(70 ± 8)であった。【考察】SnO2は脳組織内のヘモグロビン変動から脈動成分を分離した値であり、脳に供給される動脈血流自体の酸素飽和度である。生存群ではROSC 後のSnO2 とStO2 は、いずれも有意に高値であり、十分な酸素供給の結果、脳組織の酸素飽和度を維持できたと考えられる。心肺蘇生中のみならず、ROSC 後においても脳組織への十分な酸素供給は必須であり、SnO2 を用いた脳血流モニタリングの有用性が期待できる。