ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-241-SY13-1 胸水量がHigh-flow nasal cannula療法・非侵襲的陽圧換気の失敗に与える影響1)山口大学医学部附属病院 先進救急医療センター、2)小倉医療センター 呼吸器内科古賀 靖卓1)、金田 浩太郎1)、水口 市子2)、井上 智顕1)、中原 貴志1)、宮内 崇1)、藤田 基1)、河村 宜克1)、小田 泰崇1)、鶴田 良介1)【はじめに】High-Flow nasal cannula(HFNC)療法は非侵襲的陽圧換気(NPPV)の代替療法として期待されているが、その適応症例についてはまだ十分明らかではない。我々はこれまでに胸部X線写真で胸水量を評価し、胸水量増加がHFNC療法の失敗と関連する事を報告した。今回、HFNC・NPPV失敗と胸水量の関連を後ろ向きに検討した。【方法】2012年1 月~2015年6月に当施設でHFNCまたはNPPVで加療された成人呼吸不全症例のうち心不全を除いた症例を対象とした。両方の呼吸療法を施行された症例は、先行療法の症例として分類した。開始日の胸部X線写真を用いて算出した胸水スコアにより、大量胸水群・少量胸水群に分け、それぞれにおいてHFNC、NPPVの失敗率を比較した。治療失敗は、各療法開始後の死亡または侵襲的陽圧換気と定義した。HFNC症例ではNPPV施行も失敗とした。また、大量胸水群・少量胸水群それぞれにおいて、治療失敗と関連する因子をロジスティック回帰分析で解析した。【結果】少量胸水群にはHFNC 症例42例、NPPV症例52 例が該当し、大量胸水群にはHFNC症例28例、NPPV症例22例が含まれた。全体ではHFNC、NPPVの失敗率に有意差を認めなかった(p =0.129)が、少量胸水群ではHFNC で有意に失敗が少なく(17% VS 54%, p < 0.001)、大量胸水群ではHFNC で有意に失敗が多かった(61% VS 32%,p=0.042)。ロジスティック回帰分析では、HFNC は少量胸水群では成功(OR 0.23, 95%CI 0.08-0.63, p=0.004)と、大量胸水群では失敗(OR 9.79, 95%CI 1.92-50.01, p = 0.006)と独立して関連していた。【結語】HFNC、NPPV は病態に応じて使い分ける必要があり、胸水量がその基準のひとつとなりうる事が示唆された。シンポジウム 13 2月13日(土) 16:10~17:40 第3会場HFNC:成人SY13-2 Nasal High Flowは術後無気肺の有用な治療法になりうるか和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座木田 真紀、柴田 尚明、田中 真生、中島 強、山下 真史、宮本 恭兵、米満 尚史、島 幸宏、岩崎 安博、加藤 正哉【はじめに】大動脈人工血管置換術は、他の手術に比べ圧排性無気肺を生じやすく、人工呼吸器の離脱に時間を要することが多い。【目的】大動脈人工血管置換術後患者を後ろ向きに調査し、nasal high flow(NHF)療法が有効であるかを検討した。【方法】対象は2013年から2015年7月に大動脈人工血管置換術を施行した40例。NHF療法導入前20例と導入後20例の2群間の入室時のPF比、人工呼吸施行時間(NPPVを含まない)、NPPV、NHF療法の使用、再挿管、ICU入室期間を調査した。【結果】入室時のPF比、人工呼吸施行時間はいずれも両群で差はなかった。NPPV施行例は導入前で5例(25%)であった。導入後にNHF療法を行ったのは5 例(25%)であり、そのうち2例(10%)がNPPVも使用した。NPPV のみが3 例(15%)であった。再挿管例は導入前が4 例(20%)であり、導入後は2例(10%)であった。【考察】大動脈人工血管置換術後の圧排性無気肺は、心臓術後に比べ改善が難しく、人工呼吸期間が長い傾向である。NHF 療法は心臓術後患者に有用であったとの報告がある。NHF 療法を導入する以前は、抜管後の無気肺に起因する低換気、低酸素血症に対し再挿管を行っていた。NHFはNPPVよりも患者に与えるストレスは少なく、呼吸努力の軽減により再挿管を回避できる可能性があると考えられた。【結語】NHF療法は術後の圧排性無気肺症例の酸素化を改善し、再挿管率を軽減させる可能性がある。